スコセッシも絶賛するシリアルキラー『Pearl パール』ミア・ゴスの感情七変化カット
2023年6月17日(土)17時0分 シネマカフェ
スクリーンの中で踊る華やかなスターに憧れ、家畜たちを相手にミュージカルショーの真似事を行うのが束の間の幸せだったパール(ミア・ゴス)。そんな中、地方を巡回するショーのオーディションがあることを聞きつけたパールは、オーディションへの参加を強く望むが、母親に「お前は一生農場から出られない」といさめられてしまう。やがて抑圧されてきたパールの狂気は暴発し、比類なき無邪気さと残酷さをあわせもつシリアルキラーへと変貌していくーー。
巨匠マーティン・スコセッシ監督は本作に対して「タイ・ウエスト監督の映画には、最近では珍しく、映画への純粋で混じりっ気のない愛に満ちたエネルギーがある。すべてのフレームでそれが感じられる。ワイルドで、魅惑的で、深く心を揺さぶる102分間。タイ・ウエストと、彼のミューズでありクリエイティブ・パートナーであるミア・ゴスは、観客をもてあそぶ術を本当に心得ている」と大絶賛している。
ミア・ゴスが演じた本作の主人公パールは、無垢な愛らしさと切なさを兼ね備えながら、夢を掴み取るためにはどんなことも厭わない…という無慈悲さや残酷さなど、あらゆる感情が複雑に絡み合う繊細なキャラクター。
今回解禁されたシーンカットは、このミア・ゴスが怪演したシリアルキラー・パールから溢れ出す“感情7変化”を切りとったもの。些細な出来事に怒りが沸点に達し我を忘れるパール、人生を賭けたダンスオーディションで全力の笑顔を披露するパール…。
斧を持って獲物に一点集中するパール、自分をひとり残して戦争へ出征した夫への怒りを目の前の卵にぶつけ、殺意が覚醒する寸前のパールのほか、「世界が私に注目する」という将来の夢を家畜に語り、夢見心地のパール、自分を認めてくれる素敵な男性に初めて出会って照れるパール。
お気に入りのドレスをこっそり着ていたことで、母に怒られ中のしゅんとしたパールなど、鬱屈とした日々からアンチヒーローへと覚醒したジョーカーのごとく、映画史上、もっとも無垢なシリアルキラー・パールの魅力満載のカットとなっている。
パールを演じ、タイ・ウエスト監督とともに脚本も担当したミア・ゴスは「パールは夢想家で、それが彼女のいいところだったけど、そのせいで破滅することになる。彼女をクレイジーとか、躁状態と呼ぶ人もいるかもしれないけど、この作品で描かれるパンデミック(スペイン風邪)や第一次世界大戦中という時代設定、そして気難しい母と体が不自由な父という八方塞がりの状況に置かれながら、必死に自分の人生を生きようとしている。彼女が行動する原動力は、ステージに立ってスターになりたいという強い気持ちだけ」とパールの心情を読み解く。
そしてタイ・ウェスト監督は、「ミアなしじゃこの作品は作れないと思っていた。当時のミアは、まさしくパールだった。映画を完成させるためには、僕ら2人が全力で打ち込む必要があった」と語っている。
『Pearlパール』は7月7日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。