トランプ関税が影、商社5社が慎重な業績予想…26年3月期は2社が減益・3社が減速予想

2025年5月2日(金)23時22分 読売新聞

資源高が商社の業績を支えてきたが先行きの不透明感が強まっている(写真は液化天然ガスを積んだ船)

 2日に出そろった総合商社大手5社の2026年3月期連結決算(国際会計基準)の業績予想では、トランプ米大統領の関税政策による世界経済の減速懸念を受け、慎重な見通しが相次いだ。

 各社が警戒するのが、関税政策の影響で進んだドル安・円高だ。三菱商事の為替見通しは前期より7円ほど円高の1ドル=145円、他の4社は1ドル=140円に設定した。近年、各社は天然ガスや食品関連など米国内での事業強化を進めてきた。円高が進めば、米国で稼いだ利益が円換算で目減りすることになる。

 26年3月期の最終利益では2社が減益、増益となる3社も前期の増益率より落ち込むと予想した。三菱商事の中西勝也社長は2日の記者会見で、「(為替は)10%上下する可能性がある時代になった。慎重に見ていく必要がある」とした。

 事業環境の不透明感も増している。住友商事は、世界的な景気後退に備え、最終利益予想に400億円のマイナス影響を織り込んだ。上野真吾社長は「不確実性が非常に高く、経験のない事態になる可能性がある」と懸念を示した。三井物産の堀健一社長は「投資は徹底的に慎重にやる」と述べた。

 25年3月期は、好業績を支えてきた資源価格の上昇や円安が一服したことで2社が減益となった。

 24年3月期まで2期連続で1兆円超の最終利益をたたき出してきた三井物産は前期比15・4%減の9003億円と大きく落ち込んだ。中国経済の減速で、強みの銅や鉄鉱石の市況価格が下落したことが業績を押し下げた。液化天然ガス(LNG)に強い三菱商事も1・4%減の9507億円だった。

 一方、非資源分野に強みを持つ伊藤忠商事は自動車販売やデジタル事業が堅調に推移し、9・8%増の8802億円で過去最高となった。

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