悪夢払拭し安堵の牧野「鈴鹿で勝てて嬉しい」。王者として「ダサい走りはできない」と坪井【第2戦決勝会見】
2025年3月9日(日)19時29分 AUTOSPORT web

3月9日、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで、2025年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第2戦が行われ、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの牧野任祐が5番グリッドから逆転で優勝を飾った。土日の“週末2連戦”となった第2戦決勝の後、勝者牧野と村岡潔チーム代表、さらに2位表彰台を獲得した坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、3位に入った岩佐歩夢(TEAM MUGEN)の計4名が記者会見に臨み、それぞれがレースを振り返った。
村岡潔チームプリンシパル(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
——週末の2レースを振り返って
「勝てて不満もなにもないですが、人間は欲深いですからね。昨日もそうでしたが、ふたり(牧野と太田)を表彰台に乗せてやりたかったですね」
「ただ、昨日のふたり(2位:岩佐歩夢と3位:佐藤蓮)も、今日のふたり(坪井翔と岩佐)も素晴らしいドライバーです。こういったドライバーと戦って一番なれたということが幸せですし、それを皆さんにお見せできた。そしてトップが牧野選手、昨日は太田選手と、ダンディライアンがそれぞれ獲れたので、それは『ありがたい』の一言ですね」
——太田選手は残念な結果になりました。
「ペナルティの判断ですよね。あれはもう結果を待つ以外になにもないので、それが出るまではもう全開で行くと。結果が出たら、それはもうすべて結果ですから、それがどうこうというのはなく次の糧にするだけです」
「今回はペナルティ。そういうこともあるし、例えば昨日のタイヤ交換(全車同時ピットイン)でも同じですよね。全員が運、不運を背負って走る。それがモータースポーツのまたいいところであると思います。先ほど言ったように、いろいろな展開を見てもらったということが、本人たちの糧になる。それを次に活かして活躍して、この場に(ダンディライアンの)3人が揃うようにならないと、トップにはなれないということではないでしょうか」
「牧野選手は昨日、本当につらかったと思いますが、ひと晩寝てここへ戻ってきていることはやはり素晴らしいですし、太田選手が昨日勝った後、今日はああいう状況でもくじけず、何とか(後ろのクルマに)5秒以上の差をつけようとするアプローチは本当に素晴らしかったです」
「それを阻止するこのふたりのドライバーはね、もっとも嫌なふたりですけど(笑)、でも、それはレースとして素晴らしいことだと思います。ありがたい体験をさせてもらったので、感謝でいっぱいです」

牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
予選:5番手 決勝:優勝
「昨日のレースは仕方がないと言えば仕方がないのですけど、一応1ポイントを取ることができました。ただ、内容的には本当にめちゃくちゃ厳しかったので、今日は何とかリベンジすることができてシーズンを考えても良かったですし、個人的にも鈴鹿勝てたのは嬉しいですね」
「土曜の開幕戦はいろいろと考えることがありました。今日のレースは気持ちを切り替えて臨むことができましたが、予選はパッとしなくて本当にどうしようかなと思ったのですけど、結果的にこうして優勝できたので良いレースができたんじゃないかと思いますし、ひとまず安心しています」
——ピットインの判断は
「おそらく、無限と僕らはすごい悩むシチュエーションというか、お互い近くにいることによって作戦の幅がある意味狭まるし、スタートでどちらのドライバーが前に行くか次第で展開がすべて変わる。本当に決め打ちができない状況でした」
「無限が1台入ったら僕はステイアウトするだとか、いろいろ決めていました。ただシチュエーションのバリエーションがありすぎて、この1周目からピットインができるフォーマットはかなり大変だなという印象です」
「今回、僕はもう引っ張るしかないかなとは薄々思っていて、というのも何となく岩佐選手が(1周目でピットインした野尻智紀に)反応して入るだろうなと思っていたので。だから、なんとなく描いてた展開だったのかなと思います」
——次戦は昨年勝ったもてぎ
「時期が全然違いますけど優勝できたサーキットですし、昨シーズンは良いバトルができた中でのレースだったので、個人的にもすごい好きなサーキットです。2レースともしっかり獲れるように、また次に向けて有意義な時間を使いたいと思ってます」

坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
予選:3番手 決勝:2位
——2戦目で今季初ポディウムとなりました。
「結果に対しては大満足です。正直、今週はまったく表彰台が狙えるような状況ではなかったので、『まさか表彰台に乗れるとは』と驚いています」
「昨日は無線が駄目で、それでも展開には助けられるかたちで4位になれました。今日も一時は5位まで落ちる展開でした。引っ張り組の2番手を走っていて、やはり牧野選手のペースが尋常なく速かったので、そこの部分は足りてないところがたくさんあったかなと思います。このラウンドは事前にかなり厳しい2レースになると予想してたので、ひとまずは『耐えたな』という感じで、いまは非常に嬉しいです」
——今週はホンダ勢が強かった
「練習走行から予選も結構圧倒されちゃってたな、というのは正直見ればわかると思うのですけど、(トヨタ陣営も)このままでは終われないですし、僕も王者としてダサい走りはできないので、しっかりと食らいついていきたいです」
「やっぱりチャンピオンをもう一年取らないといけないと思うので、一戦一戦大事に頑張っていきたいと思います」

岩佐歩夢(TEAM MUGEN)
予選:2番手 決勝:3位
——チャンピオンシップの首位に立った
「そこをあまり意識して戦っていたわけじゃないので、結果的に良い位置につけるというのはもちろんポジティブに捉えていますが、昨日は昨日でいろいろなミスがあったりして取りこぼしてしまい、今日は今日で純粋にペースがなく苦しいレースになってしまいました」
「パフォーマンスとしては、まだまだ足りない部分がマシンも、ドライバーもいろいろなところで細かくあります。もちろん、いま自分たちのやっていること、成長している部分に関してはすごく自信を持っていますが、次戦以降に向けていろいろ分析して『さらに速く、強くならないといけない』と感じた週末でした」
——戦略の判断はいかがでしたか
「野尻選手のアンダーカットに対してのカバーだったので正直、いま考えても引っ張ったほうがよかったと言われると、そうなのかもしれないですけど、でも、あの状況からすると僕たちの判断は間違いではなかったのかなと思います」
「問題はやはり純粋にペースがなかったこと。もし、ピットインを引っ張っていたとしても、それこそ今日優勝した牧野選手のようなパフォーマンスと同じようなペースで走れたかと言われると、ちょっと怪しいところはあります。なので戦略は問題ではなかったと思います」
