「仕事に身が入らない」「しんどい」五月病で会社を辞める人がトラブルを避けて“円満退社”する方法

2025年5月27日(火)21時15分 All About

長期休暇が明けた5月には、いろいろな事情で仕事に身が入らなくなる人が増えてくる。いわゆる五月病だ。時間の経過とともに復調できる人もいるが、一方で会社を去る決断をする人もいる。本稿では、そんな人たちが円満に退職するための方法を具体的に解説する。※サムネイル画像出典:Mill/PIXTA(ピクスタ)

ゴールデンウイークが終わると、世の中には少しずつ不調を訴える人が増えてくる。実際、この記事が目に留まった人は、多少思い当たる節があるのかもしれない。
この時期は季節の変わり目である。長袖と半袖のシャツを1日の間で着替えるほど、1日の気温差が大きい日もある。体も心も変化への対応に大忙しだ。季節の変化に順応するだけでもしんどいものだが、さらに職場では仕事の内容や仕事をする相手が変わる時期である。
私たちは変化への対応で多忙を極めている。忙しすぎて変化自体に気付かないこともある。ゆえに体と心はダメージを受けているかもしれない。
不調な状態をうまく乗り越えられる人もいるだろう。不調を感じても「一過性じゃないか」「時間がたてばよくなるはずだ」と言い聞かせて何とか耐えている人もいるかもしれない。
一方、今回注目したいのは、「会社を去る決断に至った人」である。理由は人それぞれいろいろあるにしても、もう会社を辞めることを決めた人には前進してほしい。そのためには会社を辞める過程で、周りとの不要なトラブルを避けなければならない。どうしたら“円満”に退職できるのか、そのチェックポイントについて考えてみよう。

円満退職を実現するためのポイントは2つ

円満退職をどう定義するか、まずはその確認から始めよう。「円満」という言葉は「物事がうまくいっている状態」や「満足している状態」を指す言葉である。ゆえに円満退職とは、会社と退職する社員の双方にとって「退職に伴う各種手続きがうまくいっている状態」が必要だ。
その結果、「会社と退職する本人の双方が満足している状態」にあれば円満退職は実現する。
円満退職を実現するために、もっとも大事なのは退職理由とその伝え方である。退職理由は人それぞれであるだろうが、本当の理由(主に不満)が言いづらいときは、会社が引き止めにくい理由を探して言うのが正解である。
例えば別にやりたいことがある(それは今の会社にいては実現できない)、家族の都合で働き方を変える必要がある(働く時間や、フリーランスになる)などの理由だ。確かにこれらの退職理由は引き止めにくさではトップクラスではあるが、職場の上司や同僚が納得してくれるかどうか、そこが問題である。
それには、あなたの退職前3カ月間の言動が鍵となる。あなたの退職理由が、過去のあなたの言動から類推できるかどうかが大事である。取ってつけたような退職理由の創作だと思われないように、用意周到に準備しておくのである。
退職を伝えるタイミングも大事だ。業務が多忙な時期や他の人が退職した直後で人手不足になっているときなどは、タイミングがあまりよくない。できれば辞めるタイミングは繁忙期を避けるのが望ましい。このことは可能な限り意識しておいたほうがいいだろう。

流行りの「退職代行サービス」の利用で円満退職はできるか?

昨今「退職代行サービス」が流行しているが、これは円満退職をする自信がないことの表れかもしれない。なぜ人は自ら会社の上司に退職を告げず、他の人に退職を告げてもらいたいのか。
退職理由の信ぴょう性や妥当性が職場の上司に疑われないか、退職を告げるタイミングは大丈夫だろうか、さらに職場の人間関係に自信がないなど、いわゆる“三重苦”の状態を持つ人が、特に若い世代に多く生まれているのだろう。
こうした状況下で、特に五月病が原因でこのタイミングで退社を決断する人は、自分の力だけで「会社の上司を満足させること」に自信が持てないでいるのではないだろうか。
会社の上司がどのような人物か、それは日ごろから観察しているゆえによく知っているはずだ。さまざまな職場のハラスメントが指摘されているなかで、悩みを抱えてしまったのだろう。
実際、たいていどんなことでも他人が間に介在することで、物事がうまく運ぶことがある。
車の事故を起こしてしまったときが、そのよい例だ。保険会社が間に立ち、相手とのトラブルを解決してくれるからだ。同じように、自分が退職することに満足しない上司から直接攻撃されないよう、退職代行業者はあなたの防波堤になってくれるかもしれない。
まだサービスが世の中に出てきて日が浅いので、退職代行業者もサービスの高度化に向けた課題はいろいろありそうだが、退職を切り出すことで上司を満足させることに自信が持てない人は、退職代行業者を使うことをまずは考えてもいいのではないだろうか。
そうすることが、誰にとっても普通である(合理的である)とみなされる世の中が、近い将来には来るような気がする。

希望通りに退職できるとは限らない

では、退職時に起きうるほかのトラブルについても考えておきたい。2つの事例を紹介しよう。
1つは、希望通りの退職が実現しないことである。それにはいくつかのパターンがある。例えば上司が退職を受け付けてくれない事態が起きることだ。退職を切り出したタイミングが、その職場にとって悪いタイミングであるときにそれは起こりやすい。
本来、退職を受け付けないなんてことはあり得ないのだが、上司が少し厄介な人(いろいろな意味で)であると、実際に上司が退職届を受け取らない、もしくはメールをしても返事をくれない、退職日や退職のための手続きを進めてくれないなどという、にわかに信じられないようなことが現実化することがある。
この場合は正式な退職日が決まらないで、ずるずると時間が経過してしまう。もちろん会社に人事部があれば相談するべきだ。
一方、オーナー企業でオーナー社長が上司であるような場合は面倒なことになる場合がある。社員が皆、オーナー社長の顔色を見て動き、オーナーがすべてのことを決めているからだ。
要は社長1人が納得してくれないというだけで、ルールは度外視されて会社が退職手続きを進めてくれないことがあるのだ。それが原因で退職を諦めた人もいたかもしれない。これはまさにブラック企業そのものであるが、そうした話は決して珍しいことではない。

退職日までにひどい扱いを受ける

もう1つは、退職日は決まったが、退職する日まで職場でひどい扱いを受けてしまうことである。
例えば人間関係が極端に悪化したり、やたらと仕事を回されたりという具合に、辞める日までの会社生活が悲惨な状態になってしまうことだ。これは円満退職からは程遠い状況であり、退職日までに五月病の症状は、さらに悪化しかねない。
本来、退職することが決まれば、後任者に仕事を引き継ぐ作業にすぐに取りかかり、退職日までに自分の仕事を減らしたいはずだ。それができないと、働く最終日にまで深夜残業しているような状況に追い込まれてしまうことになる。社員一人ひとりが長時間労働を重ねている余裕のない職場では、このようなことが頻繁に起きている。

自分の仕事を減らしておけば辞めたときのインパクトも減る

では、どうしたらこうした退職時のトラブルを回避できるだろうか。それには退職したい日のなるべく前から、時間をかけて取り組んでおきたいことがある。それは「日々の仕事を少しずつ減らしていくこと」である。
例えば引き受ける仕事の量を減らし、取り組む仕事の絶対量を減らすことだ。もちろん目立たないように進める必要はある。その際、仕事の質は落とさないように気を付ける必要もある。
仕事を減らしながら、残った仕事に関しては意識的に他の人と一緒に取り組んだり、報告書やメールを相手に積極的に共有するのも効果的だ。引き継ぎ書に転用できるように、自らの仕事を整理して、業務マニュアル化を進めておくことも役立つだろう。
つまり、なるべく早くから自分がいなくなった後の職場を想像しながら、さまざまな準備を静かに進めておくのである。退職したいというあなたの気持ちや状況を理解し、周りの人に共感してもらえて辞めることができたら、最も理想的である。
辞めた会社の同僚との人間関係は、できることなら辞めた後も続けられることが望ましい。いろいろと腹を割って相談できる相手がさまざまな場所にいれば、将来の転職にも備えることができる。現代はまさに転職の時代であるのだから。
(文:小松 俊明(転職のノウハウ・外資転職ガイド))

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