早大・小宮山悟監督「一大事」「普通なら2軍で調整する案件」38度の高熱から復活 伊藤樹がノーノー翌日投打で躍動
2025年5月21日(水)6時30分 スポーツ報知
ノーノー翌日に完全救援&適時打と躍動したエース・伊藤樹は試合終了の瞬間、クールに喜びをかみ締めた(カメラ・加藤 弘士)
◆東京六大学野球春季リーグ戦 第6週第3日▽早大8−6明大=延長10回=(20日・神宮)
早大が延長10回、8−6で明大を破って2勝1敗とし、勝ち点3で明大に並んだ。前日(19日)の2回戦でノーヒットノーランを達成した今秋ドラフト候補でエースの伊藤樹(4年=仙台育英)が同点の9回1死一塁、連投で救援。後続を断ち、自らも適時打を放つ活躍で今季5勝目、通算18勝目を挙げた。
ヒーローの姿は試合後、会見場になかった。小宮山悟監督(59)は16日朝、伊藤樹が38度の高熱でダウンしていたことを明かした。本調子ではないまま、快挙を達成していたことになる。
「皆さんにお聞かせするような声ではない。一大事でした。普通なら2軍で調整する案件。気持ちだけで…という感じです」
そんな実情を感じさせない、鬼気迫る投球だった。3点差を追いつかれた9回1死一塁、吉田瑞樹捕手(4年=浦和学院)が小宮山監督に「樹しかいません」と進言。「投げさせるつもりはなかった」とする指揮官だが、負ければV逸の崖っぷちをエースに託した。
すると、一ゴロ併殺でピンチ脱出。直後、吉田瑞の左越えソロで勝ち越すと、伊藤樹も右前適時打でこの回2点目。その裏、最後の打者を自己最速タイの151キロで空振り三振に仕留め、打者4人を完全に封じた。
この結果、東大を除く5校にVの可能性が残る大混戦になった。早大野球部に伝承される「一球入魂」の精神を体現した、エースの8球だった。(加藤 弘士)