ベガス帰還戦でも揺るがぬ“優位” 井上尚弥の絶対性を物語る敗れし者の言葉「イノウエが負けるなんて微塵も思えない」

2025年5月4日(日)7時0分 ココカラネクスト

ラスベガスのリングに舞い戻る井上。その強さに脚光が集まっている。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 日本が生んだ“怪物”が、ラスベガスのリングに舞い戻る。現地時間5月4日、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は、米ラスベガスのT-モバイルアリーナで、WBA同級1位のラモン・カルデナス(アメリカ)の挑戦を受ける。

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 ゴングの瞬間が間近に迫り、緊張感や盛り上がりも高まっている。ボクシング界屈指のビッグマッチが組まれるメキシコの記念日「シンコ・デ・マヨ」で実現した一戦とあって、21年6月のアラン・ディパエン(フィリピン)戦以来となるラスベガス帰還を果たす井上本人も「凄い期待値を感じる。だから自分の中でもモチベーションとし、それだけの試合をお届けしたい」と意気込んでいる。

 もっとも、世間の下馬評は「井上の勝利」という声が大半を占めている。カルデナスも直近の14戦は全勝(5KO)と一定水準を兼ねるボクサーではあるものの、各国メディアのパウンド・フォー・パウンドのトップを争っているモンスターの牙城を崩すとは言い難い。

「結果こそすべて」と言われる異色の世界にあって、29戦無敗、26KOという戦績は、井上の偉才ぶりを物語る。文字通り敵なしと言える強さを誇示し続ける男の凄みは、彼と拳を交わし、キャンバスに沈んでいったライバルたちの言葉からも滲み出る。

「両手に石を持っているかのようだった」

 米格闘技専門メディア『Uncrowned』で、しみじみとぼやいたのは、元WBA世界バンタム級王者だったジェイミー・マクドネル(英国)だ。2018年11月に井上と対峙した名手は「初めて彼を見た時は13歳の子どもに見えたんだ」と第一印象を正直に告白。その上で、わずか1回で勝負が決したリングで体感した衝撃を打ち明けている。

「イノウエのパンチは本当にハードだ。減量の厳しさはあったけど、彼とは対格差を感じていた。けど、それでも彼は俺を打ちのめした。もし、1ラウンドでKOしていなかったら、俺は終わった瞬間にリングから引きずり出されていたと思う」

 当時10年間無敗を誇っていたマクドネル。そんな“絶対王者”に沈めた井上のポテンシャルは、まさに異次元と言えよう。

元世界王者が語った井上との「差」

 勝ち筋を見出せなかったマクドネルがそうであったように、多くのファイターたちは井上の隙を見出せぬまま、防戦一方となって敗れている。

 では、曲がりなりにも世界チャンピオンの称号を手にした名手たちと井上の差は何か。20年10月にラスベガスで対峙し、7回KOという鮮烈な形で黒星を喫したジェイソン・モロニー(豪州)は「イノウエは本当に並外れた選手だ。ラッキーなパンチが当たるかどうかが、彼を倒せる唯一のチャンスだ」と強調。そして、怪物とマッチアップした際の胸中を赤裸々に語っている。

「彼を語る上で重要なのは、イノウエが本当に自分に自信を持っているということなんだ。彼はいかなるリスクを恐れない。だからこそ、彼は観ていてワクワクするし、危険な存在になっている。彼は自分自身のパワーを信じていて、攻撃するときは、攻撃を受ける覚悟もできている」

 圧倒的な攻撃力を活かすためには、ある程度のリスクも必要になる。それを犯すためには図抜けた胆力が求められるわけだが、モロニー曰く井上は、十分すぎるほどのメンタリティーを備えているという。

 試合後に病院送りとなった34歳は、こうも続けている。

「いったい実力者がいるだろうか。彼がさらに階級を上げて、より大きく、より肉体的に強い相手と対戦するようになれば、対戦相手は成功を収められるかもしれない。だけど、今のところ、イノウエが負けるなんて微塵も思えない」

 群雄割拠のボクシング界にあって「負けるなんて思えない」と言わしめる井上。そんな傑物は、世界中の熱視線を集めるラスベガスのリングでいかなる戦いを繰り広げるのか。その一挙手一投足への興味は尽きない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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