【柔道】阿部一二三 48キロ重い相手に2回戦敗戦も...無差別級挑戦「悔いなし」

2025年4月30日(水)5時0分 スポーツニッポン

 ◇柔道 全日本選手権(2025年4月29日 日本武道館)

 体重無差別で男子日本一を決める大会が行われ、66キロ級五輪2連覇王者の阿部一二三(27=パーク24)が初戦を突破した。初出場で体格差のある相手にも真っ向勝負。72キロの体重で臨み、2回戦で120キロの鈴木太陽(22=日本製鉄)に一本負けも場内を大いに盛り上げた。100キロ超級対決となった決勝は香川大吾(28=ALSOK)が決勝でリオ五輪銀メダルの原沢久喜(32=長府工産)を破って初優勝を果たした。

 激闘を終えた阿部一の表情は充実感に満ちていた。「投げにいく攻めの柔道ができたので悔いはないです。全日本の畳に立てて幸せだったなと思います」。最初で最後と決めて臨んだ夢の舞台で、持てる力を出し切った。

 今大会は足取りが可能で旗判定ありという特別ルールだが、そこには左右されず真っ向勝負で自分のスタイルを貫いた。初戦は81キロ級の佐藤佑治郎に、得意の袖釣り込み腰に近い背負い投げで一本勝ち。試合時間はくしくも「一、二、三」並びの1分23秒だった。2回戦は、残り1分を切ると「もう投げにいこうと思った」と決心。抱きついて大内刈りにいくところを返されたが「自分らしい柔道ができた。正面からぶつかれてよかった」と後悔はなかった。

 柔よく剛を制す戦いが今大会の醍醐味(だいごみ)。「小さい子供たちも見に来ていて、軽量級選手が重量級相手にも戦えるというのは見せられた」。妹で女子52キロ級の詩(24=パーク24)は会場で兄の雄姿を見届け「力強さを感じた。あそこまで勝負にいける軽量級の選手はいない」と刺激を受けていた。

 次は世界選手権(6月、ブダペスト)での優勝、そして3年後のロサンゼルス五輪で3連覇を目指す。今大会を終え「無差別の相手に組み手で負けていなかった。あれだけ勝負できたので66キロ級では絶対に負けない」と自信を深めた。さらに「ロスも73キロ級と戦える」と、パリ五輪の決勝で敗れた混合団体のリベンジも見据えた。新境地を開いた無敵の世界王者は、この経験を糧にさらなる進化を遂げる。

 ▽軽量級選手の全日本選手権 近年は五輪メダルや世界選手権優勝で与えられる推薦枠を利用して出場する選手が多く、最近では20年に60キロ級の永山竜樹が初戦で90キロ級の選手に勝利した。14年には73キロ級の大野将平が初戦で100キロ級の選手に勝利。90年には当時71キロ級の古賀稔彦が準優勝し、大きな注目を集めた。

スポーツニッポン

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