主導権奪還で地元ラウンド完全制覇。小林可夢偉の7号車完勝でトヨタが1-2達成【WEC第6戦富士決勝レポート】

2023年9月10日(日)17時33分 AUTOSPORT web

 チャンピオンシップの天王山、2023年も終盤2戦に向け日本上陸を果たしたWEC世界耐久選手権第6戦『6 HOURS OF FUJI 2023』の決勝が富士スピードウェイで開催され、前半戦でポルシェに支配されたレースの主導権を奪い返したTOYOTA GAZOO Racingが地元戦でワン・ツー・フィニッシュを達成。ポール発進を決めた7号車GR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)が、最後は可夢偉のドライブでトップチェッカーを受け、今季4勝目を飾る結果に。


 総合2位に8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組)、同3位に6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)が並ぶ表彰台となった。


 一方、週末のライバルと目されたフェラーリ・AFコルセ陣営のフェラーリ499Pは、週末初の“残暑ドライ”に翻弄される格好となり、アントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン組の50号車、アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョビナッツィ組51号車の順で4位、5位のトップ5フィニッシュを果たしている。


 午前11時を前にスタートが切られた決勝は、オープニングラップのターン1からスプリントばりの攻防となり、ハイパーカー各車がブレーキング勝負でオーバーシュートし、大半がアウト側ランオフに追いやられる接触バトルの様相を呈すると、その後はここで抜け出した6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)が主導権を握る展開に。




 ハードタイヤでスタートして以降、ルーティンでは左右ミックスコンパウンドも試しているフェラーリ・AFコルセ陣営は中盤以降なかなかペースが上げられず。首位以外のポルシェ陣営も接触ペナルティ(38号車)や些細なトラブル(99号車)で勝負権を失うなど、思いどおりのレース運びができない状況に。


 そんななか、序盤のミックスチョイスから一転。セカンドスティントでは4輪ミディアムを履いたGR010ハイブリッドの2台は、7号車のロペス、8号車平川がそれぞれ快走を見せ、3時間の折り返しを過ぎて首位6号車ケビン・エストーレの背後に迫る。

6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)


 ときに100Rをインカットしながら必死の逃げを打つ6号車ポルシェ963に対し、約1時間近くも重圧を掛け続けた2台は、スティント最終盤を前に7号車ロペスの挙動が乱れがちになり、ダンロップコーナーで8号車平川が先行する。


 これで前を追う態勢を整えたと思うやいなや、平川は同じくダンロップ飛び込みでそのままエストーレのインを刺し切り、トラック上でのオーバーテイクを決めていく。


■TGR勢がワン・ツーを形成


 レースは残り約2時間。ここで完全にタイヤのライフも尽きた6号車はドライバー交代のため予定どおりピットへ。エストーレからアンドレ・ロッテラーにスイッチし、2周後にはターン13に続き1コーナーのブレーキングでも止まり切れずにいた7号車もピットへ向かい、ここで満を持して“最速チーム代表”可夢偉が乗り込む。


 続いて8号車もハートレーがチェッカードライバーを引き継ぐと、このルーティン作業完了をもってTGR陣営が6号車の逆転に成功。これで最終スティントに向け盤石のワン・ツー体制を築き上げる。


 時刻が15時を回ったところでは、ヘアピンを立ち上がった2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)から白煙が上がり、ハブのスプライン損傷か左フロントホイールが脱落するトラブルが発生。しかしアール・バンバーがなんとか3輪走行でマシンをピットまで運び、そのまま修復作業のためガレージインとなる。


 同じくルーティンを控えていた93号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)は、ダンロップコーナーからの立ち上がりでアイアン・デイムスの85号車ポルシェ911 RSR-19にヒットされスピン。さらに5号車ポルシェ963はADRセンサー不調というまさかのトラブルでボックスに格納され、ここから長期の作業を強いられてしまう。


 その後も1分31秒台で快調に周回を重ねるGR010ハイブリッドの2台は、15時20分と残り約1時間半強を残した165周時点で、ホームストレートを駆け抜けた7号車可夢偉がハートレーに先行。これで前後を入れ替えての隊列とする。


 16時を境にした最終ルーティンでも左側2本交換を無事に終えた首位7号車は、姉妹車8号車を従えて残り1時間を快走。残り20分でのデブリによるFCY(フルコースイエロー)も乗り越え、燃費的な面でも反撃の余力が残っていなかった6号車ポルシェ963のロッテラーを3位に従えることに。


 スタートから6時間後、終盤に1分30秒780のファステストも記録した可夢偉が、凱旋ラウンドを完全制覇するポール・トゥ・ウイン。これでワン・ツー・フィニッシュを決めたトヨタは地元富士スピードウェイでのマニュファクチャラータイトルを確定させるパーフェクトな週末となった。


■LMP2クラスも終盤の逆転劇でワン・ツー・フィニッシュ達成


 白熱のLMP2は、前半戦を支配したユナイテッド・オートスポーツ陣営に対し、チームWRTの41号車が挑む構図となり、スタートから4時間を過ぎたところから23号車のベン・ハンリーに対し、41号車のステアリングを握ったロバート・クビサが逆襲。残り約1時間20分のターン1でオーバーテイクを決め、ふたたびの首位奪還を果たす。


 さらに僚友22号車のフィリペ・アルバカーキにも先行された23号車はジリジリと離れ、最後の1時間は元F1ドライバーvsIMSAデイトナ24時間覇者の直接対決に。


 ここでは最終的にサイド・バイ・サイドの攻防も耐え凌いだクビサが独走に持ち込み、残り12分でヒタヒタと迫ってきたチームWRTのもう1台、ロビン・フラインス駆る31号車がダンロップで決死のブレーキングを見せアルバカーキを打倒。最後の最後でクビサ&フラインスのオーダーとしたWRTがワン・ツーを飾っている。

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