早大・伊藤樹のノーノーをアシスト 今季初めて円陣に加わった小宮山監督「サヨナラ勝ちだともれなく…」

2025年5月20日(火)5時0分 スポーツ報知

明大戦でノーヒットノーランを達成した早大・伊藤(カメラ・相川 和寛)

◆東京六大学野球春季リーグ戦 第6週第2日▽早大1x—0明大(19日・神宮)

 プロ注目右腕の早大・伊藤樹(たつき)投手(4年)が明大戦でリーグ史上25人目(通算26度目)のノーヒットノーランを達成した。5四死球を与えたものの11奪三振。2016年秋に慶大・加藤拓也が東大1回戦で果たして以来の快挙だった。0—0の9回に寺尾拳聖(3年)が劇打を放ち、1—0サヨナラでの達成は、連盟100周年にして史上初。元号が令和になって初めて、明大相手にも初めてという記録ずくめの快投だった。

 指揮官の熱い一言が、伊藤樹の令和初の快挙を後押しした。両軍無得点のまま突入した9回の攻撃前。一塁側の早大ベンチ前にできた円陣に小宮山悟監督(59)が今季初めて加わった。

 「サヨナラ勝ちだともれなくノーヒットノーランがついてくる。お前ら、ちゃんとやれ!」

 そのゲキに応えた打線がプロ注目右腕の明大・高須大雅(4年)を攻めて無死二、三塁とすると、寺尾が左前へサヨナラ打。エースは笑顔であいさつの列に加わった。「人生で初めてのノーヒットノーラン。本当にやってしまったなという感じ」と言葉を弾ませた。

 2回まで3四死球とリズムに乗れなかったが、3回以降は鋭い腕の振りから最速148キロの速球、スプリットなどの変化球を低めに集めて明大打線をほんろうした。「ここまでコンディション不良で思うように投げられなかったが、(解き)放たれた感じ」。6回は上位打線を3者連続三振に仕留めるなど11Kを奪った。

 8回は無死一塁で打席が回ってきたが、小宮山監督は代打を送らなかった。「ある程度制球できると感覚をつかんでからは無双状態。ノーヒットノーランを続けている投手を代えるなんて愚を犯してはいけない」という投手出身者らしい思いでエースを続投させた。

 1年春からリーグ戦に登板し3年までに13勝。最終学年へ向けて食事、体のケアなどを普段の生活面から見直してきた。3日の立大1回戦で右手中指のマメがつぶれた影響から5日の同3回戦は3回8失点と苦しんだが、しっかり回復。「監督さんに教わってケアしながらだいぶよくなりました」と快挙につなげた。

 ネット裏では複数球団のスカウトが視察。DeNAの八馬幹典編成部アマスカウティンググループリーダーが「真っすぐもいいし変化球も多彩。上位に入ってくるでしょう」と評価するようにさらに注目度を上げたが、まずは明大から勝ち点を挙げて3連覇の可能性を残したい。「自信にしたい。この調子で残りの試合と秋に向かってしっかり投げられたら」。エースの視線は歓喜の逆転Vに定められている。(秋本 正己)

 ◆伊藤 樹(いとう・たつき)2003年8月24日、秋田・美郷町生まれ。21歳。小2で野球を始め、6年時は楽天ジュニアでプレー。宮城・秀光中では3年時に全国準V。仙台育英では1年夏に甲子園で登板。3年春にセンバツ8強。早大では1年春から登板。3年時は春秋連覇に貢献し、2季連続ベストナイン。通算52試合17勝3敗、防御率1・89。176センチ、78キロ。右投右打。

スポーツ報知

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