「魂のこもった投球」注目集めた山本由伸の“多投”に韓国メディアは感心 10年前の田中将大の伝説も回想「日本人は違った」

2023年11月5日(日)17時31分 ココカラネクスト

圧巻のピッチングを見せた山本に米識者たちも賛辞を惜しまない(C)Getty Images

 観る者をあっと言わせる完投劇だった。

 11月4日に京セラドーム大阪で行われた日本シリーズ第6戦でオリックスは阪神に5-1で勝利。王手をかけられた土俵際で、昨季王者の意地を見せた。

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 チームの連覇に望みを繋いだのは、エースの気迫の投球だ。オリックスの先発マウンドに立った山本由伸である。

 第1戦に5回途中7失点でノックアウトされていたが、中嶋聡監督に「山本由伸が2回連続でやられるわけがない」(勝利監督インタビュー談)と背中を押されてマウンドに。2回表にシェルドン・ノイジーに先制ソロホームランを打たれるも「調子は良かったので気にしなかった」(ヒーローインタビューでの本人談)も、小気味よいピッチングを披露。攻勢を強める阪神打線を完璧にねじ伏せた。

 終わってみれば、9回1失点、被安打9、14奪三振で完投。ポスティングによるメジャー移籍が有力視される山本は、日本球界では最終登板と見込まれ、大きな注目を集めたなかで、これ以上にない内容で投げ切った。

 この頂上決戦で25歳の若武者が見せた貫録の投球には、海外メディアからも熱視線が注がれた。反響が相次いだなかで一部のメディアがクローズアップしたのは、山本の投球数「138」だ。

 中嶋監督曰く「もう本当に8回の時から、もうリミットないよっていうのを伝えて、本人も『分かりました、行きます』っていう話だった」という。それだけに両者が納得しての多投だっただけだが、やはり先発投手は80〜90球前後がリミットとされる米球界などでは異例とも言うべき球数。ゆえに米ポッドキャスト番組『Talkin’ Baseball』は公式X(旧ツイッター)で「138球を投げ、なんと完投もした」と驚きをもって伝えた。

 一方でエースらしい仕事ぶりに感心する声もある。韓国紙『朝鮮日報』は「驚くべきことは投球数だ。なんと138球を投げる魂のこもった投球を山本は発揮したのだ」と阪神戦の熱投を紹介。さらに2013年の日本シリーズの第6戦で160球を投げ、完投負けした翌日の第7戦にクローザーとして登板した田中将大(楽天)を引き合いに出し、次のように記している。

「2日間で175球を投げた判断は国際的な物議を醸した。なぜなら田中もシーズン終了後にメジャー移籍が予定されていたからだ。アメリカでは『非人道的だ』という批判や、『メディカルチェックを強化すべきだ』という指摘も出た。しかし、日本人の考えは違った。あの日、あの瞬間、多くの人がテレビの前で涙を流した。そして観客席も涙に包まれた。疲れ切ったエースも、闘将の星野も、歓喜して大声で泣いたのだ」

 そして、「日本人には田中が残した強烈な記憶がある」とした同紙は「日本にはエースをより象徴とする文化があり、優勝の瞬間にはエースをマウンドに上げる伝統もある」と強調。「山本も田中のようなパターンになる可能性はある」と指摘し、連夜の快投に期待を寄せた。

 山本が連投をするかは定かではない。しかし、彼が人々の記憶に残る投球を披露し、多くの感動を生んだのは間違いない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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