クラブW杯&J1後半戦に向けて浦和レッズ夏の補強ポイントを徹底解説
2025年5月22日(木)18時0分 FOOTBALL TRIBE

2025明治安田J1リーグは5月21日、未消化となっていた第13節の2試合が行われ浦和レッズは川崎フロンターレと対戦。先制しながら終盤に逆転ゴールを許し一度は敗戦濃厚となるも、後半アディショナルタイムにMF大久保智明のゴールで追いつき土壇場で勝ち点1を手にしている。
今季の浦和は、昨季途中より再び指揮を執るマチェイ・スコルジャ監督のもと冬に大型補強を実施。MFマテウス・サヴィオをはじめ国内外から選手を獲得し、戦力を整えてリーグ戦そして6月に開幕するFIFAクラブワールドカップ(CWC)に向けてスタートを切った。
リーグ序盤戦は開幕から4戦未勝利と勝ち点が伸び悩んだものの、第5節の初勝利以降は状況が好転。4月中旬からは5連勝を挙げて現時点で暫定4位につけている。そんな浦和だが、まだまだ先の長いリーグ戦そしてCWCに向けて補強が必要な個所も見えてきた。ここでは、6月も含め今夏の浦和の補強ポイントについて考察していく。

補強ポイント1:1トップ
補強の最優先は1トップの位置ではないだろうか。今季開幕から第9節まではFWチアゴ・サンタナを配置していたがその後は欠場が続いている。その上で、控えには昨年横浜FCへ期限付き移籍し出場機会を多く得ていたFW髙橋利樹や今冬獲得したYBCルヴァンカップ昨季得点王であるFW長倉幹樹もいるなか、もともとサイドが主戦場のMF松尾佑介を置いてチームが安定してきているのが現状だ。
もちろん、背後への抜け出しの巧さや抜群のシュートセンスを誇る松尾を最前線で起用していること自体は問題ではないが「突破力を活かす」という面では主戦場であるサイドに置きたい面もある。その上で、新たに得点源となる選手の獲得が求められる。とりわけサイドに推進力のある選手が揃う浦和だからこそ、中央で仕事のできるタイプが要求されることは間違いない。
今年3月には一時トルコ代表のFWジェンク・トスンの加入も噂されたが結局叶わず、開幕後の戦力アップは現時点で行われていない。CWCはもちろん、まだまだ先の長いシーズンを戦い抜くためにはぜひとも得点の稼ぎ頭を加えて戦力を整えたいところだ。

補強ポイント2:サイドバック
次に補強ポイントとして挙げたいのはサイドバックだ。直近のゲームでは右サイドにDF石原広教、左サイドにMF長沼洋一を置いており、その他今季同ポジションでは右はMF関根貴大、左は今冬期限付き移籍先のNKディナモ・ザグレブから復帰したDF荻原拓也も起用されている。しかし、関根と長沼については1列前が本職であり、その点を考慮すると明らかに選手層が薄いポジションと言えよう。
補強する選手としては、守備強度の高い選手が望ましい。1列前には攻撃面で強烈な個性を発揮できる選手が両サイドにいることから、そんな選手たちのバックアップをしながら守備で対人の強さを発揮できるタイプであれば早期にチームへフィットできるだろう。
もともと以前の第一次スコルジャ体制下ではDF酒井宏樹やMF明本考浩、DF大畑歩夢といった攻撃面での魅力もありながら守備で抜群の存在感と運動量を発揮できる選手が揃っており、それが2023シーズンの4位フィニッシュにつながったと言っても過言ではない。とはいえ、CWCまで時間がないことを踏まえると、守備陣に新たな外国籍選手を加えるのは意思疎通の観点から怖さもある。海外組も含め、即戦力を加えることが今後の戦いのカギとなるだろう。

補強ポイント3:右ウイング
今季、右サイドは新戦力のMF金子拓郎が主軸を務めており、得意のドリブル突破を武器に存在感を示している。だが、MFマテウス・サヴィオやMF松尾佑介、MF長沼洋一と人材が揃う左サイドと比べ、右サイドはFW前田直輝が開幕後にサンフレッチェ広島へと移籍。金子の他、昨季はシーズン終盤に怪我を負ったMF大久保智明や昨夏オーストリアのSKNザンクト・ペルテンから加入したFW二田理央といった選手もいるが、海外での経験も持つ前田の抜けた穴を考慮すると今一度選手層に厚みを持たせたいポジションと言えよう。
前田の代役という点では、カットインからゴールを狙えるタイプが求められる。仮に1トップを今の松尾のまま行くのであれば、なおさら中盤や特にサイドの選手には得点力も要求されるからだ。ゲーム終盤まで高い水準の攻撃力を維持するためにも、また金子とは違った右サイドの武器を持つためにも新たな選手の獲得が望ましい。
ただし、新たに1トップに据える選手のタイプによって求められる選手の条件も変わってくる。高さや強さで勝負できる選手の補強あるいはFWチアゴ・サンタナをそのまま起用するのであれば、サイドを突破し質の高いクロスを供給できる選手の獲得も十分視野に入る。いずれにしても、計算できる戦力の抜けたポジションなだけに、6月あるいは以降の夏移籍期間で補強が叶うのか楽しみだ。