阪神代打・糸原が劇勝の口火!! 10時間以上前からの準備がもたらす職人芸、藤川監督も最敬礼
2025年5月28日(水)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神1—0DeNA(2025年5月27日 倉敷)
“事起こし”の達人が、スコアレス地獄の突破口を開いた。延長11回、阪神の劇的勝利を呼び込んだのは代打・糸原だ。先頭打者で山崎の3球目のスプリットを中前に運んだ。
「なんとか塁に出ることだけを考えて。自分の仕事に徹することだけ考えて入った」
切り札が放った執念の1本にチームは勢いづき、森下が押し出し四球を選んでサヨナラ勝ち。殊勲の背番号33もナインからウオーターシャワーを浴びた。
この日も出番はプレーボールから3時間半を過ぎていたように試合の最終盤、勝負を分ける極限の場面で1打席に懸ける代打稼業の仕事はやってくる。
ただ、その準備はもっと前から始まっている。甲子園でのナイターの場合は午前中に球場入りし、外野のポール間を黙々とランニング。持参したペットボトルのミネラルウオーターで水分補給すると、次は外野芝生の上でショートダッシュを数本。体を温めると、休む間もなく室内練習場に移動してマシン相手にバットを振り込む。
「スタメンで出ていた時からずっとやってきたこと。代打になって出番がない時もありますけどこれが自分の準備の一つなんで」
時には10時間以上も前から始まる準備が快音につながる。
今季はレフトゴロ、ライトゴロがあり、仮にその2本が安打なら打率・348とまさに“神”の領域。藤川監督も「気持ちの座った打席を毎打席送ってくれて。練習からそういうところはウソをつかない」と目を細めた。
「良い締まったゲームの中で勝ちを持ってこられた。明日からも頑張ります」。すぐにしびれる打席はやってくる。糸原の「備え」がまた始まる。(遠藤 礼)