阪神が早大の“ノーヒッター”伊藤樹を今秋ドラフト上位候補に 優れた制球力持つ最速152キロ右腕
2025年5月27日(火)5時15分 スポーツニッポン
今秋のドラフト会議に向け、阪神が早大・伊藤樹投手(21)を上位候補にリストアップしていることが26日、分かった。19日の明大戦で、東京六大学野球史上25人目のノーヒットノーランを達成した最速152キロ右腕の武器は、抜群の投球センス。中学では全国準V、仙台育英(宮城)では3年春に選抜8強を経験し、大学では名門のエースを務める。村上頌樹投手(26)に代表される“甲子園で勝てる投手”の系譜を受け継ぐ資質を秘めている。
早大・伊藤樹がその名を全国に知らしめたのは19日のことだ。明大戦で東京六大学野球史上25人目のノーヒットノーラン。直球を内外角に投げ分けられる制球力と、切れ味鋭いスプリットを武器にして強敵から11三振を奪って快挙を果たした。
この完成度が高い右腕を、阪神は今秋のドラフト上位候補としてリストアップする。球団関係者は「試合を組み立てる能力は、今年の大学球界では抜けている。変化球を効果的に使って打者を打ち取るコツを知っているように見える。即戦力投手が必要なチームは、欲しがるのではないか」と評価している。
優れたゲームコントロール能力は、輝かしい球歴を築く過程で磨かれた。仙台市の秀光中で全国大会準優勝。宮城・仙台育英高では1年夏から甲子園のマウンドに上がり、3年春の21年選抜で8強入りした。早大では3年春秋の連覇に貢献するなど、ここまで18勝を積み上げた。今春リーグ初戦の東大戦では、2回に打球が左太腿を直撃。球速が130キロ台後半に落ちながら、7回まで投げたド根性の持ち主でもある。
1メートル77と上背はない。最速152キロの直球は、おおむね140キロ台中盤で推移する。派手さはなくてもアマ球界のエリート街道を歩めたのは、直球も変化球もコースに投げられる技術があるからに他ならない。これが、甲子園を本拠地とするタイガースで活躍するために必要な能力だ。
本塁打が出にくい広い聖地では、高低左右を間違えない制球力が求められる。今季6勝の村上も1メートル75ながら、コースをきっちり突いて活躍を続ける。ドラフト1位で1メートル70の伊原も、優れた制球力を武器に3勝全てを甲子園で挙げた。伊藤樹も球威、制球力、変化球のバランスに優れ、村上の系譜を受け継ぐ資質を持っている。
猛虎の今秋のドラフト上位候補は、野手では創価大・立石正広が筆頭で、投手なら東北福祉大の157キロ右腕・堀越啓太が挙がる。「ドラフト1位でのプロ入り」を目標に掲げる“村上系ノーヒッター”の伊藤樹の位置付けも高く、引き続きマークを続けていく。
◇伊藤 樹(いとう・たつき)2003年(平15)8月24日生まれ、秋田県出身の21歳。仙台育英(宮城)では1年夏、3年春に甲子園出場。早大では1年春にリーグ戦デビューし、3年夏に大学日本代表選出。リーグ通算53試合で18勝3敗、防御率1.88。1メートル77、84キロ。右投げ右打ち。