「挑発はしないように」井上尚弥が対戦相手に笑顔で警告「しっかりとボクシングを見せた上で、中盤にKO」

2025年5月3日(土)22時56分 スポーツ報知

ポーズをとるラモン・カルデナス(左)と井上尚弥

◆プロボクシング ▽WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)王座統一戦12回戦 統一王者・井上尚弥—ラモン・カルデナス(4日=日本時間5日、米国ネバダ州ラスベガス T—モバイル・アリーナ)

 【ラスベガス(米ネバダ州)2日(日本時間3日)=勝田成紀】世界4団体スーパーバンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)が、カジノ&ホテル「MGMグランド」で4日(同5日)のWBA世界同級1位ラモン・カルデナス(米国)との防衛戦へ向けた公式会見に臨んだ。KO防衛を果たせば、伝説のヘビー級王者ジョー・ルイス(米国)を抜いて単独歴代最多の世界戦23KO勝利となる一戦。2万人収容のT—モバイル・アリーナでのビッグマッチを「KOで終わらせないといけない試合」と位置づけ、中盤KOを予告した。

 聖地・ラスベガスのメインイベンターとしての自負をにじませた。ボクシング史を塗り替える偉業が懸かった大一番。尚弥は「記録にこだわってKOするわけではない」と強調した上で、「この試合は、自分の中ではKOで終わらせないといけない試合だと思っている」と力強く語った。

 フィニッシュへのシナリオも思い描いた。「しっかりとボクシングを見せた上で、中盤にノックアウトするのが一番いい形の終わらせ方だと想定している」と予告。「記録のためではなく、自分自身のためにそういった試合内容を作っていきたい。ポイントを加算して勝たなきゃいけない試合も出てくると思うが、今回はしっかり見せ場を作りたい」。米国のファンをもうならせる技術を披露した上で、KOシーンへ帰結させるつもりだ。

 会見では、1月に対戦した金芸俊(韓国)に挑発された直後にKOした映像が流れ、「ちょっとイラッとしたが、倒してやろうと思った」と回想。続けて、司会者を挟んで座るカルデナスに「挑発はしないように」と言葉を投げかけた。無用な挑発が不完全燃焼の速攻KOにつながらないよう、笑顔で警告した。会見後は約17秒間、ガムをかみながら向かい合う挑戦者とフェースオフ。別れ際には余裕の笑みもこぼれた。

 会見場には元世界2階級制覇王者ルーベン・オリバレス氏(78)、元世界3階級制覇王者マルコ・アントニオ・バレラ氏(51)=ともにメキシコ=らレジェンドの姿も。バンタム級で「元祖・怪物」と称されたオリバレス氏との新旧モンスター対面も実現し、「自分の中でファン目線になって、珍しく自分のカメラを渡して撮ってもらうぐらいワクワクした」と話した。

 これまでフリオ・セサール・チャベス、オスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザー、サウル・アルバレスらが名勝負を繰り広げてきたメキシコの祝日「シンコ・デ・マヨ(5月5日)」ウィークのラスベガス決戦。今年は尚弥がジョー・ルイス超えの単独歴代最多、世界戦23KO勝利という新たな伝説を作る。

 ◆ジョー・ルイス 1914年5月13日、米アラバマ州生まれの元WBA(当時はNBA)世界ヘビー級王者。37年6月、王者ジェームス・J・ブラドックに8回KO勝ちし、ジャック・ジョンソン以来史上2人目の黒人の世界ヘビー級王座を獲得。現在も全階級を通じて最多となる世界王座25回連続防衛に成功した。世界戦26連勝もフロイド・メイウェザー(米国)と並んで歴代最多記録。通算66勝(52KO)3敗。ゴルファーとしても52年、PGAツアーでプレーした最初のアフリカ系アメリカ人となった。当時のニックネームは「ブラウン・ボマー(褐色の爆撃機)」。81年4月に66歳で死去した。

 ◆井上尚弥に聞く

 —「シンコ・デ・マヨ」で、メキシコ系米国人のカルデナスが相手。

 「アウェーになるかもという予想もしている。どんな雰囲気の中で試合をするのか非常に楽しみ」

 —自身の持ち味は?

 「パワーをすごく言われがちだが、ディフェンスや距離感、当て勘が自分の中では一番突出しているのかなと思う」

 —調整面で難しさは。

 「ラスベガスは3回目なので、練習時間帯、食事、時差の調整など過去2回の教訓がある。すごくよく仕上がっている」

 —米メディアのインタビューと日本の違いは。

 「日本とはちょっと質問の角度が違うな、何を求めてるのかな、という難しいところもある」

 —会場は視察した?

 「当日じゃないと入れないらしくて、外観は見ました。でかいなと思った。でも東京ドームでも試合しているので、経験として不足はないと思う。リングチェックもする予定はない。入場する時にどう感じるか」

 ◆次戦9月アフマダリエフ戦 尚弥は公式会見後に米メディアの取材に応じ、カルデナス戦をクリアした場合、9月にWBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30)=ウズベキスタン=と対戦することを認めた。

 米専門メディア「ボクシングシーン」が1日(日本時間2日)、9月14日に東京で井上—アフマダリエフ戦が決定したと報道。これを受け「まず、一つ明確に決まっているのがこの試合の次、9月、アフマダリエフ。そこは契約が済んでいると聞いている」と明かした。また、来春にも計画されるWBC世界バンタム級王者・中谷潤人(27)=M・T=との東京ドーム決戦については「その勝者がボクシング界を引っ張っていく選手になる。それは井上尚弥だということを証明したい」と話した。

 〇…世界初挑戦のカルデナスは、尚弥との対戦に向け「タフな試合になることは分かっている。井上はパウンド・フォー・パウンド(全階級を通じての最強ランキング)のトップボクサーだが、世界に自分が何者であるかを示す姿も描けている」と番狂わせに意欲。「お金はいつかなくなるもの。ただ世界王者になれば、100年後も名前が残る」と王座獲得への思いを示した。

スポーツ報知

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