「寝る間もないんですよ」は頭が悪く見えるので要注意。悪気がないのに忙しい自慢してしまう人の意外な心理
2025年4月19日(土)12時30分 婦人公論.jp
誰もが認められたいと思ってる(写真提供:Photo AC)
「忙しい自慢をしてしまう」「自分の正義を押し付ける」「教えたがる」「長々と言い訳をする」など、認めてもらいたいという人ならだれでもある欲求が高じると、頭が悪い人に見えてしまう危険性があります。ベストセラー『頭がいい人、悪い人の話し方』の著者・樋口裕一さんが、考察するそのような言動をとる理由、そして知的習慣が身につくヒントを綴った著書『頭のいい人が人前でやらないこと』より、一部を抜粋して紹介します。
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社会に出てからの「頭がいい」とは?
現代社会では、「頭がいい」と判断されるのは大事なことだ。
「頭がいい」と思われると、周囲の人に信頼され、仕事を任され、評価される。そうなると、自分の力を発揮して、その結果次第で順調に生きていけるだろう。
逆に、「頭がよくない」とみなされると、信頼してもらえず、仕事も与えられず、力を発揮する出発点にも立てずに鬱屈した人生を歩むことになりかねない。
社会に出てから「頭がいい」と評価されるのは、知識量や頭の回転によるわけではない。もちろん偏差値でもない。
周囲に何を期待されているのか、自分はその中で何ができるのかを的確に理解し、期待以上の結果を残し、それをきちんと理解してもらうことと言っていいだろう。
それさえきちんとしていれば、「頭がいい」という評価が得られる。これはそれほど難しいことではない。
ところが、それができない人がいかに多いことか。
頭のいい人がするはずのない行為を人前で堂々として、自分の評価を下げ、「頭がよくない」、それどころか、「頭が悪い」とみなされてしまう。
そして、そのために思うような人生を歩めずにいる。しかも、自分では愚かなことをしているという自覚がない。そのような人がたくさんいる。
ここでは、頭のいい人が人前でやるはずのないことをまとめている。まずは自己診断として使っていただき、自分の行動が頭のいい人にふさわしいかどうかを判断していただきたい。そして、頭のいい人の行動を真似ていただきたい。
多くの方が参考にして行動し、頭のいい人という評価を得て、自分らしい将来を築いていただけると、著者として大変うれしい。
誰もが他者から認められたいと思っている
人間は周囲に認められ、自信を持ってこそ、社会の中で自分らしく生きていける。他者が認めてくれてこそ、自分を自分だと感じられる。
だから、人は誰もが他者の目を求めている。他者から認められたいと思っている。
ところが、残念ながら周囲の人はなかなか認めてくれない。ほめてくれることも少ない。それどころか、時には存在していることさえも忘れられているかのように扱われる。
そのようなとき、きちんと仕事をし、的確な対応をすることで存在感を示すのが望ましいが、なかなかそのような仕事をすることも、価値を認めてもらえるような言葉を発するのも難しい。
そこで、つい自分の存在を示そうとして、行きすぎたり、やり方が下手だったりしてしまう。
認めてほしい、自分の存在を叫びたいという気持ちが外にありありと現れる。こうして、自分の存在を主張して、愚かなふるまいを示すことになってしまう。
『頭のいい人が人前でやらないこと』(著:樋口裕一/青春出版社)
忙しい自慢をしてしまう
自慢そのものは決して悪いことではない。日本社会では、長い間、自慢はよくないこととされてきた。
謙虚におとなしくしているのが美しいことであって、出しゃばらず、自己主張せず、自分の長所についても誰かがわかってくれるのをじっと待つべきであって、自分からアピールするなどもってのほかと思われてきた。
だが、残念ながら時代が変わった。アピールしなければ、誰も認めてくれない。能力があることを示さないと、仕事を与えられない。
自慢というのもアピールの一つだ。上手にアピールし、自分の実力をわかってもらってこそ、正当に評価してもらえる。
ところが、下手な自慢をする人が多い。相手が飽き飽きしているのに、自分が成功した話を長々としたり、評価されていることを繰り返し説明したり。
その中でも、単に「嫌な奴」というだけでなく、バカさをにじませるのが下手なマイナス自慢をする人間だ。
忙しい自慢していませんか?(写真提供:Photo AC)
悪気がないのに、自慢になってしまう
話のきっかけとして軽くするのはまあいいだろう。気の利いた話題にすることはできる。しかし、ずっとそれを続けられると、聞いているほうとしてはたまらなくなる。
「私はほかの人と違ったところがある。アピールするところがある」という思いが、マイナス自慢につながる。
ある種、ゆがんだ自己愛とでもいうか、周囲にもそれが伝わる。これも一つの自己顕示にほかならない。だから、マイナス自慢を繰り返す人は愚かに見える。
誰もがついしてしまうのが忙しさ自慢だ。「寝る間もないんですよ」「1週間で3回目の出張ですよ」「デスクの上には半年でも終わらないほどの仕事がたまってますよ」などなど。
本人に自慢する気はないことも多いだろう。あまりの忙しさに頭を抱えている。いかに大変かをほかの人にもわかってほしい、ねぎらいの声をかけてほしい。そんな気持ちから口にする。
しかし、それは言葉を換えれば、「私は忙しくしているほど活躍しているんだ」「それほど引っぱりだこなんだ」という自慢にほかならない。
いや、たとえはっきりと意識していなくても、忙しくしていることを誇らしく思っているのは間違いない。
これは、特に忙しくしたくてもできない人に対しては強烈な嫌みになる。配慮不足であるばかりに、悪気がないのに愚かな自慢になってしまう典型だ。
※本稿は『頭のいい人が人前でやらないこと』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
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