「夫の愛人と会いました」「愛人から『死にます』と連絡が来て…」夫の“ゲス不倫”を暴露した人気漫画家・楠桂が明かす、不倫発覚から離婚までの経緯
2025年5月11日(日)12時0分 文春オンライン
〈 夫の愛人から突然「あなたの旦那さんとつき合ってました」とDMが…夫の“ゲス不倫”を暴露した人気漫画家・楠桂が語る、不貞行為が発覚した“きっかけ” 〉から続く
『八神くんの家庭の事情』『鬼切丸』などで知られるベテラン漫画家・楠桂さんが3月、夫の不倫をSNSで明かした。夫は中学の同級生の元カノと10年以上の不倫関係を結び、彼の友人たちがアリバイ工作にも加担、「団体戦の不倫」をされていたという。結婚23年目に発覚した熟年不倫によって楠さんは不倫相手と対峙し、慰謝料も請求した。
そして5月2日より、連載漫画『 サレ妻漫画家の旦捨離戦記 』をスタートし、現在は離婚して一人暮らしとなった楠さんに、熟年不倫と離婚について聞いた。(全2回の2回目/ 1回目 から読む)

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SNSで出すことも漫画に描くことも、元夫と愛人に伝えている
——元夫の不倫を知ってから、描く作品やタッチに影響はありましたか。
楠桂さん(以降、楠) めっちゃ不倫ものを描くようになりました。ホラー雑誌で連載してたんで、死人も出せるし、せめて漫画の中だけでも報いをと、すごい熱量とスピードでネームを仕上げました(笑)。
不倫されなかったらなかった引き出しができましたね。
——そこだけは元夫に感謝することも?
楠 感謝は全然ないですけど、私が漫画を描いてなかったら、こんな片田舎のアラフィフ熟年夫婦の熟年不倫なんて話題にならなかっただろうな、とは思います(笑)。
——楠先生はSNSや漫画でも不倫の件を赤裸々に明かされていますが、元夫はそのことを知っている?
楠 SNSで出すことも漫画に描くことも、元夫と愛人に伝えています。元夫からは、「誰がそんなの興味あるの? 君が恥をかくだけだよ」って言われましたけど、「恥ずかしいことをしたのはあなたと愛人だよね」って言い返しました。
愛人がつけてきたネックレスは…
——相手の女性とも交流があった?
楠 3年前に彼が不倫を自白した時、「不倫相手に離婚を迫られて脅されている。許してほしい」と言われたんです。許してほしい云々の前にまず別れなさいよ! ということで、別れ話のために私と彼と、彼のお母さん、そして愛人という4人で会いました。
——ヘビーな話し合いの場はどこで?
楠 元夫が家族経営の会社をやっているので、そこの事務所にしました。店だと私も怒鳴っちゃうだろうし、個人的な場所じゃないと、ということで。
——何を着ていくか困らなかったですか。
楠 ねえ。おしゃれして行くわけにもいかないし。でも、普段穿いているようなデニムはやめました(笑)。結局、白いブラウスとパンツで行ったかな。ちょっとは化粧して。
愛人はどんな武装をしてくるかなと思ったら、普通の白いブラウスにロングスカートでしたね。でも、後で知ったんですけど、その時彼女がしていたネックレスは元夫からのプレゼントでした。
「一体どんな美魔女なのかと思ってたんですけど…」愛人と初めて対面した時の印象
——なんと……。
楠 やっぱり武装してたんですよ(笑)。愛人に写真を撮ってもいいですか、と聞いたら快く撮らせてくれたんで、あとでネックレスを画像検索したら、有名なブランドのもので。おはじきみたいなネックレスが30万!? ってびっくりですよ。
見せつけるためにしてきたんでしょうけど、私がブランドに疎いからその場ではまったく気づかなかったんです(笑)。
——相手がどんな人か、緊張しませんでしたか。
楠 こんなに夫が忘れられない人って一体どんな美魔女なのかと思ってたんですけど、普通のおばちゃんでした(笑)。
彼は私より5つ年下だもんで、中学の同級生の愛人も5つ年下なんですけど、自分と同じおばちゃんでしたね。
——“美魔女”だった方が良かった?
楠 どうかなあ。おばちゃんで安心はしたけど、きっと2人の間には“青春フィルター”がかかってて、“結ばれなかったあの時の思い出”がとても輝いて見えちゃったのかな、と。
——義母の反応はどんなものだった?
楠 元夫には、「あんたなんかもう息子じゃない!」と怒鳴り、愛人には「うちの嫁の立場どうしてくれるの!?」と叱り飛ばしてくれたので、私としては救われましたね。
別れることは決まったけど、その後も愛人から夫宛に「もう死にます」みたいな連絡してきてつきまとったりと、大変でした。
不倫発覚後、すぐに離婚しなかった事情
——その後、不倫慰謝料請求もされたそうですね。
楠 はい。示談交渉によって双方から慰謝料と、「今度会ったら罰金」という合意書を取りました。それで最初は、合意書がある限りはさすがに会わないだろうと思ったので、すぐ離婚したら損かな、と思ったんですね。
——すぐ離婚したら復縁する可能性があるから?
楠 そうです。だから10年ぐらい待って、「お互いセックスできない年齢になってから離婚してやる!」とかって言ってたんですけど、結局、下の子を大学生にするのを夫婦最後の仕事にしよう、となりました。
——不倫発覚後の夫婦生活というのは、苦しいものではなかったですか。
楠 離婚前提で3年ちょっとという期限付きになったので、それなら私は夫に優しくできるかもしれないし、夫は夫で最後の希望にかけて、3年間は仮面夫婦生活をしました。
でも、夫の考え方は真逆で、「どんなに頑張っても3年後にリストラされるなら頑張れない」って(笑)。じゃああなたは、私があと余命3年と知ったら3年間優しくするんじゃなくて、あと3年で死ぬ女は捨てようってなるわけ? とかって聞きましたよ。
——実際、仮面夫婦生活は穏やかに過ごせましたか。
楠 いえ、まったく(笑)。双方から慰謝料も取ったけど、それでキレイサッパリなんてことは全然なくて、フラッシュバックして泣くこともよくありました。
安定剤も飲んでいますけど、夫の方が「もういい加減にうんざりだ!」とかって、逆ギレするようになっていましたね。
私、今も心療内科に通ってるんです。夜寝れないと鬱になりやすいと聞いたので、睡眠薬を手放せなくなりました。不倫が発覚してから睡眠薬を飲まずに寝た日って、コミケ後でクタクタになった時くらいですね。
「地獄に落ちる覚悟でやってほしかった」元夫と愛人の最も許せない部分とは?
——そんな中、今年無事にというか、離婚をされて。
楠 離婚する時に夫から、「俺の3年間の頑張りは何だったんだ」って言われたんですけど、3年不倫しなかったから何だよ、と。あなたたち不倫した方は別れて終わったことになってるかもしれないけど、私にはあれが地獄のはじまりだったわけで。
——不倫を知らないままでいたかったと思うことはある?
楠 不倫が発覚して良かったとは思わないし、当たり前ですけど、一番は、本当に不倫なんかしてほしくなかった。元夫も愛人も、若い頃に結ばれなかった悲しい思い出で終わってほしかったのに、それが結局、黒歴史になってしまったわけで。
不倫するなら地獄に落ちる覚悟でやってほしかったですね。
——「地獄に落ちる覚悟」とは?
楠 不倫したくせに幸せになろうとしていたことが許せないんです。彼女を手に入れるためだったら、自分が持っているものすべて捨てる覚悟で土下座でもして、正直に「彼女と一緒になりたいから離婚してください」と言えば良かったんです。早くそうしてくれれば、私もまだやり直しがきいたかもしれませんしね。
でも、家族も家もすべて手放したくないからこそこそ不倫して、結局、愛人を捨てる方が楽だって気付いたんでしょう。不倫に美しいものなんてないですよ。
だから子どもからも軽蔑されるし、物書きの妻に晒されちゃうしね(笑)。
「お母さん偉い。よく頑張った」離婚後の子どもたちの反応
——お子さんが大学に受かったら離婚する取り決めだったそうですが、見事に合格した時の気持ちは?
楠 浪人したら延長かなとか思ってたんで、そこは良かったです(笑)。大学生になった長男に離婚を伝えたら、「おめでとう」って言ってくれました。あと、もし元夫が愛人と復縁したら、「お父さんを殴りに戻ってくるし、俺の方から絶縁してやる」と言ってくれて救われました。
長女も、「お母さん偉い。よく頑張った」と褒めてくれて。娘としては、お父さんが許せないならスパーンと捨てればいいのに、別れられないお母さんは格好悪いと思っていたのかもしれませんね。
周りの皆さんも離婚を「英断だ」と褒めてくれるのですが、正直、まだこれが正解なのかわかりません。今のところ人生の迷子です。
でも、漫画家としての人生は貫こうと誓いました。ですので皆さん、暴露漫画とともに楠桂の他の漫画もぜひ読んで下さいね(笑)。
写真提供=楠桂さん
(小泉 なつみ)