40代後半から増える咳・くしゃみでの<尿もれ>。おなかに力を入れるともれる「腹圧性尿失禁」がなぜ起こるかというと…専門医が原因と対策を解説

2025年2月11日(火)6時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

厚生労働省が実施した「令和4年 国民生活基礎調査」で、頻尿の自覚症状がある人の割合(有訴者率)は、人口1000人あたり38.8人だったそう。年齢を重ねると、頻尿や尿もれといった尿トラブルに悩む方が増えてきますが、女性泌尿器科専門医の関口由紀先生によると「50代60代では頻尿や尿もれなどの悩みはあって当たり前」とのこと。そこで今回は、関口先生監修の書籍『「トイレが近い」人のお助けBOOK』から、一部を抜粋してご紹介します。

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50代60代なら尿のトラブルはあって当たり前!


尿のトラブルの中でも、50代60代でグンと増えてくるのが、トイレが近くなる頻尿や、尿もれの悩みです。

「自分だけではないか」と人知れず落ち込む方が多いのですが、じつは多くの女性が体験していること。

若年層の30代でも3人にひとり、40代以上では4割強は尿もれがある、というデータもあります。

とくに、50代で閉経すると、いろいろな要因が重なってさらにトイレが近くなったり、尿もれしやすくなったりします。50代60代では頻尿や尿もれなどの悩みはあって当たり前なのです。

どんな場面で尿もれする?


では、どんな場面で尿もれするのでしょうか。はじめての尿もれ体験でもっとも多いのは、「咳やくしゃみをしたとき」で9割近くにのぼります。次に多いのが、「重いものを持ち上げたとき」で4割強。3番目が、「トイレで下着をおろしたときに間に合わず」というケースで約4割。そして、「笑ったとき」が3割と続きます。

咳やくしゃみ、重いものを持ち上げるなど、急におなかに力を入れたときに尿もれする人が多いことがわかります。


『「トイレが近い」人のお助けBOOK』(監修:関口由紀/主婦の友社)

また、急にトイレに行きたくなって間に合わなかった、という人も少なくありません。

適切な対処をせずにそのまま放置していると頻尿や尿もれの頻度が増してきますが、生活習慣をあらためることで改善できるので、早めにケアをしていきましょう。

どんな時に尿もれするの?
1位 咳・くしゃみをしたとき 89.4%
2位 重いものを持ち上げたとき 42.4%
3位 トイレで下着をおろしたとき、間に合わず 40.9%
4位 笑ったとき 30.5%
(2014年3月/女性131人/ユニ・チャーム調べ)

「腹圧性尿失禁」は40代後半から増加


咳やくしゃみなどでおなかに力を入れたときに尿がもれる状態を「腹圧性尿失禁」といいます。妊娠・出産をきっかけに始まることが多く、40代後半から増えていきます。

尿をためる膀胱と、尿の通り道である尿道、子宮、直腸は、筋肉や靭帯、筋膜でできた骨盤底というプレート(ハンモック)に乗っています。

言い換えると、骨盤底プレートは骨盤の底で膀胱と尿道、子宮、直腸を支えながら、さらに、靭帯、筋膜を支点として筋肉が収縮させたりゆるめたりして、排せつをコントロールしているのです。

咳やくしゃみなどで腹圧がかかると、反射的に骨盤底の靭帯を支点に筋肉が収縮して尿道口が閉じます。蛇口がしっかり閉まるので、尿は出てきません。

おなかに力を入れるともれるのは骨盤底のプレートが弱いから


ところが、骨盤底プレートが出産や加齢などで傷ついたり弱くなったりしていると、プレート全体がたるんでくるので、トイレが近くなってきます。また、腹圧がかかったときも、筋肉や靭帯がゆるんでいるため尿道の出口の蛇口がしっかり閉まらず、尿がもれてしまうのです。

また、尿が尿道の入り口にほんの少し入ると反射が起こり、膀胱が収縮して尿を押し出そうとしますが、ここで、尿道がしっかり閉まっていれば尿意は起こりません。

ところが尿道周囲のパッキン(皮膚や皮下組織など)も弱くなっていると、尿が尿道に入りやすくなり、切迫尿意が出現し、もれにつながってしまいます。腹圧性尿失禁の人が高齢化してくると混合性尿失禁になりやすくなります。

おなかに力を入れるときにもれる場合は、骨盤底のプレートが弱くなっていることがおもな原因。でも、骨盤底筋トレーニングで7〜8割は改善します。

※本稿は、『「トイレが近い」人のお助けBOOK』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。

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