【自治医科大学附属さいたま医療センター × ジャパン・メディカル・カンパニー】スマートフォンによる頭蓋形状評価の新時代へ/共同研究の成果が国際学術誌に掲載
2025年5月22日(木)11時47分 PR TIMES
■赤ちゃんの「頭のかたち」に不安を感じたときにできること
近年、乳児の頭の形の左右差や扁平傾向が保護者から注目される機会が増加しています。絶壁といわれる短頭、耳の位置が左右でずれたり目の大きさが左右で異なったりという外形的差異につながる斜頭等、頭のゆがみ(位置的頭蓋変形)は、寝かせ方や成長環境の影響を受けて生後数か月で現れることが多く、適切なタイミングでの評価と介入が求められます。
一方で、頭のゆがみの中には、外科的治療を要する頭蓋縫合早期癒合症などの病気が原因の変形が潜んでいる可能性も否定できません。病気が原因のゆがみを放置した場合、脳の発育に悪影響を及ぼすリスクや視力障害、神経圧迫などの深刻な合併症を引き起こすことがあります。
このたび、自治医科大学附属さいたま医療センターと株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー(東京都中央区、代表取締役CEO大野秀晃、以下当社)は、乳児の頭蓋形状をスマートフォンで簡便に評価できるモバイルアプリ「赤ちゃんの頭のかたち測定」の精度検証に関する共同研究を実施し、その成果が国際電気学会誌「IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering」(IEEE刊)に掲載されました(DOI: 10.1002/tee.70039)。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/tee.70039
■モバイルアプリによる客観的な頭蓋評価の革新
「赤ちゃんの頭のかたち測定」は、スマートフォンのカメラを使用し、頭頂からの画像とランドマーク指定(耳、鼻)により、赤ちゃんの頭部形状の傾向を視覚的に把握するための補助アプリです。
現在までに累計約30万件のダウンロード実績があり、毎年約10万人弱の保護者が新たに利用を開始しています。これは日本国内における年間出生数の10%以上に相当し、極めて高い普及率を誇るアプリケーションです。このような現状にもかかわらず、これまで本アプリの測定精度についての科学的な裏付けは行われていませんでした。
今回の研究は、この課題を解決すべく設計され、実証的な精度データの取得と国際的な査読付き学術誌での発表という形で、初めて本アプリの科学的妥当性が示されました。
なお、本アプリはCVAIやCIなどの定量的指標を自動算出する機能は備えておらず、診断や診断確定には使用できません。医療機器には該当せず、診断確定や治療指針の決定には使用されませんが、乳児健診や保護者による観察の一助となることを目的に開発されました。
■ 精度検証の概要と成果
研究では、左右非対称性や短頭傾向の異なる10種類の頭部モデルを3Dプリンターで作成。医療従事者91名がiPhoneまたはiPadを使用して合計825枚の画像を撮影・解析しました。
主な結果は以下の通りです:
CVAI>7による斜頭の検出:感度0.72/特異度0.96
CI>94による短頭の検出:感度0.90/特異度1.00
ROC解析により、CVAI>5.54/CI>89.4という新たな基準値を設定した場合、感度がそれぞれ0.86/0.99に向上
また、使用端末の機種や職種(医師・看護師・臨床技師など)による測定誤差に有意な差はなく、誰でも安定した計測が可能であることが示されました。
■ 早期受診の重要性と「認定医療機関」制度
アプリで気になる結果が示唆された場合は、医師による正確な診断が必要です。 中には、骨の縫合が早く閉じる「頭蓋縫合早期癒合症」のように、手術を要するケースが潜んでいることもあります。
そのため、受診先として私たちは、自治医科大学附属さいたま医療センターを筆頭とする「ジャパン・メディカル・カンパニー社認定医療機関」での診察をおすすめしています。
■ 認定医療機関に関して
【認定医療機関一覧】 https://babyhelmet.jp/clinics/
【認定医療機関とは】 https://babyhelmet.jp/certification/
今回の研究を主導された中張先生をはじめ、一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会の理事・監事の先生方のご監修のもと、適正な医療サービス提供のために弊社が定めた基準に基づいて認定された医療機関です。
一般の小児科では、赤ちゃんの頭のかたちに関する専門的な診療・鑑別が難しい場合もあります。
特に頭蓋縫合早期癒合症をはじめとする病的頭蓋変形の鑑別診断、および発達・発育評価を含む適正な頭蓋健診の実施を目的に、当社では一定の条件を満たした施設を「認定医療機関」として位置づけております。
当社製ヘルメットは、この認定医療機関のみに提供しており、患者様ご家族様への適正な医療サービスの提供に取り組んでいます。
【認定医療機関の要件】
- 一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会 理事を講師とする弊社主催の年2回の研修会を受講していること
- 弊社製品をすでに導入し、治療実績のある先行医療機関(大学病院・こども病院)の頭のかたち外来を見学していること
【過去の研修会情報】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000108.000046445.html
■ 共同研究についてコメント
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/46445/121/46445-121-0bcf8dfe28c4766ed42c30028597ad43-525x583.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]中張 惇子 先生自治医科大学附属さいたま医療センター 新生児科
Validating the accuracy of the “Measurement of baby's head shapeTM” mobile application
掲載誌:IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering (TEEE)
近年、赤ちゃんの頭の形に関心を持つご家族が増えており、「病院を受診すべきかどうか迷っている」という声も多く聞かれます。
株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーが開発した、赤ちゃんの頭の形をスマートフォンやタブレットで簡易的に評価できる「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ(TM)」(以下、アプリ)の精度に関する研究結果が、学術誌 IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering (TEEE) に掲載されました。
本アプリは、撮影した画像から頭部の輪郭や耳、鼻の位置を指定することで、斜頭症の程度を示す「CVAI(Cranial Vault Asymmetry Index)」と、短頭症の程度を示す「CI(Cephalic Index)」の2つの指標を算出します。
研究では、91名の医療従事者が10種類の頭部モデルを用いて825回の測定を実施し、アプリによる計測結果と実際の値との比較を行いました。特に重症例(CVAI >7、CI >94)をスクリーニングする精度を評価した結果、斜頭症の感度0.72・特異度0.96、短頭症の感度0.90・特異度1.00と、高いスクリーニング性能が確認されました。
また、測定誤差に影響を与える可能性のある因子(職種、使用端末、モデルの重症度、撮影時の耳・鼻の目印の有無、耳・鼻を指定した位置のずれ、撮影回数など)についても検討し、特に重症モデルにおいて測定誤差がやや大きくなる傾向が見られました。
本研究結果から、アプリはスクリーニングツールとして十分な精度を持ち、初めて使う方でも簡単に操作できることが示されました。一方で、重症な頭蓋変形が疑われる場合には、医師による診察や3D画像を用いた詳細な評価の必要性も示唆されています。
今後は、実際にご家族が赤ちゃんの頭を撮影するという実環境における精度検証を進め、さらなる改良を重ねることで、より多くのご家族と赤ちゃんのサポートにつなげていくことを目指します。
大野 秀晃(株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー 代表取締役CEO)
本研究は、モバイルヘルス技術が乳児の健康評価においてどのような可能性を持ちうるかを示した重要な成果です。中張先生をはじめとするご関係の皆様に心より御礼申し上げます。世界最大の学術団体IEEEが発行する国際誌に本成果が掲載されたことは、開発会社としても大きな誇りを感じるとともに、社会責任を強く感じます。
今後も弊社は『世界にまだない、選択肢をつくる。』というコーポレートミッションに則り、全世界の先導者として、世界を革新していまいります。
■ 赤ちゃんの頭のかたち測定に関して
本アプリは、一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会の臨床研究グループが研究開発し、自治医科大学附属さいたま医療センター 中張惇子先生を中心に精度の評価を行ってまいりました。臨床・研究・教育の3本柱で、モバイルヘルス技術が乳児の健康評価領域に貢献できる新しい可能性を示しています。
<臨床研究グループメンバー(役職名は現職)>
- 五味玲先生
0歳からの頭のかたちクリニック東京日本橋院長・外科責任者
自治医科大学客員教授(前 自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児脳神経外科 教授)
日本頭蓋健診治療研究会理事
- 細野茂春先生
公益社団法人地域医療振興協会練馬光が丘病院小児科部長
自治医科大学客員教授(前 自治医科大学附属さいたま医療センター小児科・周産期科 教授)
日本頭蓋健診治療研究会理事
- 草川功先生
東京都市大学人間科学部特任教授
0歳からの頭の形クリニック診療顧問
日本頭蓋健診治療研究会監事
- 中張惇子先生
自治医科大学附属さいたま医療センター 新生児科助教
また長崎大学を中心とする複数の医療機関と当社との五島列島での共同研究の中では、本アプリを活用した臨床利用も開始されています。当研究は2024年度科学研究費助成事業として採択され、研究の更なる発展が期待されています。
■共同研究に関するプレスリリース一覧
【臨床研究】
累計15万ダウンロード!国内初の「赤ちゃんの頭のかたち測定」アプリ。さらなる精度向上のために、臨床研究グループを発足
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000046445.html
【精度評価(今回の共同研究の開始)】
自治医科大学附属さいたま医療センターとジャパン・メディカル・カンパニーが「ヘルメット治療中の患児を対象とした『赤ちゃんの頭のかたち測定』アプリケーションの精度検定」についての共同研究を開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000069.000046445.html
【臨床利用】
国内初「乳幼児の頭蓋変形」に関する大規模研究。2023年5月 五島での出生児および在住児を対象に長崎大学を中心とした研究グループが開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000046445.html
【科学研究費助成事業採択】
長崎大を中心とする国内初の「乳幼児の頭蓋変形」に関する大規模研究が2024年度科学研究費助成事業として採択、研究の更なる発展が期待されます
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000059.000046445.html
■ アプリ紹介(無料)
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/46445/121/46445-121-90456941b0750945c2028708e47d1c39-1128x1146.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
名称:「赤ちゃんの頭のかたち測定」
特徴:1枚の写真とランドマーク指定により、頭部形状の傾向を可視化できる補助ツール(CVAI・CIの自動算出は行いません)
累計ダウンロード数:約30万件/毎年10万人弱が新規利用
対応端末:iPhone/iPad(App Store)、Android(Google Play)
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/46445/121/46445-121-4b95ecbca36b930248556e25424f4e5d-250x250.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]App Store https://x.gd/I8At2 [画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/46445/121/46445-121-150791ccde919d2a81b489fee904f265-250x250.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]Google Play https://x.gd/Ta9oL
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株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー コーポレイト・デザイン室 柳本 瑞穂
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