2月4日から暦の上では春の始まり『立春』。1年でもっともストレスを感じやすいこの季節、積極的に取り入れたい食材とは…二十四節気別<暮らし方><養生><旬のもの>
2024年2月4日(日)7時0分 婦人公論.jp
立春(2/4〜2/18頃)<『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』より>
「二十四節気」とは中国で誕生した旧暦(太陰太陽暦)で、1年を約15日ごとに24等分した季節の名称のこと。この連載ではその二十四節気に沿った過ごし方や備え方、旬の食材を、漢方コンサルタントの櫻井大典さんが紹介します。「二十四節気は不調を防ぎ、日々をより豊かに過ごすための“知恵”の結晶」と語る櫻井さん。今回紹介する季節は「立春(2/4〜2/18頃)」です。
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立春(りっしゅん) 2/4〜2/18頃
暦の上で春の始まり。
“季節を分ける”という意味の「節分」の翌日にあたり、梅の開花が春の訪れを告げます。
寒い日が3日つづいた後に暖かい日が4日つづいて、これがくり返されることをいう「三寒四温(さんかんしおん)」は、ちょうど2〜3月の気候を表す言葉。
これから大気中の「陽気=エネルギー」が増え、暖かい日も増えていきますので、心身ともにゆっくり春へと切り替えていきましょう。
中医学的 立春の暮らしかた
・心と身体の状態
まだまだ気温の低い日がつづきますが、暦の上では春の到来—。
五行の陰陽でいうところの「陰気」が減り、エネルギーとなる「陽気」が満ちていくので、少しずつ力がみなぎるのを感じる人も多いのではないでしょうか。
『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』(著:櫻井大典・土居香桜里/ワニブックス)
一方で、大きな季節の変わり目であるこの時期は、陰から陽へと転じていく変化ゆえ、心身ともに不安定になりやすい傾向があります。
イメージとしては、まだまだ冬眠から目覚めたばかり。これから暖かい日も増えていきますので、春の陽気に身体が慣れることで、少しずつ落ち着いていくはずです。
・起こりやすい不調
中医学では、自然現象のひとつ「風」が邪気に変化した「風邪(ふうじゃ)」による不調が出やすい時期です。
「風邪」は冷えや熱、乾燥といったほかの邪気を連れて体内に入り、風邪(かぜ)・めまい・頭痛などの不調をもたらします。
花粉症も、この「風邪」が花粉と一緒に身体に入り込んだことにより起こる症状のひとつ。頭痛や鼻水、目のかゆみなど、人間の上半身と関連のある部位を狙う「風邪」ゆえの症状が見られることでしょう。
また春は、じつは1年でもっともストレスを感じやすい季節。とくに立春の頃は、不眠・寝つきの悪さ・憂うつ・気分の落ち込みなどを感じやすくなります。
養生
「風邪」から身を守り、春特有のストレスを回避するためにも、とにかく身体中に気をめぐらせることが、立春の養生ポイント。
陰から陽へと転じていく季節の変わり目に、その“変化”をスムーズに運ぶためにも、身体と気をしっかりと動かしていきましょう。
仕事で集中するのはいいのですが、長時間、同じ姿勢でいることは避けましょう。こまめに休憩を取り、軽い屈伸や、肩回しなどをしてください。
そして、鍵となるのは“心地良い香り”です。アロマ、香味野菜、ハーブティーなど、香りのあるものを意識的に身のまわりに置いてみましょう。
中医学では「良い香りだな」と感じることで気がめぐると考え、重要な養生のひとつとされます。おすすめの香りを聞かれることもありますが、あくまで自分が“心地良い香り”だと感じることが大切。
柑橘系の香りはよくおすすめしますが、それも良い香りだと感じなければ意味がないのです。アロマでも香水でもかまいませんので、ぜひ、自分にとっての“心地良い香り” を見つけてください。
中医学的 立春の旬のもの
・旬の食材1 じゃがいも
じゃがいもは、冬の土用(1月17日〜2月3日頃)の間にストレスなどで弱った脾胃(ひい)を元気にし、エネルギーを補ってくれます。疲れやすく胃腸の弱い人には、うってつけの食材といえるでしょう。
蒸してシンプルに「じゃがバター」も美味しいですし、玉ねぎ、そして同じく胃腸をととのえ、疲労回復に良いブロッコリーも合わせて、3種の野菜を使ったポトフはいかがでしょうか?
寒い日に身体を温めてくれるポトフには、ぜひ、血流を良くしてくれる黒コショウを振りかけて。この時期にピッタリで、パワーたっぷりな1皿の出来上がりです!
・旬の食材2 玉ねぎ
玉ねぎは、エネルギーをめぐらせ、身体を温めてくれます。
血流改善のイメージが強い玉ねぎですが、血流はもちろんのこと、じつは胃腸をととのえることが得意なんです。
じゃがいもと一緒に煮てミキサーにかけ、塩コショウで味をととのえたら、胃腸が疲れ気味の方にピッタリの養生スープになります。
・旬の食材3 菜の花
春は苦味のある食材を摂ると良いとされますが、菜の花は、春らしい苦味で解毒作用に優れ、おできや吹き出物などの炎症を抑えてくれます。また、血流を改善する作用もあり、産後のトラブル・生理痛・肩こり・頭痛などにも効果が。
「菜の花と卵の炒めもの」は、血(けつ)(注)を補う力が強く、メンタルを安定させる卵と組み合わせることで、女性にとってうれしい効果がアップ!
(注)中医学において「血」は、身体に栄養と潤いを運び、メンタルの安定にも作用する液体です。
※本稿は、『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
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