航空機の技術とメカニズムの裏側 第487回 海外で見てきた現地現物(4)ヴィッカース・ウェリントンの大圏構造

2025年5月27日(火)9時5分 マイナビニュース


イギリス中部、バーミンガムから少し北西に行ったところに、コスフォード空軍基地があり、そこに英空軍博物館が設けられている。英空軍の博物館だから、英空軍が過去に使用したことがある機体がてんこ盛りだ。→連載「航空機の技術とメカニズムの裏側」のこれまでの回はこちらを参照。
ウェリントンという機体
そこで展示されている機体の一つに、ヴィッカース・ウェリントンB.Xがある。「B.X」とは「B Mk.X」すなわち「10型で爆撃機仕様」という意味になる。この機体、外から見ると普通の双発爆撃機だが、内部構造が普通ではない。
開口の内側に菱形の構造材が見える。これがウェリントンの特徴であるところの「大圏構造」。普通なら前後方向の縦通材と円周方向の部材を組み合わせて、そこに外板を張って機体構造を構成するところだが、この機体はそれぞれ角度が異なる斜め方向の部材を組み合わせて、籠みたいな構造にしている。
「分かっている展示だなあ」と感心したのは、機体の尾部付近に、その構造材のサンプルが置かれていること。それがこちら。おおむね直交する斜め方向の部材を組み合わせて、交差する部分をリベットで固定している様子が分かる。
説明パネルに“STRENGTH WITHOUT WEIGHT”と書かれている通り、「軽くて強固な構造」を目指した結果がこれ。重たくなっても良い航空機というものは世の中に存在しない。
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