各地で史上最高値を記録している北朝鮮のコメ価格

2023年9月22日(金)6時1分 デイリーNKジャパン

北朝鮮のコメ価格は、毎年概ね同じ曲線をたどる。収穫後の11月中旬が最も安く、その後徐々に上昇していき、9月から11月上旬にかけて最も高くなる。収穫量が需要を満たしておらず、ギリギリの状態にあるため、緊急輸入などの人為的介入を行わない限りは、この曲線から外れることはない。


デイリーNKが定期的に行っている物価調査によると、2009年11月の貨幣改革(デノミネーション)後で最も高かったのは、2013年4月3日の6950北朝鮮ウォン(平壌での価格)。これは、貨幣改革の失敗によるインフレの影響によるもので、その後は落ち着きを取り戻し、上述のような曲線を回復。年間を通じて4〜5000北朝鮮ウォン台で推移した。(1000北朝鮮ウォンは約17円)


今はコメ価格が最も高くなる時期だが、ついに一部地域で7000北朝鮮ウォン台を突破した。


咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、第2の都市の咸興(ハムン)と、その北東にある北青(プクチョン)では、国産のコメが7500北朝鮮ウォン、輸入品が6800北朝鮮ウォンに達した。現在は多少値を戻しているものの、依然として高騰していることには変わりない。


新米が出回る前の時期で、市場に供給されるコメが少なく、穀物価格が全般的に上昇しているというのが情報筋の説明だ。輸入物は多少安いが、国産とさほど変わりなく、消費者の助けにはなっていない。


貧しい人々は、トウモロコシ粥すら口にできないほど困窮している。中でも咸興は、国内で最も食糧事情が厳しい地域のひとつと言われている。金持ちは困窮していなくとも、為替レートに変動がないため、ダメージを受ける点では同じだ。以前なら中国人民元100元(約2030円)で25キロのコメが買えたが、今では17キロしか買えなくなり、不満が大きい。


当局は米価を安定させるために、市場での穀物の取引を禁じ、販売を国営の米屋である糧穀販売所に一本化する計画だったが、現在の米価高騰に糧穀販売所はどのような対策を打ち出しているのか、または打ち出せていないのかなどについて、情報筋は言及していない。



稲作のできない両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)でも、コメ価格が一時1キロ7000北朝鮮ウォン台に達した。来月または再来月になればコメ価格は下落するため、卸売業者はあまり売れもしないコメを高値で買い付けて損をするのを嫌い、他地方から取り寄せようとしないため、いっそう価格が高騰しているのだ。


恵山市民の当面の期待は、今月末から来月初旬にかけて収穫が終わり、市場に出回るジャガイモだ。稲作ができない代わりに、ジャガイモは豊富に取れる両江道。今年は作況がよかったのか、職場を通じた配給以外にも、勤め人が誰もいない家にも配給されるとの噂が流れ、市民の期待は高まっている。


なお、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋の話として、今月14日のコメ1キロの価格が8000北朝鮮ウォンを記録したと報じている。

デイリーNKジャパン

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