コメ農家の現実を熱弁、兼業の日本アカデミー賞監督「農政の歪みが噴き出した...ズタズタにされた農家を...」
2025年5月27日(火)11時17分 スポーツニッポン
日本アカデミー賞作品賞を受賞した映画「侍タイムスリッパー」で知られる安田淳一監督(58)が27日、コメ農家の現状について語った。
小泉進次郎農相は26日、今後放出する備蓄米が5キロ当たり2000円(税抜き)程度で6月初旬にも店頭に並ぶ見込みだと発表した。対象は2022年と21年産の古いコメ。集荷や卸売りの業者を通さず、随意契約で国がスーパーなどの大手小売業者を選ぶ。
これまでの競争入札と比べ、およそ半値で直接売り渡す。農林水産省は価格高騰を抑えるため、コメ問題に特化した「集中対応チーム」を設置した。随意契約は、業者の選定が恣意的で不透明となる懸念が拭えない。一部農家からは「価格は生産者の努力によって決まる」として、国の介入による値下げに批判的な声も上がっている。
契約を巡り、LINE(ライン)ヤフーが26日、インターネット通販での取り扱いを検討していると明らかにした。総合スーパーのイトーヨーカ堂も参加。イオンも前向きな姿勢を示した。楽天グループは日本郵便と組み参入に向け調整する。
農水省によると、全国のスーパーで今月12〜18日に販売されたコメ5キロの平均価格は前週と比べ17円高い4285円。2週連続で過去最高値を更新した。高値を付けた業者が落札する競争入札で放出した備蓄米は流通に時間がかかり、高止まりを解消できていない。
MCの谷原章介が「コメというのは他のいわゆる青物と違って1年に1回しか獲れないものじゃないですか。供給不足って言いますけど結局、供給、作柄がよくなくて冷害みたいに収穫量が減ったわけではなくて、ある程度できてはいたけれども急に需要が高まってしまったわけですよね」と質問。
これに京都でコメ農家を営んでいた父が死去したことを受け、農業を継ぎつつ、映画監督として映像作品の製作を続ける、珍しい兼業の安田監督は「違います」と即座に否定。「やっぱり僕も父が死んでから本格的に自分でやるようになったんですけれども、父が83歳で亡くなりましたけど、死ぬ直前も、おコメは赤字で自分の所で作れないというのをたくさん、何軒も預かっていたわけですよね。そうやってなんとか耐え忍んできた供給側、生産側の現場、頑張っていた農家の人が高齢化で亡くなっていて、引き継いだ僕のような者が全部できないから返すと。返されたけれども、できないからこれが耕作放棄地になっているというのが津々浦々で繰り返されている」と現状を説明。
そして、「確かに大規模化というのはあるんですけど、僕はこの大規模化、自分でしたいと思ってもできないし、そういう話もこないし。僕らの住んでる所だと、スーパーに売りませんかとかそういう話ばっかり来るだけ。それも、頑張って農地を守ってきた祖父や父や皆さんのことを思ったら簡単にそういう話には乗るわけにはいかないという部分もある」と言い、「スマート農業とか聞こえはいいんですけれども、それをまず導入するのにお金がかかって今現状の慣行のコメの農家さんで言うと、コンバイン、機械が壊れたらもうやめるというような状況でまた追加投資の話ですかっていう気持ちで、絵空事に聞こえてしまうというのがある」と指摘。
そのうえで「少し話が出ましたが、ある程度国が管理して高く買い上げて国民に安く卸すということでしか、そもそもこの30数年間ずっと農政の歪みが今ここに来て一気に噴き出している感じ」だとし、「ここまでズタズタにされた農家を、これから農家の努力でっていうのは、はっきり言って僕は難しいなと思っていて、何らかのそのへんの仕組みとか農政の改革が必要だなとは凄く思います」と自身の思いを語った。