アーツに勝ってミルコに負けた男が、秒殺KOの倉本一真にエール「負けて強くなることで謙虚さと感謝が生まれる」

2023年4月30日(日)18時40分 ココカラネクスト

太田の右フックを食らった倉本。力を発揮する間もなくマットに沈んだ(C)RIZIN FF

 4月29日に東京・代々木第一体育館で行われた「RIZIN LANDMARK 5」で、2016年のリオデジャネイロ五輪で銀メダルに輝いた太田忍が、同じレスリングをバックボーンとする倉本一真に1ラウンド27秒でKO勝ちした。

 ともにレスリングエリート同士として凌ぎを削ってきた戦友。年齢は倉本が7歳年上ではあるが、レスリング時代は2勝1敗で倉本が勝ち越している。

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 倉本は全日本レスリング選手権大会男子グレコローマンで3連覇するなど実力は折り紙付きでありながらも、オリンピック出場経験はなく、戦いの場を総合格闘技に移した。総合プロ13戦目の倉本に対し、太田は総合格闘技2勝2敗でプロ5戦目。倉本有利の下馬評を覆しての電撃勝利だった。

 同大会を観戦した元総合格闘家で、ヴァンダレイ・シウバやグレイシー一族などと対戦経験もある大山峻護さんは、「太田選手にとっては初めてレスリングで勝負ができない試合。打撃がどこまでなのかが鍵ですね」と予見。試合開始早々、太田が組みに出る。組みから離れながら放った倉本の右フックに、太田が右クロスをあわせると倉本の顎にヒット。倉本は倒れ込み、レフェリーが試合を止めた。レスリングエリート同士の決戦は太田に軍配が上がった。

 大山さんは「太田選手は瞬間を見逃さず、素晴らしいカウンターでした。倉本選手としてはとても悔しい試合になってしまいましたね。僕もそういった経験があるので、気持ちは痛いほどわかります…」と慮ると、当時をこう振り返った。

「かつてPRIDEでミルコ・クロコップと対戦した時、当時ミルコが負け込むような試合もあったので、『大山も勝てるんじゃないか』という風潮があったんです。僕もちょっとそんな気持ちがあったけど、実際は何もできず開始1分でKO負けでした。『なんであの時…』って、ただただ自己嫌悪に陥ってしまいましたね。そこからもうPRIDEにはいられないと思って去ったんですけど、HERO’Sからオファーが来て、まだ必要とされているんだって嬉しかったです。

 その時、現在の平本蓮選手の師匠・岩崎達也さんに従事して、間の取り方とか、構えとかを教えてもらいました。おかげでHERO’Sの旗揚げ戦で勝つことができたし、その後の大晦日には目標だったピーター・アーツ戦で一本勝ちしました。格闘家人生では負けることの方が多かったですけど、負けることで強くなる、得られることもたくさんありました。そうやって成長していくと謙虚と感謝が出てくるんです。そうなるとさらに強いですよね。だからこそ、倉本選手にはこの負けを糧にさらに進化して戻ってきて欲しいですね」

 辛酸をなめた元エリートは、必ず何度も這い上がってくる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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