堅実なデビューを狙うJujuに近藤会長は「周囲が冷や汗かく走りを」。大湯は「ここからが大変な領域」

2024年2月15日(木)21時56分 AUTOSPORT web

 JRP日本レースプロモーションは2月15日、東京都内で『2024 SUPER FORMULA プレスカンファレンス』を開催した。


 3月に鈴鹿サーキットで開幕する全日本スーパーフォーミュラ選手権の2024年シーズンを控え、近藤真彦JRP取締役会⻑、上野禎久JRP社⻑、⼤湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、Jujuこと野田樹潤(TGM Grand Prix)が登壇。JRP首脳陣からは今季から始まる施策などが紹介されたほか、選手からは開幕に向けた意気込みなどが語られた。


■強みは「ヨーロッパで鍛えられたメンタル」とJuju


 カンファレンス中の質疑応答や事後の囲み取材などでは、この日日本大学スポーツ科学部への入学を発表したJujuにひときわ大きな注目が集まっていた。


 史上最年少、そして初の日本人女性のスーパーフォーミュラ挑戦ということで注目と期待が膨らむなか、Juju本人は周囲の喧騒をよそに至って冷静に、かつ力強くコメントを残していた。


「今年は経験値がすごく少なくて、日本のサーキットも初めてなので、たくさん学ぶことがあると思うのですが、はじめから順位を求めているわけではなくて」と壇上であいさつしたJuju。


「史上最年少、日本人女性初で参戦するというだけでも、大きな目標のひとつを達成できたかなと思いますので、はじめはひとつひとつ学んでいって、レースを楽しんで、成長を見せられたなと思っています」


 すでに2023年12月、参戦発表よりも前に鈴鹿での3日間の合同/ルーキーテストにTGMから参加したJujuは、スーパーフォーミュラ&鈴鹿初走行という状況のなか、総合トップから2.243秒おくれのベストタイムを残した。直後には担当エンジニアも「開幕前の鈴鹿テストでマイレージを稼いで、ギャップを詰めていけば『Q1突破』は見えてくると思う」と述べており、パドックでもJujuが初テストで残したタイムに賞賛の声が聞かれた。


 しかし、あくまでもJujuは慎重な姿勢を崩さず「国内最高峰のレースですごくレベルが高く、国内トップドライバーであったり、すぐにでもF1に行けるような方が海外から集まっているので、最初から勝ちに行くのは現実的ではない」と口にした。


 着実な成長を見据えるJujuは、自身の長所を訊かれると「メンタル面」を挙げている。


「14歳のときにヨーロッパに行って、日本だったらぶつからないような壁にもたくさんぶつかってきて、その中でも父とレースを始めたときに決めた『負けても負けても諦めない』という気持ちでずっとやってきて……そのなかで、メンタル面はすごく鍛えられたかなと思います」


 Jujuは日本との文化や考え方の違いについても言及し、「自分を主張していかないと、どんどん取り残されてしまいます」とこれまで主戦場としてきた欧州での体験をもとに語った。


「日本だと『そこまでして勝って恥ずかしくないのか』とされるようなことでも、ヨーロッパだと『負けるのが恥ずかしいこと』という考え方だったりします。そういった文化の違いなども理解して、その上でメンタルは“鍛えられざるを得なかった”のかな、と思いますね」


 また“日本人女性初”という面から注目されることについては、「自分自身、“女性初”ということに対して、そこまでこだわりはありません」と心境を口にしている。


「ただ、結果的にいままで自分が頑張ってきて、周りのチームと家族とファンの皆さまの応援があってここまで来れて、その結果(日本人)女性初、史上最年少でスーパーフォーミュラにデビューできたというのは、いままでやってきたことに対してすごく自信にもなります。それがまた、次代の女性ドライバーに良い影響を与えられたらなと思います」

カンファレンス後、メディアの囲み取材に対応するJuju(TGM Grand Prix)


■ここから先が“腕の見せどころ”


 テストでの走り、それ以降のメディア等を通じた盛り上がりについて、近藤JRP会長は「最近Juju選手が注目されていまして、モータースポーツ以外のメディアにも取り上げられているような状況もありますけども、JRPとしてはもちろん女性、日本人初ということも大事なのですが、ルーキーとして、男女問わず、温かい目で見ていかなければいけないなと思います」と語ったうえで、「個人的には僕も『どこまでやってくれるかな』というのをすごく楽しみにしています」とその心境を口にした。


「レギュラードライバーが冷や汗かくような、そんな走りをしていただければと。実際に鈴鹿のテストでも拝見しましたが、『ちょっと油断すると、Juju選手に抜かれちゃいそうでした』というドライバーの声もありましたし、そういう意味では期待しています」


 メーカー間移籍でこのオフ注目を浴びている大湯も、Jujuの鈴鹿での初テストでの走りを素直に賞賛する。ただし、スーパーフォーミュラでの先輩として、そして昨年自身が乗っていたTGMの53号車を“引き継いだ”立場からも、この先に出現するであろう“壁”の存在を強調した。


「事前にシミュレーターとかでの準備はあったのでしょうけど、年齢を考えても、3日間のテストであの領域までポンって行けるというのは、いままでずっと積み重ねてきた成果の賜物なんじゃないかと思います」と大湯。


「普通は女性ドライバーでそこまでできる人はなかなかいないと思うので、それはすごいんじゃないか、と率直に思いました」


「ただ……」と大湯は続けた。


「あそこからが大変だと思います。もちろん、元・僕のクルマで乗っているはずなので、ここからがセットアップ的にもかなり……(笑)かなり大変な領域のクルマじゃないかなと思います」


 大湯によれば、「そこから先は、コンマ1秒……どころか、100分の1秒を詰めていかなければいけない作業になっていくので、“腕の見せどころ”」だという。


 これからも出現し続けるであろう“壁”に、Jujuはどう立ち向かっていくのか。まずは2月21〜22日に鈴鹿で行われる公式テストでの走りが注目される。

カンファレンスに出席した大湯都史樹、岩佐歩夢、Juju
2023スーパーフォーミュラ合同/ルーキーテスト Juju(TGM Grand Prix)


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