「粒納豆とひきわり納豆」どちらが体にいいか…管理栄養士が「腸内環境を整えるにはこれ」という最強の食べ方
2025年4月28日(月)16時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Promo_Link
※本稿は、森由香子『60歳からの「少食」でも病気にならない食べ方』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
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■「粒納豆とひきわり納豆のどちらがいいか」の最終結論
良質なたんぱく源であるとともに、腸内環境をしっかり整えてくれる、納豆。
納豆はたんぱく質をはじめ、食物繊維、ビタミンB群、ビタミンE、ビタミンK、カルシウム、鉄、マグネシウム、カリウムなど豊富な栄養が含まれている、毎日食べたいスーパーフードです。
ところで皆さんは、粒納豆とひきわり納豆のどちらを食べていますか。栄養相談でいろいろな方にうかがってみたところ、基本的に粒納豆を好む人が多く、反対にひきわり納豆が好きな方はひきわりしか食べないなど、どちらか一方に決めて購入している方が多い印象でした。
でも、腸内環境を整えたいのであれば、ぜひとも、粒納豆とひきわり納豆の両方を購入し、できれば交互に食べていただきたいと思います。
なぜなら、粒納豆にもひきわり納豆にも、それぞれに良い特長があるからです。まず、腸内細菌のエサとなる食物繊維は、粒納豆のほうが多いです。
でも、腸内環境を良くするためには、腸内で食物繊維を一部糖に変える必要があるのですが、その際に必要になるビタミンB1をより多く含んでいるのは、ひきわり納豆のほうです。同じ納豆でも、その差はなんと2倍です。
ですから、粒納豆とひきわり納豆を毎日交互に食べると、どちらか単独で食べ続けるより、腸内環境が整いやすくなるわけです。両方を半分ずつ、ミックスして食べてもいいですね。
買い物をするときは、ぜひ両方の納豆を購入するようにしてください。
ただし、胃腸の調子が落ちている方には、ひきわり納豆をおすすめします。ひきわり納豆は、大豆の皮をとってから砕いているので、非常に消化が良いのです。
■少食の人の骨を「ひきわり納豆」が強くする
腸内環境を整えるために、粒納豆だけでなく、ひきわり納豆も食べていただきたいのですが、骨や筋肉などが衰えて日常生活に支障が出る状態であるロコモティブシンドロームの予防という点からも、ひきわり納豆を選択肢に入れていただきたいと思います。
中高年の方や少食の方の栄養相談をしていて、私が真っ先に気になるポイントのひとつが、栄養不足による骨粗鬆症やサルコペニアの発症です。食事の量が足りないと、徐々に骨密度や筋肉量が下がっていってしまうからです。
ロコモティブシンドロームを予防するためには、たんぱく質はもちろん、カルシウムやマグネシウム、ビタミンK、ビタミンB6をしっかり摂る必要があります。
特に、ビタミンKやビタミンB6の補給のために食べてほしいのが、実は納豆です。中でもおすすめはひきわり納豆。粒納豆の約1.5倍ビタミンKが含まれています。
日本骨粗鬆症学会は、骨の健康維持のために1日250〜300μgのビタミンKの摂取を推奨していますが、ひきわり納豆1パックで400μg以上のビタミンKが摂取できます。これは、推奨量の約10%になります。
粒納豆が好きな方も、ときどきひきわり納豆を選ぶとよいでしょう。
■加齢とともに乱れがちな腸内環境を整える食材
加齢とともにどうしても乱れがちになってくる腸内環境。
若い頃、腸の状態が良く、毎日快便だった方も決して油断できません。腸内環境も体と一緒に老いていくため、年齢が上がるにつれ、お腹の不調を感じる人は増えていきます。
腸内環境を整えるためには、腸内細菌のエサとなる水溶性食物繊維の摂取を心がけることが、まず大切です。水溶性食物繊維は、わかめやひじきなどの海藻類、アボカド、キウイフルーツ、なめこ、納豆などに比較的多く含まれているので、積極的に食事に取り入れましょう。
また、腸内細菌の中でも良い働きをする菌として有名なビフィズス菌は、年をとると減っていくことがわかっています。
ビフィズス菌や乳酸菌といった有用な腸内細菌を体内で増やすために、ヨーグルトをはじめとした乳製品をとることも大切です。
写真=iStock.com/kaorinne
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そして、乳酸菌を増やすためにもうひとつおすすめしたい食材が、キムチです。少食な人でもごはんが進む一品なので、常備しておくとよいでしょう。
ただし、キムチを買うときは、乳酸発酵している本格タイプのものを必ず選ぶこと。日本で売られているキムチには、大別して2種類あります。
ひとつは日が経つとだんだん酸っぱくなる本格タイプで、韓国の伝統的な製法で作られているもの。もうひとつは日本人の好みに合うように調整されているものです。
本格タイプが熟成が進むと酸っぱくなるのは、乳酸発酵が進んでいるから。つまり、乳酸菌が含まれている証拠です。
■本格タイプのキムチを一発で見分ける方法
一方、調整タイプは製造工程で乳酸発酵が遅らされてしまうため、時間が経っても酸っぱくなりません。乳酸菌はあまり含まれていないのです。
実は、この2つのタイプの違いは容器や売られている状態を見るだけでわかります。
森由香子『60歳からの「少食」でも病気にならない食べ方』(青春出版社)
本格タイプは乳酸発酵が進んでガスが出ても耐えられる硬い容器に入れられ、スクリュー型のフタなどでしっかり閉じられています。あるいは、韓国料理専門店の店頭などで量り売りされているものも、本格タイプです。
一方、ビニールパックなどの柔らかい容器に入っているものは、調整タイプです。なぜなら、乳酸発酵が進まないのでガスが出ないため、硬い容器にする必要がないからです。
調整タイプのキムチも食物繊維は豊富ですし、酸味が強くならないほうが好みだという方は、そちらを選んでもかまいません。
ただ、味的にどちらでもかまわないのであれば、どうせなら本格キムチを選んで乳酸菌を体内に取り込み、加齢とともに乱れがちな腸内環境を整えたほうが得策だと思います。
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森 由香子(もり・ゆかこ)
管理栄養士
日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科人間生活科学専攻)修士課程修了。2005年より、東京・千代田区のクリニックにて、入院・外来患者の血液検査値の改善にともなう栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導などに従事している。また、フランス料理の三國清三シェフとともに、病院食や院内レストラン「ミクニマンスール」のメニュー開発、料理本の制作などを行う。抗加齢指導士の立場からは、“食事からのアンチエイジング”を提唱している。『おやつを食べてやせ体質に! 間食ダイエット』(文藝春秋)、『1週間「買い物リスト」ダイエット』(青春出版社)など著書多数。
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(管理栄養士 森 由香子)