ドイツ新首相、1回目の投票でメルツ氏が選出されず…戦後ドイツ史上初の「異例事態」
2025年5月6日(火)20時54分 読売新聞
フリードリヒ・メルツ氏(6日)=ロイター
【ベルリン=工藤彩香】ドイツ連邦議会(下院、定数630)は6日、新たな首相を選出するための投票を行った。首相就任が確実視されていた中道右派・キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)のフリードリヒ・メルツCDU党首(69)は、1回目の投票で選出に必要な議会過半数(316)に6票届かず、同日中に2回目の投票が行われることになった。
複数の地元メディアは、1回目の投票で首相が選出されなかったのは戦後ドイツ史上初めてで、「異例の事態」だと報じた。メルツ氏の求心力は低下しており、早期の立て直しが求められる。
新連立政権の樹立で合意しているCDU・CSUと、中道左派・社会民主党(SPD)の議席は計328議席で、過半数を超えている。両陣営は移民対策や年金などの社会福祉政策を巡る隔たりが大きいと指摘されており、保革大連立への反発で造反者が出たとみられる。
首相選出のための投票は再度行うことができる。2回目の投票で、メルツ氏が議会過半数の票を得られなければ、基本法(憲法)の規定で、14日以内に3回目の投票が行われることになる。
トランプ米政権の「欧州離れ」や関税政策など、ドイツが対応すべき課題は山積している。メルツ氏は「行動力ある政府」として首相就任直後から精力的に課題解決に取り組むと強調してきたが、新政権発足を前に早くもつまずいた格好だ。