藤浪晋太郎の“速球”はなぜ打たれるのか?「最も謎に包まれたピッチャー」が抱える課題

2023年6月8日(木)17時30分 ココカラネクスト

苦しいマウンドが続いている藤浪。彼がメジャーで悩む原因となっているものとは何なのか?(C)Getty Images

 勝負のメジャー1年目は苦しい日々が続いている。今季からアスレティックスに入団した藤浪晋太郎だ。

 阪神から「頑張ってこい」(嶌村聡球団本部長談)と送り出され、ポスティングで海を渡った29歳。だが、何よりも結果が求められる1年契約で迎えたシーズンは前途多難だ。開幕からの4登板で24失点(防御率14.40)、WHIP2.07と精彩を欠いて先発から中継ぎに配置転換されると、その後も不安定な投球が続き、現地6月7日時点で防御率11.57、FIP(被本塁打・与四死球・奪三振のみで投手を評価する指標)6.01と、首脳陣の期待を裏切る形となっている。

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 もっとも、投げているボールのスピードは日本時代よりも凄みを増している。

 現地6月5日に行なわれたパイレーツ戦では最速102.1マイル(約164.3キロ)を記録するなど、4シームの平均球速は97.4マイル(約156.7キロ)。多士済々のメジャーにおいて全体の上位8%となる24番目の速さだ。ちなみに大谷翔平よりも0.1マイルだけ上回っている。

 しかし、打球初速95マイル(約153キロ)以上の「ハードヒット率」は下位4%と最低水準にある。ではなぜ、日本人ではトップクラスの速さを持っているにもかかわらず、藤浪の速球は打たれてしまう、あるいは見切られてしまうのか。

 理由のひとつとして考えられるのは、ボールの回転数だ。

 メジャーの4シームにおける平均回転数は2100〜2400rpm(回転/分)。22年シーズンに最も回転数の多かった投手で2578rpm(ブリュワーズのコービン・バーンズ)。それに対して藤浪のボールは1903rpmと低く、ホップ量や手元でシュート気味に動く幅が小さい。

 低スピンのボールは長打こそ打たれにくい一方で、捉えられやすい傾向にあるため、100マイルを超える速球でも強くコンタクトされてしまうのだ。ここに藤浪の場合は長年の懸念材料である制球難が絡み、苦心していると言えよう。

 アスレティックス専門サイト『A’s Unleashed』のカール・ブスチェック記者が「球界で最も謎に包まれたピッチャーだ」と皮肉交じりに評した藤浪。間違いなく日本人投手では稀有なポテンシャルを持っているだけに、なんとか浮上のきっかけをつかみたいところだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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