NHK『あさイチ』で「白髪対策決定版2025」特集。2000人に聞いた白髪との付き合い方。染める?染めない?「グレイヘア」ブームの火付け役に聞く、自分らしく生きる選択肢とは

2025年4月9日(水)8時15分 婦人公論.jp


全国の男女2,000人を対象に、グレイヘアに関するアンケートを実施。その実情とは——

2025年4月8日放送のNHK『あさイチ』は「白髪対策決定版2025」特集で、洗髪方法やボリュームアップも叶う最新グッズ、自宅で染めるポイントなどを紹介。さらに、黒髪に戻る!?研究最前線も。そこで「グレイヘア」ブームの火付け役である、編集者の依田邦代さんにお話を伺った、2022年09月29日の記事を再配信します。
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2018年の新語・流行語大賞にもノミネートされた「グレイヘア」。年齢とともに増えて行く白髪を染めずに、ありのままの髪色を受け入れていく生き方が、この言葉には込められています。近藤サトさん、手塚理美さんなど、芸能界で活躍する方にもグレイヘアに踏み切る方が増えおり、「私もグレイヘアにしてみようかな?」と、迷っている方も多いのではないでしょうか。今回、Yahoo!ニュースの協力を得て、全国の男女2,000人を対象に、グレイヘアに関するアンケートを実施。その結果をもとに、「グレイヘア」ブームの火付け役である、編集者の依田邦代さんにお話を伺いました。(構成◎内山靖子)

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現在白髪を気にしていますか



「現在白髪を気にしていますか」2,000人の回答
(出典:Yahoo!ニュース)

まず、「現在白髪を気にしていますか」という質問に対して、「気にしている」57%、「気にしていない」43%と、「気にしている」が「気にしていない」を上回りました。男女別に見ると、男性の半数は気にしていないと答える中、対照的に女性は、半数以上が気にしていると回答。白髪が気になり始めた年齢については、30代〜40代で過半数を占めました。

続いて、「現在、白髪に対してどのような対応をしていますか」の問いでは、「放置」が多く、「黒以外で染めている」「黒く染めている」が続きます。「グレイヘアにしている、目指している」回答は全体の3%にとどまる結果に。

●現在、白髪に対してどのような対応をされていますか


「現在、白髪に対してどのような対応をされていますか」 (出典:Yahoo!ニュース)

自由記述では、染めている理由として、「老けて見えるのが嫌だから」「白髪の量が中途半端なので気になる」との声が上がりました。一方で、染めずに放置している方からは「まだ目立っていない」「面倒だから」「お金がかかる」などのホンネも寄せられました。

今回のアンケートでは少数派だった「グレイヘアにしている、目指している」方の理由として、「自然な老いに任せて自分らしくいたい」「髪質の悪化や頭皮へのダメージが気になるから」が主な回答でした。さらに、グレイヘアに実際にした声として「自然体でいられるようになり気持ちが楽になった」が半数を占める結果に。

一方で、目指していたけど途中で挫折した方からは、「手入れが大変」「周囲の目が気になった」「黒染めからの移行期間が長かった」などの声もありました(回答者年代:20代…5%、30代…15%、40代…32%、50代…30%、60代以上…17%、その他…2%)。

●グレイヘアを目指している理由


グレイヘアを目指している理由(出典:Yahoo!ニュース)

●グレイヘアにしてみて(目指す過程で)今までと変わったこと


グレイヘアにしてみて(目指す過程で)今までと変わったこと(出典:Yahoo!ニュース)

「グレイヘア」に対して、憧れや、いつかは目指したいと興味をもつ方がいる一方で、周囲からの目線や維持コストを気にしている人が多い印象を受けます。アンケート結果を踏まえて、グレイヘアのメリット、デメリット、挑戦する際の一番の障害と、乗り越え方を、「グレイヘア」の名付け親でもある編集者の依田邦代さんは次のように解説します。

『白髪=人生を諦めたおばあさん』ではない


——「グレイヘア」は、2016年に依田さんが世の中に発信した言葉です。そもそも、「グレイヘア」に注目したきっかけは何だったのでしょう?

「私自身が50代後半だった頃、『白髪染めをやめたいけれど、老けて見えるのはイヤ』というジレンマに陥っていたんです。セルフだと上手くいかず、基本的に美容室で染めていたのですが、それまで10年以上も続けた白髪染めのせいで頭皮が荒れて。染めている最中は薬剤が染みてピリピリ痛み、その後はかぶれて痒くなる。そんな思いをしてまで染めても、すぐに白髪が伸びてきて、3週間後にはまた染めに行かなきゃならない。植物性の白髪染め・ヘナを使用していたので美容室代も1回あたり1万以上かかります。本当に憂鬱でした」


依田さんの自然で美しいグレイヘア(写真提供:依田さん)

——50代以上の女性には共通の悩みですよね。

「ええ、そんな生活にほとほと疲れていた時期に、60歳以上の女性たちのファッションスナップ本を作ることになりました。そのときに、お気に入りの服に身を包み、自分らしいおしゃれを楽しんでいる女性たちの多くが白髪を染めていなかった。そのことに気づいた瞬間、心に灯がともったんですよ。そうか、『白髪=人生を諦めたおばあさん』ではなく、年齢を受け入れて、それを活かすことで素敵になれる道があるんだ、と。そこで、白髪に悩む女性たちに「染めなくても、こんなに素敵になれるんですよ!」ということ伝えるために『グレイヘアという選択』という本を作ったのです」

——白髪を放置したままにしておくのと、グレイヘアにするのは何が違うのでしょうか?

「意識が違うと思います。もうトシだし、染めるのは面倒だからいいや」と、投げやりな気持ちで白髪を放置しているのではなく、グレイヘアは自らの意志で『白髪を染めないこと』を選択した結果です。白髪染めはやめたけど、だからといって人生そのものを諦めたわけじゃない。むしろ、もっとポジティブに、これからの人生を楽しんでいく。年齢に無理に抗うことはしないけど、今あるものを最大限に活かして、毎日を前向きに過ごしていこうという生き方の現れなんですよ」

世間の意見に惑わされずに、自分の意志で


——アンケートに寄せられたコメントを見ても、「自然な老いに任せて、自分らしくいたい」「自然体でいられるようになり、気持ちが楽になった」など、グレイヘアに共感する意見が目立ちます。でも、実際に「グレイヘアを目指している」人はわずか3%。この結果は、どう思われますか?

「今回の回答者は30〜50代の現役世代の方が多かったので、『まだ早い』と感じていらっしゃるのではないでしょうか。でも、『グレイヘアを目指している人』と『白髪を気にしていない人』『放置している人』を合計すると67%になりますからね。それぞれの方がどんな心境でそう答えたのかを、もう少し詳しく聞いてみたいところです。

また、本当はグレイヘアにしたいと思っていても、『若く見せたい』と周囲の目を気にしている方がやはり多いという印象です。髪の色の変化は目に見える老化現象ですから、白髪が増えると、やはり『老けた』感が否めない。ある白髪の女性経営者が銀行に資金を借りに行ったら、断られてしまったという話もあります。
ただ、顔とのバランスを見て、黒々とした髪が顔年齢と合っていないと、違和感が出る場合も。

女性の場合、自分がグレイヘアにしたいと思っても、『夫から反対された』『おばあちゃんみたいと言われて、子どもがかわいそう』という理由で諦めてしまう方が多いようですね。」

——その壁を乗り越えるには、どうしたらいいのでしょうか?

「私は、何がなんでもグレイヘアにしたほうがいいと思っているわけではありません。染め続けていたいと思うなら、それでもまったく構わない。でも、もし、自分が本当に白髪を染めるのをやめたいのなら、夫や子ども、世間の意見に惑わされずに、自分の意志でグレイヘアを選んでほしいと思います。とくに、60代以上になったら、『**さんの奥さん』『**ちゃんのお母さん』という肩書からも自由になっている方が多いでしょう。職場でのポジションも若い頃とは違っているはず。今までは、『主人に聞いてみます』と、夫の意見に従っていた方も、『これからは何事も自分の意志で決めていく』という強い意志を持てば、自信を持ってグレイヘアにできるのではないでしょうか」


『これからは何事も自分の意志で決めていく』という強い意志を持ってと語る依田さん(写真提供:依田さん)

白髪染めから解放されて、精神的にラクに


——アンケートの回答を見ると、「黒染めからの移行期間が長くて、挫折した」という意見もあります。

「確かに、移行期間はやっかいです。いきなり染めるのをやめるのはハードルが高いので、美容室に行き、プロに相談するといいですね。最初はメッシュっぽく染めるとか、色のつくトリートメントを使うなどして、じょじょに移行していく方がスムーズです。そのうち、自分や周りの目も慣れ、気持ちも追いついて、グレイヘアにする覚悟ができるはず。

『真っ白になったら白髪染めをやめる』とおっしゃる方もいますけど、100%白髪になる方は実は少ない。人によって白髪が生える場所も量も違うので、実は《白》より《グレイ》の期間が長いのです。だからこそ、自分なりのグレイヘアを楽しんでほしいと思います」

——グレイヘアにしても、老けて見えないようにするにはどうしたらいいのでしょう?

「服やアクセサリー、メイクなど、おしゃれの手抜きをしないこと。白髪が増えるとどうしても顔の印象がぼやけてしまうので、私もグレイヘアにして以来、大きなピアスやビビッドな色の口紅をつけるようになりました。それまでは滅多に身に着けることがなかった赤い服も着るように。黒髪のときには似合わなかった色が似合うようになるので、おしゃれもどんどん《攻めて》いくのがいいですね」


黒髪のときには似合わなかった色が似合うようになるので、おしゃれの幅も広がる(写真提供:依田さん)

——「人生100年時代」と言われています。グレイヘアで生涯現役を目指す人は、今後ますます増えていくのでしょうか?

「高齢でも働く人や、アクティブに活動する人が増えているので、グレイヘアで社会に積極的に参加する人たちがどんどん増えてくると思います。私自身もそうですが、1度グレイヘアにしてみると、もう元には戻りたくないと感じます。残りの人生、髪を染めて若く見せようとするよりも、もっと大事な時間やお金の使い方がある。

常にのびかけの白髪や、白髪染めのことが気になる強迫観念から解放されて、精神的にも本当にラクになりました。白髪染めにお金がかからなくなった分は、美容室でのトリートメントや洋服、アクセサリーなどに使えるように。やりたくもないことにお金を使うのではなく、自分がハッピーになれることにお金を使えて、前向きになれたと感じます。

 やはり、一番大事なのは自分の気持ちです。『してみたい』と思ったら、周囲の目は気にせずに、1度試してみたらどうでしょう。しっくりくれば続ければいいし、合わなければやめればいいだけ。グレイヘアにしてみることで、自分がどのように年を重ねていきたいのかを考えるいい機会になると思います」

この記事は、Yahoo!ニュースを通じ実施したアンケートの結果を利用しています。
アンケートは全国のYahoo!JAPANユーザーを対象に2022年8月に実施しました。

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