驚異の銀捨て3連発! 伊藤叡王が自力で最後の昇級枠つかむ 第83期順位戦B級2組10回戦

2025年3月6日(木)11時30分 マイナビニュース


第83期順位戦B級2組(主催:朝日新聞社・毎日新聞社・日本将棋連盟)は、最終10回戦全13局の一斉対局が東西の将棋会館で行われました。このうち東京・将棋会館で行われた伊藤匠叡王—丸山忠久九段の一戦は104手で伊藤叡王が勝利し、今期順位戦成績を8勝2敗として最後の昇級枠を掴み取りました。
○右玉に託した希望
前節はベテラン・深浦康市九段の前に足踏みを強いられた伊藤叡王。この日は勝てば昇級、負ければ対局相手の丸山九段に上回られ昇級を逃すという大一番になりました。丸山九段の先手番で始まった対局は両者得意の角換わり腰掛け銀へと進展、後手の伊藤叡王は右玉に組んで力戦志向を目指しました。順位戦らしいジリジリとした中盤戦が続きます。
局面が動いたのは夕食休憩に入る直前のことでした。丸山九段が放った自陣角は遠くから後手玉に照準を合わせる味よい一手。遅いながらも確実な攻めで後手の攻めを誘います。これを間に合わせまいと伊藤叡王がこちらも角打ちで応戦したことで盤上は一気に激しさを増しました。局面の焦点は先手の遠見の角が生きるかどうかに絞られています。
○銀捨てでつかんだ快勝
手番を得た伊藤叡王は銀のタダ捨てを合図に敵陣への侵入を開始、手順に飛車を奪って主導権をつかみます。丸山九段も攻め合いに出て伊藤玉の守りの要である飛車を捕まえますが、そこからの一瞬の寄せが伊藤叡王の本領を示すハイライトとなりました。自玉の守りには目もくれず、再びタダのところに銀を投げ打ったのが「終盤は駒の損得より速度」の格言通りの決め手です。
差し出された銀を取っては一手一手の寄りと認めた丸山九段は粘りに出ますが伊藤叡王は最速手順で寄せ切ります。最後は先手玉の逃げ道をふさぐ銀捨ての妙手で勝負あり。終局時刻は22時46分、攻防ともに見込みなしと認めた丸山九段が投了。華麗な銀捨て3連発で攻め切った伊藤叡王の快勝譜となりました。
勝った伊藤叡王は8勝2敗で3位の座に滑り込みB級1組へ昇級決定。敗れた丸山九段は6勝4敗で今期の順位戦を終えました。なおすでに昇級を決めていた服部慎一郎七段と青嶋未来七段も勝って昇級に花を添えました。
水留啓(将棋情報局)

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