大の里 初志貫徹の「唯一無二」 横綱昇進の口上「この言葉しかないと思った」大関昇進時と同じ言葉で決意
2025年5月29日(木)4時35分 スポーツニッポン
日本相撲協会は28日、東京・両国国技館で名古屋場所(7月13日初日、IGアリーナ)の番付編成会議と臨時理事会を開き、大の里(24=二所ノ関部屋)の第75代横綱昇進を満場一致で決めた。師匠の稀勢の里(現二所ノ関親方)以来8年ぶりの日本出身横綱が誕生。大の里は茨城県阿見町の二所ノ関部屋で昇進伝達式に臨み、大関昇進時と同じ「唯一無二」を使って決意を述べた。
考え抜いた末、やはり口上には「唯一無二」の文言を選んだ。午前10時11分、大の里は二所ノ関部屋で行われた昇進伝達式に臨んだ。注目の口上は「横綱の名を汚さぬよう稽古に精進し、唯一無二の横綱を目指します」。落ち着いた口調で堂々と述べた。晴天の下、満場一致で誕生した第75代の新横綱が新たな一歩を踏み出した。
「唯一無二」は昨年9月の大関昇進時にも述べて話題になった。当初、別の文言も考えたが、リハーサルを行った前日昼に自身で決めた。「この言葉しかないと思った。入れない予定で考えていたけど自分はこの言葉がピッタリだなと思って」。初土俵から2年。記録ずくめのスピード昇進で番付の最高位に上り詰めた。まさに無二の存在といえる。
日本出身横綱は師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)以来8年ぶり。22年6月にその師匠が新設した広大な部屋には200人を超す関係者が詰めかけ、注目度の高さを物語った。土俵入りは雲竜型で行う。「親方が雲竜型ということで憧れもあるし、親方から指導してもらうことも楽しみ」と話す。23年3月の入門時には決めていたという。
伝達式を終えると同部屋の十両・白熊らがつくった騎馬に乗り、晴れやかな笑顔を見せた。きょう29日には早速、師匠から土俵入りの指導も受ける。「(横綱は)未知の世界。身を引き締めて頑張りたい」。新横綱誕生は初場所後の豊昇龍以来で令和3人目。同一年に複数の横綱が生まれるのは38年ぶりで番付の東西に横綱が並ぶのは4年ぶり。大きな期待を背負い、唯一無二の道を極めていく。 (中村 和也)
【主な横綱の口上】
▽千代の富士「横綱の名を汚さぬよう、一生懸命頑張ります」(81年名古屋場所後)
▽曙「横綱の地位を汚さぬよう、稽古に精進」(93年初場所後)
▽貴乃花「不撓(ふとう)不屈の精神で、力士として不惜身命(ふしゃくしんみょう)を貫く」(94年九州場所後)
▽3代目若乃花「横綱として堅忍不抜の精神で精進」(98年夏場所後)
▽朝青龍「相撲道発展のために一生懸命頑張ります」(2003年初場所後)
▽白鵬「精神一到を貫き、相撲道に精進」(07年夏場所後)
▽稀勢の里「横綱の名に恥じぬよう精進」(17年初場所後)
▽照ノ富士「不動心を心掛け、横綱の品格、力量の向上に努めます」(21年名古屋場所後)
▽豊昇龍「横綱の名を汚さぬよう、気魄一閃(きはくいっせん)の精神で精進いたします」(25年初場所後)
【大の里はこんな力士】
☆本名 中村 泰輝
☆生年月日 2000年(平12)6月7日生まれ、石川県津幡町出身、家族は両親と妹。1メートル92、191キロ
☆相撲歴 7歳から始め、新潟に相撲留学。能生中→海洋高。日体大では1年時に学生横綱、3、4年時にアマ横綱など13冠
☆初土俵 23年夏場所に幕下10枚目格付け出しでデビュー
☆新入幕 24年初場所、同年夏場所で初優勝
☆大関 2度目の優勝を果たした同年秋場所後に昇進
☆得意 突き、押し、右四つ、寄り
☆好きな食べ物 魚系
☆趣味 部屋周辺の散歩、特技はけん玉
☆丈夫な体 幼少期は毎日牛乳を2リットル。「一度も骨が折れたことがないんです」