NHK『あさイチ』で「白髪対策決定版2025」特集。コロナ禍の外出自粛を機にグレイヘアへ。銀髪に見せるワックスなどを使って【グレイヘア成功の秘訣】
2025年4月9日(水)6時30分 婦人公論.jp
「仕事場の10代、20代の若い子たちも、グレイヘアに興味を示してくれます。他人から褒められたことで、自信が持てるようになりました。」(石岡京子さん)
2025年4月9日の『あさイチ』は「白髪対策決定版2025」特集。「白髪ぼかし」の方法や、自宅での白髪ぞめなど、視聴者からの白髪の悩みに答えます。そこで《白髪染めを卒業》した、グレイヘア実践者がその方法や楽しい方を語った『婦人公論』2020年11月24日号の記事を再配信します。
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挑戦してみたいけれど、移行期が大変そうで踏み切れない、まわりの目が気になる──。グレイヘア実践者は、その壁をどのように越えたのか。移行期の対策からケアの方法、グレイヘアの楽しみまで《先輩》に伺った。(撮影:本社写真部)
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グレイヘアを目指し始めた翌年にがんに
お話を伺った方 石岡京子さん
グレイヘア歴 7年
開始年齢 41歳
成功のコツ グラデーションの髪色をあえて個性に
20代後半から白髪が気になっていた石岡京子さん(48歳)。7年前に《白髪染め卒業》を決意しながらも、人目が気になり挫折すること数回、ようやくグレイヘアを手に入れた。
「やめた当初は、ロングヘアをまとめるとメッシュを入れているように見えるので、仕事中はポニーテールに。プライベートで外出する時は帽子をかぶっていました」
しかしグレイヘアを目指し始めた翌年にがんになり、抗がん剤の副作用で髪の毛がほとんど抜けてしまう。再び生え始めた髪は想像していたほど真っ白ではなく、黒が強いグレイヘア。さらに、ことあるごとに「染めなければ」という思いにも駆られた。
「髪がない間は暗い色のかつらを使っていたので、働いているカフェの同僚をびっくりさせないように、生えそろってから一度染めました。その後も、同窓会に行くのに抵抗があったので、って再び染めてしまって……。でも、同窓会後はいっさい染めていません。白い髪を伸ばしつつ、毛先の茶色い部分を少しずつ切り、2年がかりでグレイヘアにしました」
「髪の色、素敵ですね」と声をかけられて
髪のケアで欠かせないのが、パサつきを防ぐ洗い流さないタイプのオイルトリートメント。また、びまん性脱毛で毛量が減ったため、貧相に見えないよう毛先をヘアアイロンで巻き、おしゃれのため毛先に薄い茶系の色を入れている。
「仕事中に、性別年代を問わず数名のお客さんから『髪の色、素敵ですね』と声をかけられまして。外国人のお客さんからは、『写真を撮っていいですか』と言われたことも。反応が多いのでびっくりしました。仕事場の10代、20代の若い子たちも、グレイヘアに興味を示してくれます。他人から褒められたことで、自信が持てるようになりました。接客業をしていてよかったな、と思います」
ちなみに以前は「染めたら?」と言っていた父親も、職場で若い子と一緒に撮った写真を見せたら、「白い髪は、意外とかっこいいんだな」と肯定的になったそうだ。
移行期に活躍!お助けアイテムPick Up
白髪と染めた髪の境目が目立つ時期を、いかにうまく乗り越えるかが成功のカギ。皆さんが重宝したアイテムは?
もともと帽子が好きで集めていた石岡さん。写真は移行期によくかぶっていたもの(写真提供:石岡さん)
「人間、歳をとることは止めようがありません。それをマイナスと捉えるのではなく、まだ知らない私に出会えるのだと、今はとても前向きな気持ちです」(chachaさん)
コロナ禍の外出自粛を機にグレイヘアへ
お話を伺った方 chachaさん
グレイヘア歴 半年
開始年齢 55歳
成功への道 髪の保湿ケアで清潔感をキープ
50代後半のchachaさん(仮名)は、コロナ禍の外出自粛を機にグレイヘアへの移行を決心。目下、根元から10センチ程度が白髪の状態だ。グレイヘアに先立ち、昨年から化粧をするのもやめた。どちらもオーストラリア人の友人の影響が大きいという。
「お化粧もせず髪も染めない彼女たちのナチュラルな生き方を見て、素のままの自分でいいじゃないか、と思うようになったんです。昨年の秋口、化粧をやめて初めて仕事に出かけた朝に涼しい風がふっと顔にあたって、『あっ、爽快。私、今自由だ』と感じました」
コロナ禍で美容室に行けなくなり、一時は根元に白髪隠しのクリームを塗って仕事に出かけていたchachaさん。でも、なぜありのままの自分を隠さなくてはいけないのかと疑問が湧いた。趣味のヨガをしている時、マットにクリームの黒い色が移ってしまうことにストレスも感じていた。そこで染めるのをやめることをパートナーに宣言。しかし、「ちょっと待って」という反応が返ってくる。
「『白髪があるのが本当の私。それではダメだということ?』と言ったら、『君がダメなわけじゃないけど、できれば若くいてほしい』と。彼のお母さまは80代でまだ染めているのに、なぜ、という思いもあるのでしょう。白くなっても私なりにきれいでいる努力をするから認めてほしいと伝えました」
意を決したものの、白髪の量がそれほど多いわけではないため、どうしてもまだらになることが次第にわかってきた。さらに生え際のチリチリとした白髪が勝手な動きをする。そのため、無精していると思われないよう編み込みにしたり、光が当たるとグレイッシュに見えるワックスを使ったり、乾燥防止の日焼け止めミストを使うなど、さまざまな工夫をしている。
皆さんパッと視線が上に行き…
「人と話す時、皆さんパッと視線が上に行き、一瞬『えっ!』という目をするんですよ。男性の方はとくに。でも触れちゃいけないと思うみたいで、何も見なかったように会話を続けますね(笑)」
そんななか、3人の女性が「どうしたの?」と聞いてきた。思い切ってグレイヘアにすると答えると、「本当は私も染めるのをやめたい」「経過を見させて。よさそうだったら後を追う!」という反応が。やはり世間の目が気になり、踏み出せない人も多いようだ。
「自分も、コロナがなければグレイヘアにするきっかけがつかめなかったかもしれない」とchachaさん。多くの人がコロナ禍でつらい思いをしていることも実感しているが、この状態を《チャンス》にしたいのだという。
「コロナがきっかけで、新しい価値観の世界が始まるかもしれない。自分もそれに合わせてバージョンアップできたらと思っていますし、私にとってはグレイヘアもその一端。人間、歳をとることは止めようがありません。それをマイナスと捉えるのではなく、まだ知らない私に出会えるのだと、今はとても前向きな気持ちです」
目下、ヨガインストラクターの資格取得という新しい夢にもチャレンジ中。コロナがきっかけで素の自分と向き合い、やりたかったことを本気で始めようという気持ちになったそうだ。
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それぞれのグレイヘアライフ。共通しているのは、染めるのをやめる選択をした結果、それまで以上に世界が広がったこと、そして日々の髪のお手入れさえも楽しんでいることだろう。より自由に自分らしく。グレイヘアは、イキイキと歳を重ねる女性たちの生き方の象徴なのかもしれない。
《ルポ》染めるのをやめたら、新しい世界が広がった!
【1】《グレイヘア×ターバン》のスタイルは大好評——島崎さんの場合
【2】グレイヘアを目指す人の背中を押してあげたい——ねぎさんの場合
【3】「髪の色、素敵ですね」と声をかけられて——石岡さんの場合
【4】コロナ禍の外出自粛を機にグレイヘアへ——chachaさんの場合