MLBがまた驚きの新ルールを検討、先発投手に6回以上の投球を義務化させる狙いと目的とは

2024年8月17日(土)15時30分 ココカラネクスト

大谷も投手復帰に向けて順調に調整を進めている(C)Getty Images

 時に批判の声に聞く耳持たず、突っ走るMLBだからこそ、行方からは目が離せない。スポーツ専門局『ESPN』の電子版は16日、MLBが先発投手に1試合で最低でも6回を投げることを義務づける新ルールを検討していると伝えた。

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 無条件ではなく、球数を100球以上投げたり、自責点が4以上となったり、負傷した場合は降板できるという。
 
 何とも驚きの新プランだ。しかも同記事によると、このルールの目的は先発投手の存在感を高めることと、故障を少しでも減らすことだという。6回以上投げることを義務づけるのに、なぜ負担軽減につながるのか?
 
 MLBの関係者が危惧しているのは、近年の投球の球速向上と、それによるエース級の先発投手の相次ぐ故障離脱だ。確かに昨年9月に大谷翔平が右肘を手術。他にもブレーブスのスペンサー・ストライダーや、レンジャーズのジェイコブ・デグロムら、サイ・ヤング賞が狙えるクラスの投手が次々と肘を痛めて長期離脱を余儀なくされている。

 「三振が多くなりすぎて、そのバランスを取り戻したい。そのための極端な変更になる」と、ルール改定の理由について同記事は指摘した。近年の投手は球速向上→奪三振増→短いイニングで降板することになっても常に全力投球でアウトは三振で奪う、というサイクルにあり、故障者の続出につながっている、と説明した。

 6回以上は必ず投げることを義務づけることで、常に全力投球するのではなく、8割、9割の力にセーブして打者を打たせて取る。そんな効率のいい投球スタイルに、球界のトレンドを導こうという狙いがある。

 ただし、効果のほどは不透明だ。より効果的にさせるため、MLB側は「ダブルフックDH」も同時に検討されていると伝えた。これは既に傘下独立リーグのアトランティック・リーグでテスト中のもので、先発投手が5回を投げきれずに降板すると、その試合ではその後はDHを失うというものだ。

 仮にこれが導入されれば、大谷にとっては大打撃となるだろう。登板時以外は、基本的にDHでの出場を続けてきた。もし先発投手が5回持たずKOされれば、その時点でDHが解除され、大谷は試合から退かなければならない。その打順は投手が打つか、代打を出さなければなくなる。そうした不利を避けるためには先発投手に5回以上はまず投げてもらう必要があり、ルールの目的としては先発投手への6回以上義務化と共通だ。

 また、先発投手の総投球回数に応じた出来高(インセンティブ)まで検討されているとも報じた。例えば先発投手がシーズンで合計900イニング以上を投げれば、追加のドラフト指名権が一つ与えられる、といったものである。

 MLBは、とにかく先発投手に一つでも多くのイニングを投げさせたいし、それが投手の故障のリスクを下げることにつながると信じている。ファンからの反応はまだ芳しくないが、ここ数年は特に精力的に新ルールを導入して改革を進めた実績はある。大谷の投手復帰は2025年シーズンからで、議論が本格的に煮詰まるのはまだまだ先になりそうだが、導入が決まればまたベースボールの形が大きく変わりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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