朝乃山の恩師の長男が角界入り、亡き父へ白星届ける…元横綱鶴竜に後押し受ける
2025年5月18日(日)9時19分 読売新聞
幕下最下位格付け出しで初土俵を踏んだ浦山
「今しかできない」角界入りを決意
両国国技館で開催中の大相撲夏場所で、近大出身の浦山(22)(音羽山部屋)が、幕下最下位格付け出しで初土俵を踏んだ。富山商高相撲部の元監督で、2017年に40歳で亡くなった英樹さんの長男。父の教え子でもある元大関の幕下朝乃山の背中を追い、「多くの人に愛される力士になりたい」と意気込んでいる。
夏場所4日目の14日、土俵際に寄ってからの上手投げで玉欧山を仕留め、デビュー2番目で初勝利を挙げた。「父に教えてもらってきた」という前に出る相撲で勝ち名乗りを受け、「とりあえず1勝して気持ちも楽になる」と頬を緩めた。
幼い頃から父の「仕事場」でもある稽古場で遊び、小学2年から本格的に相撲を始めた。中学生の時に父ががんで他界して大きなショックを受けたが、「父を超えられるよう、それまで以上に稽古に打ち込んだ」。相撲が心の支えだった。
大学卒業後は、父と同じ指導者の道も頭にあったという。だが、昨春に近大を訪れた音羽山親方(元横綱鶴竜)から「大相撲でも親方になれば指導できる」と声をかけられ、「今しかできないことに挑戦したい」と角界入りを決めた。1メートル84、170キロの体を生かした押し相撲が得意。まだ体ができあがっておらず、師匠は「まず今場所はプロの土俵に慣れること。体を作り、技術を身につけてひと皮、ふた皮むければ、関取になれるし、ならないといけない」と期待する。
入門前、父の墓前で「今は大相撲で頑張りたい。応援してください」と報告。中学、高校、大学の先輩にあたる同郷の朝乃山にもSNSで伝え、「頑張れ」と激励された。新たな一歩を踏み出した浦山は「いつか朝乃山さんと対戦できれば。地元富山を盛り上げたい」と夢を膨らませている。(滝口憲洋)