高電圧トラブルに揺れるデイトナ「パンデミックにならないことを願う」10個ものバッテリーに影響か

2025年1月25日(土)10時12分 AUTOSPORT web

 1月25日にスタートするデイトナ24時間レースに向けて、高電圧関連の問題が相次いで発生していることについて、複数のGTPクラス参戦マニュファクチャラーが懸念を表明している。ポルシェのLMDhファクトリーディレクターを務めるウルス・クラトルは、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のシーズン開幕戦で「パンデミックにならないことを願う」と述べた。


 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツとBMW MチームRLLは、前週の公式テスト『ロア・ビフォア・ロレックス』以来、それぞれ少なくともふたつのLMDhハイブリッド・パワートレインの交換を余儀なくされており、さらにある情報筋によれば、今回デイトナ・インターナショナル・スピードウェイでは合計で10個ものバッテリーが影響を受けたか、交換されたという。


■信頼性は、昨年から後退?


 最初の明らかな故障は、ロアの初日に発生した。フェリペ・ナッセの7号車ポルシェ963がバックストレッチで停止し、IMSAの高電圧安全プロトコルに従いクルマから飛び降りざるを得なくなったのだ。


 23日木曜日の予選の序盤にコース上で停止したシェルドン・ファン・デル・リンデの25号車BMW Mハイブリッド V8も、ハイブリッド関連の問題と診断されている。


 他の複数のGTP車両も、ロア中にトラブルが発生したカスタマー・ポルシェ963の2台を含め、さまざまな程度でハイブリッド関連のトラブルを抱えているとみられる。


「パンデミックにならないことを願う」とクラトルは金曜日の午後、記者団に語った。


「高電圧の問題を議論する会議から戻ったばかりだ。交換されたバッテリーの総数はわからないが、間違いなく多すぎる」


「今日はガバナンス機関、ボッシュ、フォーテスキュー・ゼロ、関係者全員を含む会議があった。状況が制御されていることを願っている」


 クラトルは、ギヤボックスプロバイダーであるXトラックとは関係のないハイブリッド・パワートレインの問題は、すべて異なる形態の問題であると指摘している。


 LMDh車両では、ボッシュ・モータースポーツが共通MGUを供給し、フォーテスキュー・ゼロ(旧WAEテクノロジーズ)が単一電源バッテリー・システムを担当している。


「このケースは、さらに複雑になる」と、クラトルはさまざまなタイプのトラブルについて言及した。


「我々にできることは何もない。ここにある既存の部品で、何かが起きていないかどうかを確認するだけだ」


「だが関係者全員、繰り返しになるがフォーテスキュー・ゼロと関係者全員が、このトラックで、そしてヨーロッパの拠点でも、大きな努力を続けていることは保証できる」


「彼らは素晴らしい仕事をしているが、信頼性の観点では、昨年と比べて後退したように見えると言っても過言ではないだろう。そして、それがなぜなのかを解明する必要がある」

デイトナ・インターナショナル・スピードウェイのガレージで作業を行うポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ


 ポルシェのモータースポーツ担当副社長、トーマス・ローデンバッハは次のように付け加えた。


「参戦3シーズン目を迎え、IMSAのシーズンでもっとも重要なレースを迎えるが、これは最高の気分ではない」


「一方で、世界中の誰もが、明日のどの競技者にも影響が及ばないように全力を尽くしていると思う。その影響が出ることは、最悪の事態だからだ」


「レース中に、共通部品によるインシデントが起きることを、我々は望んでいない。それはおそらく、最高のフィーリングではないだろう」


■ペンスキーは決勝前にバッテリーを再度交換へ


 BMW Mモータースポーツ・ディレクターのアンドレアス・ルースは、予選で25号車に起きたトラブルは、「高電圧システムの問題であることは明らか」と認めた。


 BMWは先週の走行開始以来、少なくとも3回のバッテリー交換を行ったと理解されている。


「クルマは今、良い状態に戻っている」とルースは金曜日の朝に語った。


「だが、予選において車両がコース上で止まるのは、明らかに望ましくないことだ」


 懸念材料はないかと尋ねられたルースは、「プラクティスやテストで問題がまったく起きないと、最後にはいつも気分が良くなるものだ」と答えた。


「確かに少しは懸念はあるが、一方で、(金曜の)FP3ではすべてをまとめ、良いマシンだったことを示した。レースではその流れで臨みたい」

BMW Mチーム RLLの25号車BMW Mハイブリッド V8


 ポルシェ・ペンスキーのマネージング ディレクター、ジョナサン・ディウグイドは、問題が特定の部品のロットにまで及んでいないことを示唆した。


 LMDhプラットフォームの3年目となる今年、コンポーネントにアップデートは行われていないと理解されているが、ディウグイドは生産ロットに「いくつかの新しい部品」があると述べた。


 ポルシェ・ペンスキーは、土曜日のレース開始を前に、金曜夜にファクトリー・エントリーの2台のバッテリーを再度交換すると理解されている。


「セルやサプライヤーを変更したわけではないが、この種のことではごくわずかな違いがあるのは普通だ」とディウグイドは説明した。


「我々は、問題を理解し、自分たちがコントロールできることを確実にするために全力を尽くしている。サプライヤーと協力して、問題の原因について彼らの意見やフィードバックを得ようと努め、できる限り多くの項目にチェックを入れようとしている」


「だが、我々はレースに向けて、温かい、心地よい気持ちでここに座っているわけではない」


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