大の里 全勝優勝で大関昇進の“雪辱”だ「自分の相撲を取り切りたい」6人目の快挙達成なるか
2025年5月25日(日)4時30分 スポーツニッポン
◇大相撲夏場所14日目(2025年5月24日 両国国技館)
前日に2場所連続4度目の優勝を決め場所後の横綱昇進を確実にした大関・大の里は関脇・大栄翔を押し出して無傷の14連勝を果たした。悪癖のはたきで危ない場面もあったが、落ち着いて反撃し自己最多14勝目。千秋楽結びの豊昇龍戦に勝てば2021年九州場所の横綱・照ノ富士以来の全勝優勝を達成する。
全勝優勝に王手をかけたが、大の里の表情はさえなかった。師匠の二所ノ関親方から「今日、明日が勝負だから」と勝利を厳命されていた大栄翔戦。自己最多14勝目を挙げたが、右が差せないとはたく悪い癖が出てしまった。それでも土俵際で右に動いて相手をかわすと、体勢を立て直して反撃。最後は体を預けて前に落ちながら押し出して「土俵際はめちゃくちゃだったけど、攻め切れた」と安堵(あんど)した。
昇進問題を預かる審判部は千秋楽正午に会議を開き、臨時理事会開催の要請について話し合う。2場所連続優勝で昇進は確実。角界からは称賛の声が相次ぎ、史上最多の優勝45度を誇る宮城野親方(元横綱・白鵬)も「右の使い方のうまさが群を抜いて光った」と称賛する。それでも大の里にはリベンジしたい苦い過去がある。昨年秋場所、14日目に優勝を決め大関昇進も確実にしていたが千秋楽に阿炎に完敗。師匠からの褒め言葉もなく、お祝いムードも半減した。
1場所15日制が定着した49年夏場所以降に全勝制覇で昇進した横綱は大の里と同じ石川県出身の輪島や、貴乃花、白鵬ら5人のみ。全勝優勝への思いを問われた24歳は「深く考えず自分の相撲を取り切りたい。疲れはあるけど、しっかり集中して最後の一番頑張ります」と力を込めた。 (黒田 健司郎)