大阪万博「NTTパビリオン」、どんな施設? 一足先に体験してきた 「IOWN」で見せる“未来”とは

2025年4月11日(金)17時28分 ITmedia NEWS

NTTパビリオンの外観

 4月13日に開幕する「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)。日本電信電話(NTT)は、大容量・低遅延の通信ができる次世代通信基盤「IOWN」(アイオン)を軸に、未来のコミュニケーションを体験できる「NTTパビリオン」を出展する。報道機関向けの先行公開で体験した展示内容を紹介する。
●用意した3つのゾーン 内容は?
 NTTパビリオンの展示は、テーマごとに3つのゾーンに分かれる。「Zone1」では、通信手段の変遷を体験できる。ブースには、手紙やモールス信号送信機、黒電話、多機能電話機、スマートフォンを展示。それらと連動する映像を、壁面のディスプレイで流しながら、人のコミュニケーションの歴史をたどる。ビデオ通話など近年の通信手段も取り上げながら、その価値や限界などを表現する内容だ。
 「Zone2」では、テクノポップユニット「Perfume」によるライブパフォーマンスのリアルタイム3D伝送を追体験できる。3Dグラスをかけ、Perfumeが目の前で踊っているような3D映像を見られるほか、Perfumeのステップにあわせて床が振動する仕組みになっており、その場でライブを見ているような臨場感を味わえる。
 ライブは2日、大阪府吹田市の万博記念公園で実施したもの。同ライブのステージには、カメラや位置トラッキング用センサーなどを設置し、床には振動を再現する部品を埋め込んだ。取得したデータは大阪市夢洲のNTTパビリオンへリアルタイム伝送。Perfumeのダンスから、ステージ全体の空間、床に伝わる振動までリアルタイムで再現した。映像も単に視差映像を投映するだけでなく、映像データから3次元情報を構築し自由な位置でのカメラワークを実現しているような演出も見られた。
 「Zone3」のテーマは、IOWNの社会実装により、バーチャル空間でのコミュニケーションが発展した未来だ。ブース入口にあるカメラで来場者の全身写真を撮影し、その場で来場者をバーチャル上に再現した「Another Me」を作成。動画生成AIとみられる技術により、Another Meが表情を変えたり、動いたりする姿を壁面のディスプレイに映し出す。なお撮影したデータはその演出でのみ利用し、演出の終了後は削除するとしている。
●建物の外で楽しめる展示も
 Zone3を出た先では、音や映像に加え、触覚も伝えられる電話型の展示「いのちふれあう伝話」なども設置。万博会場に敷いたIOWNにより、シグネチャーパビリオンの「いのちの動的平衡館」にある同じ端末と通信できるという。
 またNTTパビリオンの建物にも、IOWNを活用した仕掛けを施している。建物の外周を囲む格子状のシートは、Zone2のブースにあるカメラで捉えた来場者の“笑顔”に反応し、揺れる仕組みだ。IOWNにより、カメラ映像を大阪市の京橋駅近くにあるNTT西日本本社に伝送。光信号を用いて計算する「光コンピューティング」によるAI分析を行い、その結果を元にシートを動かすという。
 光コンピューティングを活用するにあたり、電気信号と光信号の変換による消費電力を減らす「光電融合デバイス」をNTT西日本本社に初めて実装。従来のコンピューティング技術に比べ、消費電力を8分の1に抑えたとしている。
 NTTは、AIの発展などによる消費電力の世界的な増大を背景に、光電融合デバイスで「2030年代には消費電力を100分の1にしたい」と説明。1970年の大阪万博で携帯電話の元となった「ワイヤレステレホン」を公開した同社(当時日本電信電話公社)の、通信手段の発展に対する熱意を見せた。

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