佐々木朗希の真っすぐは意外に“遅い”!? 令和の怪物がメジャーの強打者を「圧倒」するために必要なのは――
2025年4月28日(月)5時40分 ココカラネクスト

いまだメジャー初勝利を手にできずにいる佐々木。(C)Getty Images
欲しかった白星は掴めなかった。それでも“自信”は掴んだマウンドだった。
現地時間4月26日、ドジャースの佐々木朗希は本拠地でのパイレーツ戦に先発登板。5回2/3(93球)を投げ、被安打5、与四死球3、3失点、4奪三振で降板。勝敗がつかずにメジャー6登板目での初勝利はお預けとなった。
【動画】強打者クルーズを翻弄した「魔球」 佐々木朗希のフォークをチェック
初回にパイレーツの先頭打者オニール・クルーズに初球の96.8マイル(約156キロ)の直球を捉えられて特大弾を被弾した佐々木。出鼻をくじかれた23歳だったが、そこから踏ん張った。与四球で走者を許しながらも、要所で“伝家の宝刀”フォークを効果的に投球。パイレーツ打線に的を絞らせずに2回から4回まではスコアボードに「ゼロ」を刻んだ。
結局、5回も2失点を喫して6回途中に降板になったが、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督が「ストライクを効果的に投げていくという点では今季一番の登板だったかもしれない」と称賛する内容だった。
少しずつメジャーの水にも慣れ始めている。6度の登板で改善されている投球内容には、佐々木本人も自信を口にする。試合後、地元スポーツ専門局『Sports Net LA』などの取材に応じた際に「すごく良い軌道で投げられてますし、コントロールもボールになってもある程度自分の思ったところに行っている感じもある」と告白した。
では、遠い勝利を掴むためには何が必要だと考えているのか。佐々木は、そのヒントともなり得る自身の考えを明らかにしている。
「球速だったり、球威だったり、そう言うところが上がってきたらもっと楽になるんじゃないかなと思ってます」
球速は開幕前、もっと言えば、メジャー移籍前からこだわってきた要素だ。1次選考を突破した8球団との面談では、「昨シーズン、日本でなぜ速球(の平均球速)が落ちたか。その原因を突き止め、二度と起きないと保証するためのプランを提示してください」と課題の逆提示。ルーキーとしては異例の要求を突きつけるほどだった。
実際、佐々木の真っすぐはメジャーという環境では決して“速くない”。というのも、4シームの平均球速は96.5マイル(約155.3キロ)なのだが、これはメジャーリーグ全体では16番目の値。1位のハンター・グリーン(レッズ)とは2.8キロ差だ。ゆえにロッテ時代に100マイル(約160.9キロ)を連投していた本人が何らかの異変を感じているのは想像に難くない。
こうした球速データから現地メディアでも球威のさらなる向上を求める声は強まっている。ドジャースの専門サイト『Dodgers Daily』は「ササキがメジャーリーグの打者を『圧倒』できる球にするには、正確なポジショニング、動作、そして欺瞞の技術が必要となる」と指摘。現時点の4シームを効果的に生かす投球術を身に着けるべきと指南した。
そうした中で、「打者をよく見ながら、スライダーや速球も効果的に使って、とてもいい仕事をしてくれた」と言うロバーツ監督の指摘はポジティブと言えよう。佐々木は本領とも言えるクレバーな投球は見せ始めている。
ロッテ時代に見せていた相手打線を牛耳る支配的な投球まであとちょっと。日進月歩で進化を続けてきた“令和の怪物”の歩みは止まらない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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