ワン・ツーのフェラーリに歯が立たなかったポルシェ「彼らは速すぎ」とクリステンセン/WEC富士LMGTEプロ

2022年9月12日(月)19時9分 AUTOSPORT web

 WEC世界耐久選手権第5戦富士6時間レースのLMGTEプロクラスでワン・ツー・フィニッシュを果たしたフェラーリの後塵を拝す形となったポルシェドライバーのミカエル・クリステンセンは、フェラーリに対して「チャレンジできなかった」とレースを振り返った。


 クリステンセンとケビン・エストーレは、ポルシェGTチームの92号車ポルシェ911 RSR-19をドライブ。予選ではクラス最速タイムをマークするも、決勝ではフェラーリの先行を許し、優勝したAFコルセ51号車フェラーリ488 GTE Evoから31秒差のクラス3位でフィニッシュしている。


 レース後クリステンセンは、ポルシェがチャレンジするには、フェラーリのパフォーマンスは強すぎた、と示唆している。


 フェラーリは前戦モンツァにおけるBoP(性能調整)アップデートによってターボのブースト圧が上げられ、一方自然吸気エンジンのポルシェは富士戦に向けてエアリストリクター径の拡大と、最低重量の5kg軽減措置を受けた。


 クリステンセンは「彼らは速すぎた。まるでモンツァのようだった」と語っている。


「なぜ彼らが、モンツァであれほどまでにパワーを得られたのか、分からない。僕らは(富士で)少しパフォーマンスが戻ったけど、どこにも近づけない」


「トラックリミットのペナルティを受けたのは誰だ? コルベットと僕らだ。彼ら(フェラーリ)は一度も警告を受けなかったと思う」


「彼らはソフトタイヤで走っていて、スティントの始めは僕らよりも遅かったけど、スティントの終わりには速いタイムを刻んでいた。彼らは“演じて”いたんだろう」


「僕らにはレースもできないし、ペースもない。僕らには、燃料を節約し、スプリット戦略でマージンを稼ぐことしかできなかった。適切なタイミングでFCY(フルコースイエロー)があれば、ラッキーもあったかもしれない。それが唯一、僕らにできたことだ」


「でも彼らは30秒のギャップを作り出し、結局それは最後まで続いたんだ」


 92号車のポルシェは、チームが事前に選択したミシュランのスリックタイヤのうち柔らかいほうのコンパウンドでレースをスタートしたが、それは1スティントだけで、エストーレが51号車のジェームス・カラドからトップを奪って10周に渡ってそれをキープした。


「1スティントでタイヤの性能が落ちるのは普通のことだ」とクリステンセン。


「でも、ほとんどのスティントでプッシュすることができた。最初のスティントはソフトで、フェラーリと比べてケビンのタイムが落ちているのが分かっただろう?」


「その後は、ミディアムで走らなければいけなくなったんだ。レースは11時に始まったから、ソフトでは状況が悪くなっていく一方だった」


「できることは何でもやるしかなかった。最初のスティントではある程度は行けると思ったが、実際にはどこにもいけなかった。何かを見つけ出すためにミディアムを選択したけど、だめだった。彼らに挑戦することができなかったんだ」


 クリステンセンは、ライバルメーカー同士のタイトル争いが繰り広げられる予定のバーレーンでのシーズンファイナルに向けて、BoPにもう一工夫しなければ、92号車のポルシェがWECのタイトルを争うのは難しいだろうと指摘する。


「何かの助けがなければ、誰かと戦うことはできないように思えた」とクリステンセン。


「今日、彼らのレースはとても簡単そうに見えたし、実際に彼らが勝った。僕たちはただ、システムと自分たちを信じて、プッシュし続けるしかないんだ」

クラス2位表彰台に立つエストーレとクリステンセン


■フェラーリは順位を調整し、最終決戦へ


 一方、ワン・ツーを飾ったフェラーリのスポーツカーレースプログラムのディレクターは、後半に彼のチームのクルマが92号車のポルシェに対してこれほどまでのギャップを築けるとは予想していなかったという。


「とても驚いている」とアントネッロ・コレッタは語った。


「おそらくポルシェはタイヤのデグラデーションがあったのだろう。ベストラップで見れば、我々とは同じようなものだからね」


「最初のスティントで20〜22周経過したあたりから、ポルシェのデグラデーションが始まったと記憶している。でも、そこまでの18〜20周は完全にオープンな戦いだった」


「我々はギャップを広げた。FCY、セーフティカー、その他の予期せぬ出来事などがなければ、最後に優位に立つための良いステップとなった」


 フェラーリは、最終戦に向けたカラド/アレッサンドロ・ピエール・グイディのポイントリードを最大化するため、2台のマシンのフィニッシュ順位を調整した。


 だが、ピエール・グイディが最終スティントで「タイヤの問題」に遭遇してしまったことから、この戦略は複雑なものとなった。


 フェラーリはピエール・グイディの前に、より速い52号車のアントニオ・フォコを出したが、カラドは最後のピットストップの後にふたたび52号車に迫ってきて、再び前へと出た。


「52号車には感謝したい。彼らは今日、とても安定していたからね」とコレッタ。


「だが、我々のドライバーはプロのドライバーであり、今日は我々のチームが持つスポーツマンシップの姿勢をはっきりと見ることができたと思う」


 バーレーンでの最終戦に向けては、ピエール・グイディ/カラド組のフェラーリが、ポルシェ92号車のふたりに対して11ポイント差で首位に立っている。

WEC第5戦富士でワン・ツー・フィニッシュを達成したAFコルセの2台のフェラーリ488 GTE Evo

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