【Jリーグ2025】ベストヤングプレーヤー賞候補予想5選。日本一早い?

2025年5月24日(土)18時30分 FOOTBALL TRIBE

名和田我空(左)西原源樹(右)写真:Getty Images

昨2024シーズン、川崎フロンターレDF高井幸大が受賞したJリーグベストヤングプレーヤー賞。その系譜は、柏レイソルFW細谷真大(2022年)、グラスホッパーDF瀬古歩夢(前セレッソ大阪/2020年)、リーズ・ユナイテッドMF田中碧(前川崎F/2019年)など、多くの日本代表選手を生んでいる。高井も既に国際Aマッチデビューを果たした。


今2025シーズンもJ1リーグが中盤戦に差し掛かる中、加入初年度ながらレギュラーポジションを奪取し活躍する選手も出てきた。多くは即戦力として期待されていた大卒選手で、2010シーズンの規約改定で大卒選手は受賞対象外となったが(当該シーズンの12月31日現在で満21歳以下かつリーグ戦19試合以上であること)、この条件に合致する若きプレーヤーもチャンスをモノにし、頭角を現しつつある。


ここでは一足早いが、今2025シーズンのベストヤングプレーヤー賞候補を5選手挙げていきたい。




北原槙 写真:Getty Images

MF北原槙(FC東京U-18)


今年3月1日、J1最年少となる15歳7か月22日でデビューを果たし注目を浴びたFC東京U-18MF北原槙(当時の所属はジュニアユースの「FC東京U-15むさし」)。J1第4節FC東京対鹿島アントラーズ戦(県立カシマサッカースタジアム)の後半38分から出場し、2004年に15歳10か月6日でJ1デビューしたFW森本貴幸(当時東京ヴェルディ/2024年引退)の記録を塗り替えた。


“2階級飛び級”によるデビューが示すように、今季から指揮を執る松橋力蔵監督からの期待も高く、第11節セレッソ大阪戦から第13節清水エスパルス戦までは先発出場。同監督が目指すパスサッカーへの転換を進める上で、必要な戦力となっている。対戦した清水MF乾貴士も、その堂々としたプレーぶりに称賛を惜しまなかった。


しかしながら、肝心のチームは降格圏から勝ち点2の16位に沈んでおり、北原自身もフル出場の経験がなく、未だノーゴールだ。ルヴァン杯2回戦のRB大宮アルディージャ戦(NACK5スタジアム大宮/3-1)では延長後半7分までプレーし、シャドーの位置で攻撃では相手DFの股下を通すスルーパスや、強烈な左ミドルシュートを披露。守備でも果敢に体を張った。


まだプロとしてのキャリアをスタートしたばかりだが、ピッチに立てば年齢など関係ない。まずは練習からアピールし出場時間を増やした上で、得点やアシストなど目に見える結果を残し、チームの成績に貢献する働きが求められるだろう。


一見すると線の細さが目立つがタックル成功率は100%。パスセンスやフリーになりボールを受ける空間認識力には目を見張るものがある。その才能と成長速度を考慮すると、FC東京で初となるベストヤングプレーヤー賞を獲得する可能性は十分にあるだろう。




中島洋太朗 写真:Getty Images

MF中島洋太朗(サンフレッチェ広島)


サンフレッチェ広島MF中島洋太朗は、ユース所属の2023年にクラブ史上最年少の17歳でプロ契約を結んだ。昨2024シーズン公式戦17試合に出場し早くもその才能の片鱗を見せ、U-20日本代表の中心選手でもある。視野の広さと両足での高精度なパスが特徴で、攻守両面でチームに貢献できる選手だ。


今2025シーズンから正式にトップ昇格すると、2月の富士フィルムスーパーカップ・ヴィッセル神戸戦(国立競技場/2-0)ではフル出場を果たし、攻守にわたる活躍でチームの勝利に貢献した。2024年10月にはJ1での出場時間が450分を超え、既にプロA契約を締結を済ませている。同僚のドイツ人MFトルガイ・アルスランは「彼はすぐに海外に行くだろう」と評価し、その才能を絶賛している。


5月2日のJ1第8節鹿島アントラーズ戦(エディオンピースウイング広島/1-0)で、後半25分にフランス人FWヴァレール・ジェルマンとの交代で入ったものの、出場から5分で左ヒザ外側半月板を損傷しオーストリアの病院で手術を受けた中島。しかし既にリハビリも大詰めを迎え、夏頃の復帰を目指しているという。プラン通りに回復すれば、9月27日開幕のFIFA U-20W杯にも間に合う可能性も出てくる。


広島からは2000年にMF森崎和幸(2018年引退)、2015年にFW浅野拓磨(マジョルカ)がベストヤングプレーヤー賞に選ばれている。森崎は広島のバンディエラとしてチームの顔となり、浅野は欧州移籍を果たした上、日本代表としてもW杯カタール大会でドイツ代表を破る貴重なゴールを決めた。


もちろん負傷明けとあって、広島も中島をいきなり酷使することはないだろうが、優勝も狙える位置とあって、終盤戦は彼の力が間違いなく必要となるはずだ。


名和田我空 写真:Getty Images

MF名和田我空(ガンバ大阪)


高校総体得点王の肩書きを引っ提げ、神村学園高校から鳴り物入りでガンバ大阪入りしたMF名和田我空。開幕戦の大阪ダービー、セレッソ大阪戦(パナソニックスタジアム吹田)でいきなりトップ下として先発デビューを果たした。


しかしこの試合で惨敗(2-5)を喫したこともあり、その後は途中出場で計17分間の出場にとどまっている。チームも序盤戦の不振から脱したとあって、アンダー世代の日本代表で活躍した名和田にとっては苦しい時間を過ごしている。このままではベストヤングプレーヤー賞の受賞条件である「リーグ戦19試合出場」もクリアできるかも不透明だ。


高校時代から注目されたドリブルと得点力が武器の名和田だが、G大阪の同ポジションには元日本代表FW宇佐美貴史を筆頭に、FW山下諒也やブラジル人FWファン・アラーノ、スウェーデン人FWデニス・ヒュメットとタレント揃いだ。


試合に出場さえすれば同賞の有力候補に食い込んでくるスキルはあるだけに、まずは分厚い選手層を打ち破ってレギュラーを奪還することが先決だろう。




西原源樹 写真:Getty Images

MF西原源樹(清水エスパルス)


小学6年生時に清水スカウトの目に留まり、清水のジュニアユースに入団したMF西原源樹。彼の夢を後押しするために、家族ごと群馬県から静岡県に引っ越したという。様々な考え方があるとは思うが、西原の場合、他の選手とは“背負っているもの”が違うのだ。


ユース所属の2024シーズン、2月25日のJ2開幕戦・ロアッソ熊本戦に途中出場しトップデビュー。17歳2か月9日のリーグ戦デビューは、市川大祐(現清水エスパルスコーチ)が持つ17歳7か月を超えるクラブ最年少記録だ。さらに4月20日のJ2第11節ベガルタ仙台戦(IAIスタジアム日本平/3-2)では、2012年6月にMF石毛秀樹(現ウェリントン・フェニックス)がナビスコ杯(現ルヴァン杯)で記録した17歳8か月を超える17歳4か月でクラブ史上最年少ゴールも決めた。


そのプレースタイルは左サイドをドリブルで突破する躍動感溢れるもので、“ネクスト三笘”の呼び声も高い。秋葉忠弘監督も「物凄いニューカマー」と賛辞を惜しまなかった。


今2025シーズン既に10試合に出場(うち2試合は先発)しており、ゲームチェンジャーとしてチームにとって不可欠な存在となっている西原。さらに、同級生で、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグを制した熊本県立大津高校のエースだったMF嶋本悠大の加入が刺激になっている。


J1ではまだ得点を記録していないことがネックだが、出場実績の面では、他の候補者よりアドバンテージがあると言えよう。




佐藤龍之介(FC東京所属時)写真:Getty Images

MF佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)


今2025シーズンを前に、FC東京から育成型期限付き移籍でJ1初昇格のファジアーノ岡山に加入したMF佐藤龍之介。FC東京ユース時代の2023シーズンに2種登録され、同年3月8日のルヴァン杯セレッソ大阪戦(ヨドコウ桜スタジアム)に16歳4か月20日でスタメン出場し、前述の北原慎に破られるまでFC東京のクラブ最年少記録を持っていた。


岡山では徐々に出場機会を増やし、右ウイングのレギュラーポジションを奪取。12試合に出場し、3得点を記録している。出場時間561分は前述の4人を圧倒する数字だ。シュート決定率は37.5%とリーグ9位を誇り、右足での得点数はリーグ5位にランクしている。攻撃面での貢献は顕著だが、守備面ではまだまだ伸びしろが期待できる。


U-16、U-17、U-19、U-20と各年代の日本代表にも選出され将来を嘱望されていた佐藤だが、送り出したFC東京もここまでの活躍を見せるとは思ってもみなかっただろう。


一方、岡山は序盤戦の快進撃の勢いが小休止し、気が付けば降格圏もチラつく順位にいる。第17節終了時点でわずか「13」という得点力不足に悩まされている。佐藤の攻撃力は岡山の運命を握っていると言える。


現在の活躍ぶりから来季はFC東京にレンタルバックされることは必至だろうが、まずは岡山をJ1残留、さらには上位争いに押し上げるべく、さらなる飛躍を期待したい選手だ。

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