「凄まじかった」中谷潤人の戦慄KO防衛 メキシコ・メディアも“無敗男”の完敗に驚嘆「左だけで夢を終わらせるのには十分だった」
2025年2月25日(火)5時40分 ココカラネクスト

圧倒的な形で防衛戦を制した中谷。(C)産経新聞社
無敗の挑戦者すらも寄せ付けない貫禄の勝利だった。
2月24日、ボクシングのWBC世界バンタム級(53.5キロ以下)王者・中谷潤人(M.T)が、東京・有明アリーナで自身3度目の防衛戦に臨み、同級6位ダビド・クエジャル(メキシコ)に3回KO勝ちを収めた。
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過去にダウン経験がない挑戦者クエジャルは、中谷にとって過去の対戦相手で最長身となる難敵。タフガイの攻略術が注目を集めたが、27歳の王者は全くと言っていいほど苦にしなかった。
初回から主導権は完全に握った。タイミングのいい左ストレートを次々とヒットさせた中谷は、2回も上下に散らし、クエジャルを翻弄。反撃の余地すら与えずにどんどんと追い込んでいく。そして3回にあっけなく試合は決着する。
リング中央に立ち、相手をじわじわと追い詰めた中谷は、終盤に、左ボディーを効かせると、追撃の左ストレートを炸裂。これで先制となるダウンをもぎ取ると、なおも攻勢を強めていく。とてつもない強打を受けてほぼグロッキー状態で立ち上がったクエジャルだったが、再開直後に渾身の左フックを被弾。2度目のダウンを喫すると、表情は虚ろなまま。リングにへたり込んだまま、10カウントを数えたレフェリーが試合を止めた。
文字通り敵なしの強さを発揮した中谷。体躯で上回られた相手を、パワー、戦略、テクニックで凌駕し、もろともしなかった才覚はまさに圧巻の一語だ。そんな衝撃的なKOには、クエジャルの母国からも賛辞が相次いだ。
メキシコのスポーツ専門サイト『Izquierdazo』は「クエジャルは人生最大のチャンスを手にし、ナカタニにプレッシャーをかけ始めたが、危険な反撃を許した。日本人チャンプは技量が圧倒的に高く、攻略する術を見つけるのは難しかった」と試合を回想。勝負を決めたKOシーンも「メキシコ人挑戦者を倒す決意を固めたナカタニは凄まじかった。彼は最後に3連発のパンチを繰り出したが、顔面に繰り出した最初の左パンチだけで、クエジャルの夢を終わらせるのには十分だった」と驚きをもって伝えている。
同じくメキシコの放送局『Telediario』は「ナカタニはなぜ自分がこの階級で際立った王者であるのか、そしてなぜ自分が世界的なパウンド・フォー・パウンド・ファイターの一人とみなされているのかを証明した」と勝者を激賞。「クエジャルの揺るぎない夢は叶えられなかった」と試合をまとめている。
現スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)との将来的なビッグマッチに向け、これ以上にない結果を残した中谷。世界でも声価を高める「ネクストモンスター」の存在感は増すばかりである。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]