かつての女房役、鶴岡慎也氏が明かすWBCを通じたダルビッシュの苦悩「実戦で投げられなかったのが…」

2023年5月5日(金)11時0分 ココカラネクスト

スコアラー役など側面からチームを支援したことも知られている(C)Getty Images

 この春、日本中に歓喜を巻き起こしたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)日本代表。

 数々のドラマの末、抜群のチーム力で見事掴みとった3大会ぶりの世界一だったが、その結束力の中心となったのは、今大会チーム最年長として選出されたダルビッシュ有投手(パドレス・36)だろう。

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 今大会、ダルビッシュはメジャーリーガーとしては異例となる、開幕前の宮崎合宿初日から参加し、「チームダルビッシュ」を結成。若手投手が中心の侍メンバーに技術面や精神面含めアドバイスを送り続けた。栗山監督もその献身をたたえる、レジェンド右腕には相当な負担がかかったこともその後、知られ始めている。

 1次ラウンドの韓国戦では3回3安打3失点(自責2)、続く準々決勝のイタリア戦では2回を1安打1失点、そして8回から登板したアメリカとの決勝戦ではシュワーバーに一発を浴びるなど、1回1安打1失点。大会3試合の登板でいずれも被弾するなど、本来のパフォーマンスではないように見えた。

 大会中のダルビッシュについて、かつて日本ハムでバッテリーを組み、今大会は侍スタッフとしてブルペン捕手として世界一に貢献した鶴岡慎也氏が大会中の取材、評論を務めた五十嵐亮太と共に「WBC激闘の舞台裏」を語ったYouTubeチャンネル「スポーツナビ野球チャンネル」が現在、公開されている。

 その中で鶴岡氏はダルビッシュの大会中の状態について「正直状態はそんなに良くなかった」とコメント。今大会で12年ぶりに日本で野球をプレーしたダルビッシュにとって、20台前半だった渡米前と36歳となる今回では自身の置かれる立場が大きく違った。

 それゆえに、親交の深い鶴岡氏は、「彼は結構気を遣う人間。今回は後輩も多かったですし、物凄く気を遣ったのでは」と、ダルビッシュの性格をふまえて擁護する場面も。

 加えて鶴岡氏は、合宿期間から通じた調整のむずかしさについても言及。

「実戦で投げられなかったのが1番辛かったと思います。実戦で投げないと、何を調整したら良いのかがわからないので」

 と、大会前にライブBPなどの登板はあったものの、通常のシーズンと違って実戦登板なしでぶっつけ本番で大会に入ったことの影響を指摘した。

 それでも、「しっくり来ていないような仕草はあっても、彼は決して弱音を吐かない。それでもマウンドには上がらなければ行けなかったので、色々なものを背負っている姿に『頑張ってくれ』と思いましたね」と、間近で感じたダルビッシュの「プロ」としての一面と自身の思いを明かした。

 最後は誰もが知る大団円を迎えた。次回大会について「またこのメンバーで集まろう!」とナインに呼びかけたのもダルビッシュだった。日本中に感動を届けたレジェンド右腕の陰の功績は色あせることはない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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