早稲田大の大型ルーキー鈴木琉胤「大学でも積極的レース」…日本学生個人5000mでユニバ切符
2025年5月21日(水)16時16分 読売新聞
男子5000メートル決勝で先頭に立って力走する早大の鈴木琉胤
大学ナンバーワンの座を争う、日本学生個人選手権が4月下旬に行われた。7月にドイツで開催される世界ユニバーシティー大会の選考会を兼ねた一戦では、早大のスーパールーキーが見応えあるレースを演出した。(編集委員 近藤雄二)
東洋大・松井海斗と壮絶デッドヒート
大混戦の1万メートルとは対照的に、5000メートルはほぼ1人が先頭を引っ張り続けた。
レースを作ったのは早大の大型新人、鈴木
600メートルで2位に下がるが、1300メートルで再び前へ。気温が上がり、ホームストレートでは強烈な向かい風が吹いていたが、ひるまない。上体をやや前傾させ、力感のないフォームで突き進むと、集団から1人また1人とこぼれていく。4000メートルでは、ついに東洋大の松井海斗(2年)との一騎打ちに持ち込んだ。
あと1周。鈴木がピッチを上げるが、松井も食い下がる。そして、ゴール目前、懸命に逃げる鈴木を松井がとらえ、ついに順位が入れ替わった。1位松井は13分44秒59の大会新で、鈴木は0秒24差の2位。ただ、松井は標準記録を切っていなかったため、ユニバ代表には既に標準記録を突破していた鈴木が選ばれた。
「自分のレースはできたが、最後勝ちきるというところで、力負けしてしまった。ユニバに向けては、ここから修正して早稲田の名に恥じない走りをしたい」
千葉・八千代松陰高時代、全国高校総体5000メートルで日本勢トップの2位に入り、全国高校駅伝1区では日本選手歴代最高を記録。入学直前の今年3月下旬には、豪州の5000メートルレースで高校歴代2位となる13分25秒59をマークした逸材だ。
早大で指導に当たる花田勝彦監督は「負けるイメージはなかったが、ラストで追われた時、2段、3段というスパートがまだない。これから世界を目指す上では、あのまま勝つより、課題が見つかって逆に良かったと思う」と振り返った。
鈴木は5月第2週の関東学生対校選手権5000メートルでも、スタート直後に先頭に立つレースで日本人トップの2位。積極果敢なフロントランナーが、大学長距離界に新たな刺激を与えるのは、間違いない。