発売から10年、サポーターの常識を覆し、サッカーの未来を変えた「ZAMST Filmista Ankle」の挑戦。
2025年5月2日(金)11時30分 PR TIMES STORY
今から遡ること10年前の2015年4月、ある“挑戦の結晶”が世に送り出された。サポーターの常識を覆し、サッカーの未来を変えたその名は——「ZAMST Filmista Ankle」。
サポーターのトップブランド・ザムストが発売したこの製品は、サッカー界に革新をもたらす存在となった。薄さと強度を両立し、サッカー選手たちのパフォーマンスを妨げることなく足首を確実にサポート。サポーターが敬遠されがちだったサッカーという競技に新たな可能性をもたらした。その開発に至るまでの道のりには、ザムスト自身に革新をもたらす、幾度もの試行錯誤と挑戦があった——
ザムストの原点——足首サポーターから始まったブランド
そもそもザムストのブランド立ち上げのきっかけとなったのは、足首のサポーターである。
バスケットボールやバレーボールといった、ジャンプが多い競技においては、フラッグシップモデルである「ザムスト A2(現行モデル名A2-DX)」を中心に、その品質と機能性は広まり、アスリートたちの間でザムストブランドは定着していった。
しかし、最も足首捻挫(ねんざ)が多い競技の一つ、サッカーでは状況が異なっていた。ボールを扱う足元の繊細な感覚が命であるこのスポーツにおいて、足首にサポーターを装着することは、パフォーマンスに悪影響を及ぼすと敬遠されていたのだ。さらに、スパイクのタイトな構造が、サポーター装着の余地を与えなかった。
それでもザムストは、サッカープレーヤーの足首を守りたいと、挑戦に踏み出した。そこで2006年に発売したのが「ザムスト FA-1」。FutsalやFootball、Fitの頭文字“F”を冠したこの足首サポーターは、フットサルやサッカーでの使用を想定し、薄手の生地を使った二重構造を持つサポーターだ。しかし、一部のトップ選手が愛用したりはしたものの、サッカー界にサポーター文化を根付かせるほどの大きなインパクトには至らなかった。
ルール変更というピンチ、そこからの逆転の発想
そんな中、2011年2月に、更なる逆境が訪れる。サッカー界に一つの大きなルール変更が行われたのである。
“ストッキング(ソックス)の上にテープやバンテージを巻く、あるいはアンクルサポーター等を着用する場合、そのテープ等の色はストッキング(ソックス)の主たる色と同じものに限る。(日本サッカー協会審判委員会 審1102‐M0026号)”
「FA-1」を含め、これまでのザムストのサポーターは基本的に黒一色。一方でサッカーのソックスはチームカラーの数だけ何十色にも及ぶ、とても対応しきれるものではない……。
「だったら、いっそ“中に入れてしまえばいい”んじゃないか?」
苦悩の末にふと生まれたその一言が、プロジェクトを一変させることになる。常識の裏をかく逆転の発想——それが「Filmista Ankle」の原点だった。
新たな挑戦——「薄さ」と「強さ」の両立
「サポーターをソックスの中につける」言うは易しだが、求められる要求は格段に高くなった。素肌に装着可能で、より薄く、それでいて強力なサポートが必要になる。固定力を上げるために伸びないテープを使えば厚みが出る。生地を重ねれば、やはり厚くなる。素肌につけるのであれば汗の影響も考慮する必要がある。
新しい挑戦には、社内からさえも疑問の声が投げかけられた。「薄手のインナーサポーターで十分なサポートが実現できるくらいなら、今のサポーターは不要になってしまうのでは?」「想像だけなら容易にできる、他社がやっていない理由があるのでは?」しかし、自社製品を改革するようなイノベーションこそ、チャレンジするべきテーマだと前を向いた。
こういったアドバイスをもとに、何度も装着評価と改良を繰り返す。当初は薄さやシンプルさを優先し、ストッキングタイプを考えたが十分な固定強度が出せなかった。クローズタイプ(履きこみ型)のサポーターの場合、強度を出そうとすると今度は着脱が不可能になった。生地を二重構造にしたりストラップをつけたりすることも考えたが、やはり厚みが出てしまう。試行錯誤の結果、スパイクに入る部分を極力薄くする今の構造にたどり着いた。
また、製品に使用する素材にも飛躍が必要であり、あらゆる業界を探し回った。最終的には異業種で扱われていた2種類のフィルム素材にたどり着いた。 極薄のフィルムを二重に重ねることで、強度と柔軟性を兼ね備えることができた。また、直接肌に触れる面を滑り止めの素材にするといった、これまでのサポーターには無い要素にもチャレンジした。
「素材、形状など、試作品はアイデアレベルのものも含めて100を超えました。」これらの積み重ねにより、「薄さ」「制動力の強さ」「フィット感」「簡単装着」をすべて実現したサポーターが生まれたのだ。
現場での発見——確信を得た瞬間
しかし、どれだけ革新的な製品でも、果たしてサッカー界の常識を超えてサポーターが受け入れられるのか——。その答えは、現場にあった。 ある日、開発チームは、高校サッカーの現場を訪れる。監督はケガ予防のために、選手に対して自分で足首にバンデージを巻くよう指示していた。しかし適当に巻かれていたバンデージは、全くサポート力を発揮できていない状態だった。
「この選手たちを、本当に“守れる”サポーターを届けたい——」
その瞬間、チーム全員の目に火が灯った。手軽さと簡単に装着できるサポーターの開発は、間違っていなかった。心からそう思えた。
Filmistaシリーズへ——さらなる革新へ
発売を前に知らせが飛び込む。製品名もまだ決まっていなかったザムストの新しい足首サポーターは、2015年2月にドイツで行われた世界的なスポーツ展示会「ISPO」でその革新性を高く評価され、ISPO AWARDを受賞した。
そしてついに、2015年4月、「Filmista Ankle」という名でデビューを果たす。「Film(フィルム)」と「Stability(安定性)」を組み合わせたこの名前は、足首サポートの未来を象徴するものとなった。
Filmista Ankleの成功は、さらなる革新への序章に過ぎなかった。「薄さ」と「強さ」を並び立たせたこの技術は、足首だけでなく他の部位のサポーターにも展開され、膝、手首、大腿、下腿といった部位に対応する「Filmistaシリーズ」が誕生した。サポーターのトップブランドであるザムストは、自らの製品を革新にてアップデートし、その地位をさらに確固たるものにしていく。
また、ザムストはその後サッカー向けインソール「Footcraft Football Style」を発売するなど、多くのフットボーラーの足元を守るブランドに成長している。
一つの逆転の発想から始まった物語は、発売から10年を経て、サッカー界のみならず、世界中のアスリートたちを支える新たな製品群へと成長した。そして、この挑戦こそが、ザムストの革新を象徴する。
革新は、いつも逆境の中から生まれる。
「Filmista Ankle」——それは、想いと技術、そして情熱が生んだ“未来の足音”である。
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