日本の5大商社株は「今後50年間、売却することなど考えないだろう」…バフェット氏
2025年5月4日(日)20時30分 読売新聞
株主総会に隣接した会場ではバフェット氏にちなんだ商品も販売された(2日、オマハで)=小林泰裕撮影
【オマハ(米ネブラスカ州)=小林泰裕】米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏(94)は3日、米投資会社バークシャー・ハザウェイの最高経営責任者(CEO)から年末に退任する意向を表明した。バークシャーの経営権取得から60年。世界有数の企業に成長させた「投資の神様」が経営の一線から退く。
バフェット氏は3日にオマハで開かれたバークシャーの株主総会で、「グレッグ(・アベル氏)がCEOになるべき時が来た」と述べ、グレッグ・アベル副会長(62)が次期CEOに昇格することを明らかにした。
バフェット氏はバークシャー株を議決権ベースで約30%保有する筆頭株主で退任後も株式は売却しないと明言したが、退任後は投資の最終的な決定権はアベル氏が担うという。
バフェット氏は1965年に当時繊維会社だったバークシャー・ハザウェイを買収。将来有望な企業を見抜いて投資し、長期保有する「バフェット流」の投資術で時価総額世界8位の企業に成長させた。「自分が理解できない企業には投資しない」などの独自の投資哲学は尊敬を集め、出生地のオマハにちなんで「オマハの賢人」と称されている。アップルのティム・クックCEOは3日、「彼と出会えたことは人生で最高の幸運のひとつ」とX(旧ツイッター)に投稿した。
次期CEOのアベル氏はバークシャーの事業の多角化や安定成長に貢献した。その手腕を評価されて2021年にバフェット氏の後継者に指名されていた。アベル氏は「バフェット氏が60年にわたって実践してきた投資哲学は今後も変わらない」と強調した。
バークシャーの株主総会は、バフェット氏と株主の質疑応答が名物となっている。数万人が詰めかけた3日の総会でも4時間超にわたって株主からの質問に回答した。
バフェット氏はトランプ政権の関税政策について、「貿易は武器であってはならない」と批判した。一方で、二転三転する政策で乱高下する金融市場については「この30〜45日に起こったことは実際には大したことではない」と過度に悲観的になる必要はないとの考えを示した。
バークシャーは日本の5大商社(伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅)の株式を8〜10%弱保有しているが、「今後50年間、売却することなど考えないだろう」と語った。