永瀬九段 なぜ藤井名人から1勝を返せたのか 名人戦第4局一夜明け会見から
2025年5月19日(月)21時20分 スポーツニッポン
将棋の永瀬拓矢九段(32)が19日、大分県宇佐市で藤井聡太名人(22)=王将を含む7冠=から名人戦初勝利した17、18日の第83期7番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催)第4局の一夜明け会見に臨んだ。対局は千日手指し直しの熱戦を141手で勝利。カド番をひとまずしのいで対戦成績を1勝3敗とした。午後10時16分に終局し、感想戦や食事、対局のために電子機器が使えなかった2日間のメールチェックなどを済ませ、就寝したのはこの日午前3時だったそうだ。
二転三転の終盤、しかも「(他の棋士とは)2、3段階違う」とする藤井との寄せ合いを制することができた要因は何か。
何より「読み抜けや誤算があった」「精度が足りなかった」と終局後、藤井が振り返ったミスを突いた読み、粘り。そして永瀬は、午後5時3分に対局を終えた1日目を挙げた。
通常なら封じ手時刻の6時半までかかる1日目が、千日手によって1時間27分短く終われたことで「体力温存につながった」。加えて、安心院(あじむ)すっぽん名人御膳を注文した2日目の昼食効果もあったようだ。
「2日目の夜でも体力が残っていた。勇気を出して良かった。こちらへ来なければ生涯食べることがなかったかも知れない」
すっぽん料理だけではない。対藤井のタイトル戦での先手番勝利も、12局目で初めてだった。
そこで疑問が湧く。揮毫に「鬼亀」としたため、対局場へ持ち込むハンドタオルは亀柄。同じカメ目に属するすっぽんを口にすることへの、抵抗はなかったのだろうか。
「亀は好きだがスッポンとは違う生き物。藤井さんも食べたはずなので優位性はありません」。違う生き物とは言い切れない気もするが… 確かなことは今後、永瀬の出場するタイトル戦ですっぽんや鰻のオーダーが増える気はする。