早大・伊藤樹 東京六大学史上初サヨナラでノーノー 令和初快挙「本当にやってしまったなと」

2025年5月20日(火)5時30分 スポーツニッポン

 ◇東京六大学野球春季リーグ戦第6週 早大1—0明大(2025年5月19日 神宮)

 今秋ドラフト候補の早大の最速152キロ右腕・伊藤樹投手(4年)が19日、明大2回戦でリーグ史上25人目(26度目)の無安打無得点試合を達成した。負ければリーグ3連覇を逃す崖っ縁で5四死球ながらも打者32人を封じた。0—0の9回に味方がサヨナラ勝ちし、快挙達成で1勝1敗とした。100周年の節目を迎えた東京六大学野球リーグで令和初で、明大から達成は史上初。サヨナラ勝利での達成も史上初めてとなった。

 偉業達成に不可欠なビッグプレーが最後に飛び出した。伊藤樹が無安打に封じてきた0—0の9回2死。明大32人目の打者、5番・小島河が初球チェンジアップを捉え、左翼に大飛球。左翼手・寺尾がジャンプ一番、フェンスに激突しながら好捕し、夢をつないだ。

 「風があったので、嫌だなと思いながら(打球を)見ていた。ギリギリで捕ってくれたので安心しました」

 スカウトのガンで、この日最速149キロをマークした直球がうなり、カーブ、スプリットなど4種の変化球も切れて11奪三振。直後の9回裏は好プレーを見せたばかりの4番・寺尾がサヨナラの左前適時打を放ち、史上25人目の無安打無得点試合を達成した。16年秋の慶大・加藤拓也(現ヤクルト、現姓・矢崎)が東大戦で記録して以来9年ぶりの快挙。「人生で初めてのノーヒットノーラン。本当にやってしまったなという感じ」と感無量だ。

 負ければリーグ3連覇が消える崖っ縁。8回は無死一塁で打席が回り代打も考えられたが、早大での選手時代に20勝を挙げた小宮山悟監督は「野手の監督だと分からないけど、僕はピッチャー。ノーヒットノーランを続けている選手を代えるなんて業を犯してはいけない」と迷いはなかった。期待に応え、指揮官も経験のない「ノーノー」を達成した。

 1メートル76、78キロと決して体格には恵まれていない。仙台育英では須江監督の下、投手のスキルとセンスを磨き、早大では伝統の一球入魂の精神、投手としての帝王学を小宮山監督から学んだ。視察したロッテ・榎康弘アマスカウトディレクターが「勝てる投手」と評した通り、これで現役2位の17勝目で、小宮山監督の通算20勝も見えてきた。100年のドラマに伊藤樹が令和初のノーヒットノーランを書き加えた。(柳内 遼平)

 ≪プロ野球では2度≫東京六大学でサヨナラ勝利によるノーヒットノーラン達成は史上初めて。なお、プロ野球では過去102度中2度あり、金田正一(国鉄)は51年9月5日阪神戦で0—0のまま9回表まで無安打に抑えると、その裏に藤田宗一がサヨナラ右前打して達成。江夏豊(神)は73年8月30日の中日戦で延長11回まで無安打無得点の快投。その裏、自ら右越えにサヨナラ弾を放ち史上唯一の延長ノーヒッターになった。

スポーツニッポン

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