金正恩の「犯罪行為」宣言で10人公開処刑…弁明に耳貸さず激怒

2025年5月23日(金)5時9分 デイリーNKジャパン

北朝鮮国営の朝鮮中央通信によると、北朝鮮北東部・清津(チョンジン)の港で21日、5000トン級の駆逐艦の進水式が行われたが、その過程で事故が発生。船底の一部に穴が開く重大な事態に至った。


その一部始終を目撃した金正恩総書記は、「単に不注意と無責任、非科学的な経験主義によって生じたあり得ないこと」と主張し、「到底容認できない深刻な重大事故で、犯罪的行為」と断罪。そしてこの件を、「来月に招集される党中央委員会総会で取り扱わざるを得ない」と宣言した。


北朝鮮において、最高指導者から「犯罪的行為」と指摘されることは、死刑宣告を受けるに等しい。


現に今年1月27日に開かれた朝鮮労働党中央委員会第8期第30回書記局拡大会議で金正恩氏は、地方幹部が党の規律に違反し農民に不利益を与えた件について「地方の権力乱用者、官僚主義者」による「許しがたい特大型の犯罪事件」であると断罪した。


これを受け、10人余りの幹部が住民らの前で公開処刑されたという。金正恩氏による断罪が、実質的な死刑判決となった形だ。



このときの会議ではほかにも、飲酒と性接待を伴う乱痴気騒ぎを繰り広げた幹部らが断罪されている。こちらの件が最終的にどのように処理されたかは詳らかでない。


金正恩氏は執権初期、視察に訪れた工場などで気に入らない部分を見つけると責任者を面罵し、その弁明が気に食わないと処刑してしまうことがあった。


「スッポン養殖工場」を訪れた時のケースが典型的で、当時の様子は動画でも公開されていた。


その一方、弾道ミサイル開発や偵察衛星の打ち上げなどを巡っては、技術的な未熟さから失敗が繰り返されても、責任者や科学者らを処刑したり粛清したりしたことはなかったと伝えられている。


そのことから、新たに挑戦するものに関しては、「精一杯やってみてダメなら仕方ない」と考える合理性を持ち合わせていると思われる。一方、規律違反や「手抜き」に関してはガマンならないということだろうか。


しかし、北朝鮮の行政や開発の現場は予算から資源から情報から足りていないものばかりだと思われ、それが規律違反やミスの原因になっていることも多いはずだ。そこに責任を負うべきは金正恩氏が率いる中央権力なのだが、その問題は決して追及されないのが北朝鮮の体制なのだ。

デイリーNKジャパン

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