【2世選手が振り返る】慶大・前田晃宏投手 「じん帯切れても」手術受けず最後の秋へ
2025年5月5日(月)5時30分 スポーツニッポン
きょう5日は「こどもの日」。プロ、アマチュア球界で活躍する、父にプロ野球選手を持つ「2世選手」たちが、少年時代の思い出や夢などを振り返り、父への感謝や今後への決意を語った。
【慶大・前田晃宏投手】
父の前田智徳氏は2119安打した広島時代に「孤高の天才」と称された。ケガに立ち向かい続けた努力の人でもある。慶大の最速146キロ右腕・晃宏投手(4年)は大学最終年直前の今年2月、右肘を痛めて医師から右肘じん帯再建術(通称トミー・ジョン手術)を勧められた。それでも手術はせず、最後の秋に復活を目指す。
「正直、試合の中でじん帯が切れてしまっても問題ないという覚悟がある。じん帯は投げなければ日常生活で必要ないもの。投げられずに終わるより、最後に投げて自分への納得がほしい」
父は6年目の95年、右アキレス腱を断裂して選手生命の危機に陥った。だが、そこから1500安打以上を積み重ね、07年には家族の前で2000安打も達成。父と子、顔もそっくりだが、ケガと闘う野球人生も重なる。
「僕も高校の時からケガばかり。そのたびに父の野球人生が道しるべになっている。父の復活する格好良さを知っているからこそ、僕も諦めない」
痛みは承知の上。5月には立った捕手へのブルペン投球を再開した。父譲りの真っすぐな視線は、神宮のマウンドだけを見ている。 (柳内 遼平)