【世界卓球】男子ダブルス64年ぶり金メダル「とがしの」ペア 篠塚大登「信じられない」
2025年5月26日(月)6時50分 スポーツ報知
男子ダブルスで日本勢64年ぶりの金メダルに輝いた(左から)戸上隼輔、篠塚大登
◆卓球 ◇世界選手権個人戦 最終日(25日、カタール・ドーハ=ルサイル・アリーナ)
【ドーハ(カタール)25日=宮下京香】男子ダブルスで、第2シードの戸上隼輔(23)=井村屋グループ=、篠塚大登(21)=愛知工大=組が初の金メダルに輝いた。パリ五輪代表同士の“トガシノ”ペアは決勝で、台湾の第6シード・高承叡(こう・しょうえい)、林昀儒(りん・いんじゅ)組に3—2で勝利した。同種目で日本勢の金メダルは1961年大会の星野展弥、木村興治組以来、64年ぶりの快挙。日本勢は今大会で計4個のメダルを獲得した。シングルスは男女ともに中国勢が制した。
日本卓球界の時計の針が、再び動き出した。決勝のチャンピオンシップポイント。台湾ペアの返球がアウトになり、64年ぶりの歓喜が訪れた。戸上と篠塚は、仲間がいる客席に向かって大絶叫。ハグしながら大歓声を浴びた。男子ダブルスの日本勢金メダルは61年大会以来。戸上は「64年ぶり? 僕、23歳なんだけど、約3倍?」と目を丸くし、篠塚も「来る前に2人で金メダルと宣言した。本当に取れて、信じられない。今までで一番重いメダル」と声を弾ませた。
勢いを封じた。相手は中国勢を2連破し、準決勝では第1シードのルブラン兄弟(フランス)を破って勝ち上がってきた。「とがしの」ペアは第1ゲーム(G)、お互いがぶつかる場面もあって先取されたが、冷静だった。ベンチ入りした森薗コーチが「武器はラリー。戸上は打球が強く、篠塚は難しい球を入れる」と評する強みがある。最終Gは6—5に迫られた接戦から、戸上がバックで決めるなどラリーで相手を上回った。プロレス好きで故・アントニオ猪木さんを尊敬する戸上は、自身を「炎のファイター」と称し、決勝で奮闘した篠塚に「隣にファイター第2号がいた」と感謝した。
昨夏のパリ五輪男子団体では、フランスとの3位決定戦で「とがしの」ペアが黒星を喫し、日本の3大会連続メダルを逃して涙した。五輪後、ドイツ・ブンデスリーガで武者修行した戸上は力だけでなく戦術の幅を広げ「個々が成長できた」。ラリーを強化した篠塚は試合後、今夏にブンデスリーガへ参戦すると表明した。
ともに目指す28年ロス五輪は種目変更があり、男女団体はなくなり、男女ダブルスと混合団体が加わる。戸上は「世界王者になって五輪での可能性も見えた」。世界一の称号を、3年後の夢舞台につなげる。
◆戸上 隼輔(とがみ・しゅんすけ)2001年8月24日、津市生まれ。23歳。3歳で卓球を始め、山口・野田学園中・高、明大卒。世界選手権は21年に男子ダブルス銅。22年に男子団体銅。全日本選手権は22年、23年男子単連覇。22年男子ダブルスV。パリ五輪代表。右シェーク攻撃型。男子単の世界ランク30位。プロレスの棚橋弘至のファン。171センチ。
◆篠塚 大登(しのづか・ひろと)2003年12月23日、愛知・東海市生まれ。21歳。父の影響で5歳の時、卓球を始め、愛工大名電中・高から愛知工大。23年WTTコンテンダーノヴァ・ゴリツァ大会2冠。24年全日本選手権混合複優勝。Tリーグは24—25年、琉球でプレー。愛称は「しのぴ」。左シェークドライブ型。男子単の世界ランク28位。165センチ。