巨人・岡本和真 自ら報道陣に「浦田君は元気ですか?」 離れた場所でも見せた気遣い
2025年5月30日(金)8時0分 スポーツニッポン
自ら発した一言に、岡本和真という人間の魅力が詰まっていた。6日の阪神戦で、送球を捕球しようとした際に打者走者と交錯して負傷。「左肘じん帯損傷」と診断された。チームとしても本人としても痛すぎる長期離脱になってしまったが、翌日から始まったジャイアンツ球場でのリハビリでは常に気丈に振る舞っていた。
「浦田君は元気ですか?皆さん優しくして下さいね」
1軍が広島遠征中だった14日。リハビリメニューを終えると、帰り際に報道陣に言った。ドラフト2位ルーキーの浦田は、自身の三塁からの送球が逸れて岡本が交錯し「自分のミス」と猛省していた。同戦後に直接声を掛け、LINEも送っていた主砲は、1軍同行を続ける後輩の様子を気にしていた。
「プレー中に起きたことなんで誰のせいとかないんでね。全く気にしなくていいし、気にしてほしくない」
プレーに集中して欲しいという願いから出た言葉だった。現在2軍調整中の浦田は、その言葉を伝え聞くと「本当ですか?」と目を丸くした。「本当にありがたい。なかなか切り替えられることではないですけど、頑張るしかない」と感謝しきりだった。
お立ち台やインタビューで独特な“岡本節”を披露することが多い背番号25。我が道を行くようなイメージを持たれることも少なくないが、常に周りのことが見えている。2学年違いながら、オフの自主トレもともに行い、仲の良い吉川は「のほほんとしてるように見えて凄く気を遣えるし、いろいろなことにすぐ気づく。“それ何ですか?”とか聞いてくることも多い」という。報道陣の髪型の変化にも「髪切りましたよね?」とすぐ反応するのも日常だ。後輩へのさりげないプレゼントも多く「和真さんにもらいました」とうれしそうな選手の声を聞くことも珍しくない。
岡本はプレーだけでなく、振る舞いでも周囲を救っている。自然な言葉に、それを改めて感じた。(記者コラム・小野寺 大)